「分割巻き上げ」(または「小刻み巻き上げ」)とは、機械式写真機のフィルム巻き上げ方式のひとつです。
多くの機械式写真機では、一枚撮影したら(または撮影前に)一回巻き上げレバーを回して、フィルムを一齣送るのと一緒にシャッターをチャージするのですが、機種によってはレバーを端まで回さずとも、小さく何回かに分けて回しても同じように巻き上げできるものがあります。このレバー操作を何回かに分けてフィルムを巻き上げる操作を「分割巻き上げ」と呼びます。
一回で巻き上げたところ。ローライ35では225度ほどレバーを回さなければならないのでけっこう大変。
横走り式シャッターを採用した昔の機械式一眼レフカメラには、(全てではないが)分割巻き上げできる機種が多いです。これができる機種として、まずはかのライカMシリーズ、キヤノンF-1とNewF-1、オリンパスOM-1、F3までのニコンFシリーズなどが有名です。縦走りシャッター機は構造上実現しづらいのですが、中にはコシナのベッサシリーズやニコンEMなど、特殊な設計によって分割巻き上げ可能なものもあります。コンパクトなレンズシャッター機でも可能な機種はありまして、F&Hのローライ35、オリンパス35DCなどがよく知られています。
分割巻き上げ。110度ほど回すのを二回繰り返しても同様に巻き上げられる。こっちだと指の動きが小さくて済む。
一回で済む操作を二回に分ける利点として、一回巻き上げに比べて回転角が小さくて済む分、巻き上げが迅速にできること、そのおかげでテンポよく撮影できることなどが挙げられます。分割巻き上げにこだわる方の多くは、撮影時のそうした利点を重視しているのですが、単に「できないよりできる機種の方がカッコイイから」という理由でありがたがっている方も、相当に多い模様です。