「闘技場」名作選

 もちろん本文で採り上げたイースネタ以外にも、「読者の闘技場」では様々なネタが飛び交っていました。その全てをここで紹介するのは無理なので、主立ったものをいくつかを抜粋して紹介いたします。


ダジャレ四天王+1〜「読者の広場」から

 「読者の広場」では、「ダジャレ四天王」と呼ばれる投稿者が活躍し、他の投稿者達の羨望を集めました。

87/12・Dovi'k kyariver 87/12・Kyou

へへ〜ん!! ただめちゃくちゃカッとんでるDovi'k Kyariverだよ〜っ!!
raincoatはいらんぞ〜(Rainbow islands) あふれたぁバナナ!!(アフターバーナー)
はっきし言ってしょ〜もない。無言。
(87/12・Dovi'k kyariver)

なんと! ゲームキャラが料理に挑戦した!が…
かぶるぼぅる(バブルボブル) 芽取る苦労す(メトロクロス) 
結局ゲームキャラにはムリのようです…
(88/2・Kyou)

88/2・よしりん 87/12・芦田典良

シドーを倒すのはしんどい ゴールドを食う 酢も食う
(88/2・よしりん)

悪(わる)キューレの冒険
(87/12・芦田典良)

 文字ネタで攻めるDovi'k氏、かわいい絵柄が特徴の女流ダジャラーKyou女史、正統派ダジャレを得意とするよしりん氏、そして「いきなりダンプカーでハネとばされたような衝撃を直接脳髄に叩きつけてくる」一発ギャグの芦田氏と、それぞれ傾向の異なる常連投稿者が、読者からダジャレ四天王として選ばれ、当初のコーナーの牽引役となりました。
 中には四天王を強敵(とも)として、ネタ作りに励む投稿者もいました。その代表がんけしろ氏でしょう。高い画力の迫力で押し切ってしまうネタを得意としました。

88/2・んけしろ

「シャウッ」 レインボー
アイド 「『やるじゃない』の元祖はオレだ〜!!」
(88/2・んけしろ)

山下:あいかわらず、んけしろクンは画力点が高い。ネタ自体はたいしたことないんだけど、その勢いとパワーに負けて掲載してしまった。

 彼らが活躍したのはもっぱら「読者の広場」のみでしたが、Kyou女史とよしりん氏は初代「闘技場」でも積極的な活動を見せました。


ヒババンゴと魔中年〜「読者の闘技場」から

 初代「闘技場」では数々のライターネタが飛び出しましたが、中でも人気だったのは「ヒババンゴYu−you」「魔中年見城」ネタです。

88/8・ねぎわら 88/12・なっとまん 89/3・キース・ガーラント

人生に疲れた男シリーズ1 肥婆蛮誤Yu-You
バンゴ脳−私利私欲のために働く愚劣きわまる脳 完全ステレオ対応イヤー−ステレオ対応 LFOもかかる 信じ難い
ゴッドハンド−名前倒れで豆腐を砕く程度。別名肥婆ハンド ババンレッグ−ムーンウォークなど不可能であろう
バンゴアイ−狂人のごとく視点が定まらない レトルト胃−溶解炉と化しておりなんでもはいる
背1.5m 重120kg Yu-Youさん、ごめんなさい!
(88/8・ねぎわら)

「聞きたまえYu-Youの新曲を!!」「う…」
「こ…これはラ・バンバの伴奏… ま…まさかYu-Youの新曲というのは…」
ヒババ ババババ バンバー ヒババババババ バンバゴンババヒー バンバヒババヒバ♪…
「ヒ・バンバ」
(88/12・なっとまん)

『...!!』
(89/3・キース・ガーラント)

山下:うまいっ! ひさびさに心をうたれた1枚だ。ヒババンゴ=Yu-You=悠悠(上野動物園の新しいパンダの名前)という三角関係(?)をこれほど見事にまとめ上げるとは。Yu-You本人も涙を流して感動していた。文句なく金。

 Yu-You氏とは「イースII」にも音楽で参加している永田英哉氏のことです。YK−2氏同様、ベーマガでライターとして活動していました。そのYu-You氏には、なぜか「ドラゴンクエストII」に登場する敵キャラ「ヒババンゴ」というあだ名が与えられ、それにちなんだネタが多数寄せられました。そのYu-You氏が音楽を手がけたX68k版「ボスコニアン」には「スペースヒババンゴ」という曲もあったりします。
 三枚目だけ解説します。当時上野動物園で仔パンダが生まれまして、その名前を一般応募で決めることとなりました。「ズイズイ」だの様々な名前が寄せられましたが、最終的に仔パンダの名前は「悠悠(ユウユウ)」に決まりました。ユウユウの正体はパンダの着ぐるみを着たヒババンゴ「Yu-You(ゆうゆう)」だったという時事ネタです。果たしてYu-You氏の涙は感涙だったのか。
 ちなみにYu-You氏の名前は、電波新聞社の近所にあるラーメン屋「ラーメンハウス遊遊」に由来する模様です。

89/1・DIO-2 89/2・ねぎわら 89/4・ワムウのピアス

魔中年、見城
「ところでな そのハガキ 見てみろよ」「?」
「こ、これは! ま、ま、まさか!…そんな…」
「闘技場のボツハガキの中からだね」
ドジャーン
「ちょっぴりくすねて持ってきたんだ 半分は君のだ 来月になってから自分のコーナーにのせよう」
(89/1・DIO-2)

見城:失礼なっ! 「魔中年、見城」このタイトルだけでこいつは入賞を果たしやがった。うしろで山下さんがまだ笑いつづけている(今日で3日目)。VGGコーナーやってるからってオッサンあつかいはねえだろうが! えっ!?

墜ちてゆく見城
「ああ! 見城様!! 見城様が 萩の月をもったまま ウツロな目でブツブツいってるぞーっ!!」
「おれが…中…年!? 青年のおれが中年…ちがうっつーの…」
「無理もあるまい……彼の数十年にわたるオールドゲームファンの「誇り」と「食い意地」が
『中年』の一言によって 今一瞬にして くずれさったのだから!
山下 笑いをこらえてる
(89/2・ねぎわら)

〜悲痛なさけび〜
『捜しものなら タウンページ』
加山さん、私の「若さ」探してください。(C)見城
(89/4・ワムウのピアス)

山下:闘技場の後半期ですっかりメジャーになってしまった見城先生。彼の名誉のために言っておくと、BGM主宰見城こうじは、まだ現役ばりばりの大学生なのだ。ま、なんにせよ、見城先生、闘技場での活躍ご苦労様でした。

 見城こうじ氏はアーケードゲームに造詣の深いライターで、当時はベーマガで「VGG」こと、アーケードゲームを紹介する企画を連載していました。1枚目の「自分のコーナー」とはVGGのことです。読者間では無類の「萩の月」(注1)愛好家として知られ、「萩の月」をむさぼり食う人物としてネタにされていました。そこに荒木飛呂彦先生の「魔少年ビーティー」をパロった「魔中年、見城」が送られてきたのをきっかけに中年ということにされてしまい、最終回では中年見城氏ネタがみごと金賞に輝いたのでありました。「加山さん」というのは、当時NTTの職業別電話帳「タウンページ」の広告に出演していた、歌手の加山雄三氏のことです。

注1・「萩の月」:宮城県の製菓会社「三全」の和菓子。カスタード風のクリームをスポンジケーキ生地でくるんだもの。白松が最中・ずんだもちと並ぶ仙台銘菓で、松任谷由実を始め有名人にもファンが多い。姉妹品にチョコレート風味の「萩の調」がある。県内一円で入手可能。


ストIIネタ〜「新・読者の闘技場」から

 「ストリートファイターII」の発売は1991年3月です。時期が重なったせいか、「新・読者の闘技場」の後半を席捲したのはストIIネタでした。その中から金賞受賞作を中心に紹介いたします。

91/7・K・K 91/7・オイデ¥A$U

ダルシムシティー
(91/7・K・K)

「タイガーアッパーカット」「ぐーれいと」
「君も”けろっぐこおんふろすと”をたべて強くなろう!」「オレもたべよう」
(91/7・オイデ¥A$U)

91/9・ときめきドラえもり 91/10・K・K

「不思議少佐ガイルなトトメス 空に太陽があるかぎり!」
(91/9・ときめきドラえもり)

赤烏:「ナイルのトトメス」から「ガイルなトトメス」がでてくるのはわかるけど、実際にガイル風のトトメスを絵にして書いてみようなんて考えるのはオマエだけだ。それにしても気持ち悪いぜ。

「ガイル少佐!! 軍人をやめるって本当でありますか!?
いったいどこへ転職するのでありますか!?」
「実はな…」
「『ガイル少佐(がいるしょーさ)の転職先は」
くわっ「『外務省さ(がいむしょーさ)』!!!
「少佐〜っ!!」「おいおい涙は見せねえ約束だぜ…」
(91/10・K・K)

赤烏:やっぱり、こーゆーごーいんなパワーっての、大事だと思うぞ。「外務省さ」じゃねーっての。ま、最後の金賞は、このK・Kに決定したわけだ。今月は、K・Kがすげー勢いでラスト・スパートだ!

 サガットと一緒にタイガーアッパーカットをしているのは、コーンフレーク会社ケロッグのマスコットキャラクター、トニー・ザ・タイガーです。やはり当時のケロッグのテレビCMが元ネタです。ビーチバレーで劣勢になっているトニーのチームが、ハーフタイムに「ケロッグコーンフロスト」(現在のコーンフロスティ)を食べるや否や、いきなり強くなって、次々に華麗なプレイを決めて逆転するという広告だったかと記憶しています。
 「ナイルなトトメス」は、萬画家石ノ森章太郎氏がキャラデザを手がけた特撮魔法少女番組です。封印されていたナイルの悪魔達を誤って解放してしまったがため、主人公サナエが魔法少女トトメスとなって、逃げ出した悪魔達を封印していくという話です。この設定、「カードキャプターさくら」にも影響を与えたんでしょうな。


荒井セレクション

 荒井が個人的に気に入っているネタです。

87/2・ニンッ 87/11・桜井勇仁

「山下君。君に、このパンチがよけれるかな。」
(87/2・ニンッ)

「'87年2月号にのった大ボケの『ニンッ』 おまえは古い!!
今はダイヤモンドダストだ!!」
(87/11・桜井勇仁)

88/9・スライメスト 88/10・無敵鉄金剛 88/10・菅野義裕

魁テレビ遊び塾!!
「持ち前の連射とテクニックでファミコン名人と自称し、ハ○ソンにこの人ありといわれながら
PCエンジンに心うつりして元セ○のゲームをやりまくっている…その人だぁ〜れ!?」
高○「…………!!」
コナミ「なんじゃあの野郎いきなりわかりきったこといいだしやがってー
ナゾナゾだとーふざけたことぬかしてるんじゃねえぞー!」
ナムコ「だいたい高○名人の他にだれがいるというんじゃー!!」
(88/9・スライメスト)

T:くるぞくるぞと待ちかまえてたらやっぱりきた。こんなこと言ってオカマホルスの明日はあるか?

THE NINJA WARRIORS
「忍者」 うぉりゃあ! ズン
(88/10・無敵鉄金剛)

T:ダジャレのためならケンイチ氏でも投げ飛ばすでござるよ。忍者は非情でござる。ニンニンと。

「ファミコンウォーズが出るぞ!!」
ギャー 「だれだ!!」
「ロリコンウォーズマンだとう!!」
(88/10・菅野義裕)

 当時テレビ東京で「テレビ遊び塾」というゲーム番組が放送されていました。ソフトハウスハドソンの提供で、売り出し中のPCエンジンをはじめとする、さまざまな遊びを紹介するという番組で、「高橋名人」ことハドソンの高橋利幸氏が出演していました。番組はハドソンが力を入れているPCエンジンの宣伝といった性格が強く、番組内では高橋名人がPCエンジンのゲームを積極的に紹介していました。
 ちょうどそのころ、ハドソンがPCエンジン用に出したアクションゲーム「ビックリマンワールド」が、セガの「ワンダーボーイ モンスターランド」にそっくりだというので、ゲーマーの間では「ハドソンがパクった!!」と糾弾する声が上がっていました(もっとも、今となってはキャラクターを差し替えて移植したということぐらい、容易に理解できるのだが)。番組では高橋氏が「ビックリマンワールド」を紹介することもたびたびあったのですが、かつてファミコン業界の「顔」でもあった高橋氏がそうしたゲームの紹介をするのは「裏切り行為」とされ、闘技場でネタにされることとなったのです。パロディ元は宮下あきら先生の「魁!男塾」の天挑五輪大武會決勝トーナメント第二戦、死闘の最中、強敵ホルスが謎かけで男塾の伊達を挑発する場面です。
 菅野氏の元ネタ、アメリカ海兵隊の訓練風景をパロった「ファミコンウォーズ」の宣伝は、古くからのゲームファンにはお馴染みのものです。

90/12・氷山一太

Q.どうしてマイケルはバブルスをつかまえると、ロボットに変身できるの?
答え
それはバブルスの体内にパワードスーツがうめこまれているからだよ!
「ヘイ バブルス ダイジョーブダイジョーブ スグスムヨ ノープロブレム」
(90/12・氷山一太)

 「ムーンウォーカー」といえばメガドラの伝説的バカゲーですが、アーケード版も存在しました。アーケード版ではマイケルの愛猿バブルスをつかまえるとロボットに変身できるのですが、その謎に鋭く迫ったネタです(嘘)。

91/1・陽の字 91/3・91/3・オイデ¥A$U

ついに出た!世紀末体感ゲーム!!
体感オ○ム教!!!
揺さぶりに合わせて体が上昇!時間が経つにつれて
下から水が迫り、溺れるとゲームオーバー!
これで君も教祖ア○ハラ!!
(91/1・陽の字)

信者君−アサハラの章−(忍者君阿修羅の章)
君は常人信者君!! しかし相手もただの人
のってたまるか口車 正義の”喝”でだまされたみんなを正気にもどすのだ!!
(91/3・オイデ¥A$U)

91/5・ときめきドラえもり

最後の竜に捧げる歌丸師匠 手塚一郎著
史上初!! 落語界におけるファンタジー小説
「国境を感じさせないすごさがある。」(秋山豊○氏) JICC出版局
(91/5・ときめきドラえもり)

赤烏:「全然シャレになってないじゃないか」とこれを見て力なく笑ったヤツがいた。確かにオレもそー思ったが、このインパクトだけで十分、とゆー気がする。「今度の新作『弦奏王』もよろしく」とは手塚先生の談。

 「最後の竜に捧げる歌」とは、手塚一郎氏の手になるファンタジー小説です。手塚氏もベーマガライターズの一人で、ゲーム紹介記事の他、各種ファンタジー物語の世界観を紹介する企画を担当していました。この頃のベーマガ執筆陣は、今となっては信じられないほど豪華でした。


大ボケシリーズ

 最後に、その後数々のフォロワーを生み出した大ボケネタを一挙再録いたします。金賞を取ってしまったネタも混じってますけど。

88/7・ペンネーム戦士 88/11・馬屋原隆 88/12・馬屋原隆

アサルト ヒルルト ユウルト
(88/7・ペンネーム戦士)

アサルトビデオ
(88/11・馬屋原隆)

アサルト フカルト
(88/12・馬屋原隆)

88/12・スーパーりょうちゃん 89/1・Hなネタをキワめる馬屋原隆 89/2・菅野義裕
89/4・ラメタップ改めラメテップ 90/11・魔法使い!すがの

オーボイン(オーダイン)
(88/12・スーパーりょうちゃん)

オッ パイン(オーダイン)
(89/1・Hなネタをキワめる馬屋原隆)

ティル・ナ・ハイレグ(ノーグ)
(89/2・菅野義裕)

この絵をかくと読者の闘技場に載れるって本当ですか?
(89/4・ラメタップ改めラメテップ)

ゲーム・ボイン(ゲームボーイ)
(90/11・魔法使い!すがの)

 「アサルト」「オーダイン」は、どちらもナムコのアーケードゲームです。「ティル・ナ・ノーグ」はシナリオ自動生成機能が売りのシステムソフトのRPGです。
 ベーマガは1982年から2003年まで20年に渡って刊行されていましたが、「闘技場」は大好評を博し、数々の伝説的投稿者を生み出すとともに、後期ベーマガの名物企画にまで成長しました。

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