「イース」が当時のゲーム界に革命を起こした作品であることは、これまでもたびたび述べてきました。今度最新作「イース・オリジン」が発売されることを記念して、これから何回かに分けて、もともと「イース」とはどういう作品だったかを考察いたします。
今回は1980年代中盤のコンピューターRPG(以下CRPGと略)をいくつか紹介しつつ、「イース」が生まれた背景を探ります。
(ゲーム名に続く括弧内は発売時期とソフトハウス名 斜体部分は簡単なプロローグ)
ウツロの町のはずれに立つブラックタワー。そこには謎の宝石ブラックオニキスが眠っており、手にした者は永遠の若さと莫大な富が得られるという。これまで多くの冒険者達が宝石を求めてブラックタワーに挑んでいったが、手に入れた者は誰もいなかった。
プレイヤーもまた、宝石を求めて町にやってきた冒険者の一人である。あなたは数々の試練を乗り越え、ブラックオニキスを手にすることができるだろうか?
もともとCRPGは、1970年代末期から1980年代初頭のアメリカにおいて、テーブルトークRPGをパソコンで再現するという眼目で誕生しました。中でも「探索とキャラクター育成の面白さ」の再現に特化した作品があれこれと制作され、「ウィザードリィ」(1981・サーテック)「ウルティマ」(1980・オリジン)といったCRPG黎明期の代表作が生まれます。
これら作品は少数ながら日本にももたらされ、徐々に熱心な愛好者を増やしていきました。そして1984年、日本国内で「ザ・ブラックオニキス」(以下「ブラオニ」と略)が生まれることとなりました。
キャラクターを作っていざ冒険開始。「ブラオニ」は「探索と育成」のCRPGを日本に広く知らしめた。
「ブラオニ」は、和製RPGの嚆矢となった作品です。プレイヤーは冒険者を募りこれを鍛え上げ、強敵と謎が待ち受ける迷宮を攻略し、ブラックタワーに眠るブラックオニキスを手に入れることが目的です。
3Dで表示されるフィールドや戦闘方法、拡張シナリオを前提としたゲームシステムなどに「ウィザードリィ」の影響が見られますが、ゲームシステムは「ウィザードリィ」よりも簡略化されています。それでもCRPGの醍醐味である迷宮探索とキャラクター育成の面白さは存分に盛り込まれており、「探索と戦闘によってキャラクターを育て上げるゲーム」という、CRPGの雛形を日本国内に広く示すこととなりました。
強敵クラーケンと謎の言葉「イロイッカイズツ」。ブラックオニキスへの道のりは長く険しい!
ちなみに「ブラオニ」は全部で三部作になる予定で、二作目の「ザ・ファイアークリスタル」(1984・BPS)こそ発売されましたが、完結編となる「ザ・ムーンストーン」は発売されないまま、20年以上が経ちました。にもかかわらず、今なお「ザ・ムーンストーン」を心待ちにしているファンがいたりします。
(画像はファミコン版)
天界のブルークリスタルロッドの力で平和が続いていたバビリム王国。しかしスーマール帝国の侵略によってそれは打ち破られた。
帝国はロッドを奪うべく天に届く塔を建設したが、それはロッドの力を弱めることでもあった。神の王アヌの怒りによって塔は崩されたものの、ロッドで封印されていた悪魔ドルアーガが復活してしまった。ドルアーガは廃墟となった塔を乗っ取るとロッドを奪い、女神イシターの巫女カイを石に変えてしまった。バビリムの王子ギルガメスはカイとロッドを取り返すべく、神より授かった黄金の鎧を身にまとい、ドルアーガの塔に挑む。
「ドルアーガの塔」(以下「TOD」と略)は面クリア型のアクションゲームで、「ゼビウス」(1983/2・ナムコ)の作者遠藤雅伸氏が手がけています。プレイヤーは主人公ギル(ギルガメスの愛称)を操作し、ドルアーガが支配する60階建ての塔を登っていきます。各階は迷宮になっており、ドルアーガの手下たちが行く手を阻みます。鍵を手に入れて扉に入れば一面クリア、次の階に行けますが、各階にはギルを手助けする品や強力な武具といった宝物も隠されています。中にはドルアーガを倒すために必要なものもありますので、これらを探すことも重要となります。「TOD」はアクションゲームなのですが、謎解き要素や成長要素が盛り込まれ非常にCRPG色が強く、それまでにない作品となっていました。
ドルアーガを倒してついに最上階へ。エンディングがあるアクションゲームというのも当時は珍しかった。
本作の大きな特徴は、古代メソポタミアの「ギルガメシュ叙事詩」に着想を得た設定が用意されたことと、剣と魔法の世界がそれまでにない美麗なヴィジュアルで描かれたことです。
遠藤氏は「ゼビウス」でも「ファードラウト伝説」という小説を書き、敵が攻めてくる理由から自機の仕様に至るまで事細かな設定を作っています。それはこの「TOD」も同じでして、本作は「バビロニアンキャッスルサーガ」(注1)と呼ばれる壮大な構想のもとに制作されています。その一部は案内書などで断片的に紹介されることもあり、プレイヤーの想像力を掻き立てることになりました。
「元祖レトロゲームヒロイン」のカイと主人公ギル。本作を語るなら篠崎氏のイラストは外せない。画像はPCエンジン版から。
また、本作はグラフィックにも凝っていました。現在のようなムービーデモやCGこそありませんが、フルカラーのドット絵で描かれた様々な敵キャラが迷宮内を賑やかに動き回り、様々な攻撃を仕掛けてくる様子はプレイヤーの目を惹くものでしたし、取った宝物が画面の脇にアイコン表示されるというのも収集欲をくすぐりました。武具を取ればギルが「着替え」、グラフィックも変わるという凝りようです。ゲーム以外の媒体でも、篠崎雄一郎氏の手になるイメージイラストが数々発表され、魅力的なファンタジー世界を描き出していました。
ゲームそのものは「高い塔のてっぺんに囚われたお姫様を助けに行く」という、王道中の王道の内容ではあるのですが、こうした味付けや演出はゲームの物語性を深めた他、作中世界への思い入れを助ける一因となり、多くのプレイヤーが「TOD」に惹かれていったのです。その結果ギルとカイは今なお日本ゲーム界屈指の人気キャラクターとなっていますし、「バビロニアンキャッスルサーガ」の世界観を踏襲する作品も作られています。世界観を映像や演出によって打ち出したという意味でも、「TOD」はそれまでにない作品だったのです。魅力的な登場人物と物語設定を売りにした作品の祖と言えるかもしれません。
「上2下5」「何もせず待つ」「ドルイド・メイジ・ソーサラー・ウィザードの順」...んなもん判るかぁ!!
その世界観が広く支持を集める一方で、「TOD」は非常に難易度が高いことでも有名になりました。
各階に隠された宝物は、所定の条件を満たすことで出現します。例えばそれは特定の敵を倒すというものであったり、特定の操作をするというものなのですが、作中で手がかりが示されることは全くありません。ゲームクリアに必要な宝物の入手方法さえノーヒントですので、攻略法を知らない限り、まず解くことはできません。
凝ったヴィジュアルによる世界の演出と難解な謎解き。「TOD」は飽くまでアクションゲームなのですが、これら要素は後の日本のCRPGに大きな影響を与えることになるのです。
三つの宝石の力で平和が保たれていたフェアリーランド。しかしある日宝石の一つが奪われ、伝説の悪魔バラリスが復活してしまった。バラリスは宝石を隠すと王国中に怪物を放ち、フェアリーランドを脅かし始めた。王女アンもバラリスによって三匹の妖精に変えられ、いずこへと消えてしまった。
バラリスの暴虐に耐えかね、一人の勇敢な若者が立ち上がった。彼の名はジム。ジムはフェアリーランドに平和を取り戻せるだろうか?
日本にCRPGの醍醐味を広めた「ブラオニ」と、アクションゲームながらCRPG要素を濃厚に含んだ「TOD」。この二本の影響を受け、「TOD」発売の数ヶ月後、一本の作品が発売されました。それがこの元祖アクションRPG「ハイドライド」です。
プレイヤーはジムを操作し、打倒バラリスのため、怪物と戦って自らを鍛える一方、宝石と妖精を探し出さなければなりません。戦闘は「TOD」同様、攻撃と防御を切り替えつつ、徘徊する敵に体当たりするだけというアクション性の強いものです。「TOD」のような凝った物語こそありませんが、フルカラーのグラフィックで描かれるフィールドや怪物、アイテムがゲームの雰囲気を盛り上げています。
美麗なグラフィックで描かれるフェアリーランド。この画面から「TOD」と「ブラオニ」の影響がうかがえたりする。
「ハイドライド」は「TOD」風の外見を備えてまして、実際似ている部分が多いのですが、「TOD」とは全く異なる作品となっています。その差はよりCRPGとしての味付けがされたことでしょう。
「TOD」の場合、ギルの成長はもっぱら宝物によるもので、敵を倒せば強くなるというものではありませんでした。また、ギルには体力値が設定されているのですが、隠し属性値ですので、プレイヤーが数値を把握することはできませんし、減っても任意に回復させることもできません。そして何より、「TOD」はゲームオーバー時のコンティニューこそ可能ですが、進行状況をセーブできません。一度クリアを目指してゲームを始めたら、プレイヤーは60階を上りきるまで筐体の前から離れられないのです。CRPGに通じる内容こそ備えていますが、「TOD」は飽くまで面クリア形のアクションゲームなのです。
一方、「ハイドライド」は、敵を倒して一定の経験値を積めばレベルアップし、体力と攻撃力が上がります。これら属性値は画面脇にバーメーター(注2)として表示され、プレイヤーは常にジムの状態を把握できるようになっています。平地でじっとしていれば体力が回復しますので、プレイヤーは必要に応じて体力を回復させることもできます。そして何より「ハイドライド」はセーブができますので、「TOD」よりも格段に遊びやすくなっています。これら要素は「ブラオニ」をはじめとするCRPGではごくあたりまえの仕様です。つまり「ハイドライド」はアクション要素を取り込んだCRPGなのです。
レベルを上げて謎を解いて。「ハイドライド」は「ARPG」を確立した歴史的作品。
プログラマーの内藤時浩氏によれば、「ハイドライド」はCRPGにリアルタイム性をもたせることを目標に作られました。「ブラオニ」などなど、当時の主だったCRPGは、とるべき行動をリスト表示してプレイヤーに選ばせる方式、またはキーボード上から行動に対応したキーを入力させる方式、つまりいわゆる「コマンド方式」を採用してまして、慣れないと面倒くささを感じさせるものでした。また、同氏は「TOD」で遊んだ際、「もっとリアルタイム性を持たせられるハズだ、と思った」とも語っています。
「TOD」譲りのアクションゲームならではのリアルタイム性と遊びやすさ、「ブラオニ」に代表されるCRPGのキャラクターを成長させる楽しさ。そしてアドベンチャーゲームの秘密捜しの面白さ。この三つを備えたCRPGとして「ハイドライド」は「アクティヴRPG」―後の「アクションRPG」―を名乗ることになりました。「ARPG」の誕生です。
「ハイドライド」は、これまでにない新しいゲームとして多くのプレイヤーに支持され大ヒットすることになりました。「ハイドライド」の大ヒットはCRPGの敷居を一気に下げ、ARPGをCRPG界の一大分野として確立することになったのです。
「カレイジアスペルセウス」。ARPGと呼べるゲームシステムを採用していたが「ハイドライド」の陰に隠れる。
ところで「ハイドライド」以前にも、ARPGのような作品は存在していました。「ハイドライド」直前に発売された「カレイジアスペルセウス」(1984・コスモスコンピューター)です。これを目にした内藤氏が「ハイドライド」の存在価値が無くなると戦慄したほどなのですが、「カレイジアスペルセウス」は内容の淡泊さゆえか、外見の地味さゆえか、大ヒットするまでには至りませんでした。「カレイジアスペルセウス」は歴史の間に埋もれることとなり、「元祖ARPG」の称号は「ハイドライド」が得ることになりました。
ついでに「イース」の専売特許のようになっている「半キャラずらし」を最初に実現したのは、この「ハイドライド」でして、「イース」が最初ではありません。
さておき、ここで「ハイドライド」が、「TOD」に影響を受けたことが、後の国産CRPGに大きな影響を及ぼすこととなります。
「アドベンチャーゲームの秘密捜しの面白さ」とは言っていますが、実際「ハイドライド」の謎解きは、「TOD」の影響が強いものでした。
「ハイドライド」の謎解きの多くは「敵を一定数倒す」「所定の物体にぶつかる」「敵の攻撃を何度か受ける」など、「TOD」のそれとよく似ています。しかも時に理不尽さをはらむものでありながら、手がかりは一切与えられません。試行錯誤を繰り返してようやく解けるか解けないかという質のもので、攻略情報は口コミが頼りでした。
「ここから先へ進めない!」...本作で誰しも一度は悩む場所。
現在ではもはや信じられないことですが、手がかりがほとんどない謎解きを仕込むことは、当時よくあることでした。たとえば先述の「ブラオニ」でも、ある謎を解かない限りブラックタワーには侵入できないのですが、手がかりは「イロイッカイズツ」という一言が与えられるだけで、それが何を意味するかは自分で試行錯誤して見つけなければなりません。事実上ノーヒントと同じでして、謎解きというよりは、暗号解読に近いものがあります。
これはまだましな方で、複雑な条件を満たさなければ必要なアイテムが手に入らないだの、何の脈絡もない不条理な行動をとらなければ扉が開かないだのといった仕掛けをノーヒントで仕込むなど、今にして思えば理不尽極まりない謎解きはざらだったのです。
当時はCRPGに限らず、ゲームは時間をかけて遊ぶものでした。にもかかわらず、ゲーム制作技術の未熟さと、容量や処理能力といったハードの制約ゆえ、作れるゲームの規模や謎解きは限られたものでした。そこでプレイ時間の延長と難易度調整のため「理不尽な謎を仕掛ける」ことがよくあったのです。難しい謎解きでさんざん悩めば、その分プレイ時間が長くなるという寸法です。また、量のあるテキストを仕込むこともできなかった当時、難しい謎解きはゲームをより劇的にする演出として用いられていた節もあります(注3)。
しかし、当時はそれがあたりまえのことでした。理不尽さをはらむものであっても、当時のプレイヤーは「ゲームとはそうしたもの」と捉え、試行錯誤を繰り返したり友達と情報交換をしあっては攻略に励み、ゲームを楽しんでいたのです(注4)。
そして「TOD」や「ハイドライド」の成功を受け、こうした風潮はさらに強まっていったのです。
迷宮に棲む伝説の三首竜「ビオライン」によって王冠が盗まれた。主人公は奪還命令を受けた戦士。王冠を求め、戦士は危険が待つ迷宮へと潜り込む。
一方「ハイドライド」と同じ頃、日本ファルコムでもARPGの元祖と目される作品を発売しています。それが日本ファルコムの出世作「ドラゴンスレイヤー」(以下「ドラスレ」と略)です。
厳密には「ローグ」に代表されるターン制のCRPGなのですが、1ターンの持ち時間が非常に短いことと、操作系が簡略化されているため、プレイ感覚はARPGと変わりなく、実質的にARPGに分類されています。本作でも体当たり戦闘が採用されているのですが、プログラマーの木屋善夫氏曰く、「ウルティマ」のように攻撃するにもいちいち方向を入力するのは面倒なので、この方式にしたとのことです。
「ハイドライド」は和製ゲームの影響下で生まれた作品ですが、「ドラスレ」は海外ゲームの影響を強く受けているように思われます。似た方式のCRPGが、同じ時期に全く異なる方法論で生み出されたというのも興味深いことです。
本作にも一応壮大な物語が用意されてはいるのですが、はっきりいって、あってないようなものです。外見こそ「ウルティマ」に似てまして、CRPGの要素も多分に含んだ作品ではあるのですが、木屋氏自身が「『何かRPGを作りたい』というかんじで、わけのわからないものを作っていた。」と認めるとおり、CRPGと呼ぶには独創的で風変わりな作品となっています。本作の真骨頂は、その格段の自由度です。
最初は丸腰で頼りない主人公がここまで成長する。三首竜も一撃だ。
とりあえずプレイヤーは「ドラゴンを倒して王冠を手に入れろ。」という目的と、冒険の拠点となる「家」だけを与えられ、丸腰のまま魔物がうろつく迷宮に放り込まれます。プレイヤーはまず迷宮内で剣を拾い、敵を倒せるようにならなければなりません。
剣を手に入れてからが本番です。プレイヤーは敵を倒して経験値を得たり、体力や魔力、攻撃力を増やすアイテムを拾うことで成長します。本作の成長方式は少々特殊で、成長アイテムを家に持ち帰った時点で、取得した数に応じて属性値が上がります。ですから、弱いうちは家の周辺を中心に探索を進めることになります。
こうして徐々にキャラクターを鍛え、自由に動き回れるようになってくると、できる行動が増えてきます。例えば魔法が使えるようになったり、斜め移動ができるようになったり。鍵を手に入れれば迷宮内に落ちている宝箱からアイテムを手に入れられるようになりますし、指環を手に入れれば壁や家を動かして、迷宮を自分に有利なように作りかえることさえ可能です。壁を動かして魔物を封じたり、宝箱が多数置いてある場所に家を移動するのは本作の常套手段です。それゆえ本作はパズルゲーム要素が強いと指摘する向きもあります。
こんなことを繰り返し、十分強くなったらいよいよビオラインとの対決です。ビオラインは迷宮のどこかに陣取って王冠を守っています。これを倒して王冠を手に入れ、家まで持ち帰ればクリアとなります。
引っ越したり敵を閉じこめたりやりたい放題。この「何でもあり」なゲームシステムが「ドラスレ」一番の魅力。
これが「ドラスレ」のプレイの流れですが、ドラゴンそっちのけで宝物を集めまくったり迷宮を作りかえたりという遊び方も可能です。目的と開始条件だけを与えられ、あとはプレイヤーが自由に遊べるというのが本作最大の特徴で、「前代未聞麻薬的爽快遊戯」の売り文句どおり、これまでにない斬新なゲームとして、多くのプレイヤーから支持されたのでした。
「ドラスレ」は「ハイドライド」とともに、ARPGという分野をゲーム業界に広く知らせる役目を担いました。「ドラスレ」がARPGの元祖とされるゆえんです。そしてこの作品のヒットにより、日本ファルコムはCRPG制作会社として、本格的な一歩を踏み出すことになるのです。
注1・「ギルガメシュ叙事詩」の他にも、テーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」からも大きな影響を受けている。「TOD」の設定は、古代メソポタミア神話、旧約聖書の「バベルの塔」、「剣と魔法」の中世ファンタジーが混ざりあった格好になっている。ついでに言うと「イースVIナピシュテムの匣」は、その元ネタをギルガメシュ叙事詩に登場する「ウトナピシュティム」に求めたらしい。
注2・内藤氏によれば、バーメーターを採用したのは「ブラオニ」の影響であるとのこと。
注3・他には「探索に時間がかかる迷宮を作る。」とか「最後にどんでん返しを持ってくる。」なんてのもよくあった。特にエニックスはどんでん返しが大好きで、「ポートピア連続殺人事件」(1983)「ザース」(1984)「地球戦士ライーザ」(1985)など、最後に反則的などんでん返しを持ってくる作品が多かった。
注4・「TOD」のファミコン版がゲーム攻略本を世間に広めるきっかけになったことはよく知られている。ついでにPCエンジン版「TOD」は他とはひと味違う移植になっている。グラフィックが続編「イシターの復活」(1986/7・ナムコ・アーケード)風に改められたほか、各フロア開始時にイシターが宝探しのヒントを教えてくれるなど難易度の低下が計られた。他にもパスワードコンティニュー、体力の常時表示、成長要素の強化など、アーケード版の問題点があらかた解決されている。この変更は遠藤氏の監修によるもので、本人もおおもとのコンセプトに最も忠実で、シリーズ中一番出来がよいと認めている。
PCエンジン版「ドルアーガの塔」