メイキングオブイースIV〜「イースIV冒険ガイドブック」から

 「イースIV」の攻略本は、PCエンジン版向けに小学館より「イースIV冒険ガイドブック」の一冊が出されたのみです。攻略法はもちろんのこと、ハドソンのPCエンジン版製作スタッフ、音楽アレンジ担当の米光亮氏、そして日本ファルコム社長(当時)の加藤正幸氏へのインタビューも収められています。「イースIV」の補足として、それらインタビューを紹介いたします。
 なお、SFC版の攻略本は出版されていません。


メイキングオブイースIV

ハドソンのPCエンジン版スタッフ
『イースIV』製作スタッフのみなさん。かなりの人数が製作に関わっているのだ。

 いままでのような移植ではなく、オリジナルの「イース」を作り出すという初の試みも、ようやく最終段階。そんなデバッグ真っ最中のハドソンにおじゃまして、いろいろな話を聞いてみた。

木が多いだけではただの森。
じゃあ樹海ってどんなところ?

 『イースIV』では複雑に入り組んだ立体構造のマップに苦しめられた人が多いはず。特に序盤に登場する樹海は第1の難関だったはずだ。では、あの独特なマップはどのようにして作られたのだろうか。スタッフの皆さんに聞いてみよう。(文中敬称略)

―「IV」では立体構造になっているマップが多いですね。特に樹海が印象的でした。

長山「今回はやはり樹海がメインなんですけど、軽く木が立ってるような林や森じゃやだなと思ったんですね。じゃあ、樹海にするにはどうしたもんかなということになったんですけど、最初は、誰も樹海がどういうものかわからなかったんです。木がいっぱいあればいいのかということにもなったんですけれど、いや、それは単なる森だよね、と。それでみんなで考えた結果、ああいう形の樹海マップになったんです」

 確かに雰囲気が出ていて、実際に歩いてみると、深い樹海をさまよっているようだった。他にも独特のマップがいくつか登場したが、では製作スタッフが特に気に入っているマップはあるのだろうか。

―個人的に好きなマップ、またはこれは成功したなというマップはありますか?

土江「精神世界に出てくるだまし絵的なマップはとても好きですよ」

長山「うん、あれは評判よかったね。たしか丸山君が作ったんだ。誰かがあそこで迷っていると彼が後ろでニヤニヤしていて(笑)。デバッグでゲームをやりこんでくると、マップをおぼえますよね。それでみんながすいすい出口まで行くと、今度はくやしそうにしているんですよ」

 やはり、それぞれ思い入れがあるようだ。マップ、サウンド、メッセージ、演出など、どれ1つとっても苦労して作ったものなのだから、いろいろな思いがあるのは当然だろう。いろいろな人から意見を聞いて改良。こうして完成に近づいていく。
 では、実際にゲーム製作はどのようにして進行していくのだろうか。編集部では、この攻略本を製作するために、『イースIV』を開発初期から見てきたが、初期のバージョンと比べると製品版はかなり変わっている。

―以前遊んだものと製品版はけっこう内容が変わっていますね。特にメッセージはかなり変更されていますが。

長山「それは伊藤丈夫の仕業ですね(笑)」

伊藤「セリフはつねに変わってましたね。いろんな人の意見を聞いて、わかりにくかったところをできるだけフォローしようという方向で変えていきました」

―パーティバトルも変わりましたね。以前は地形に引っかかるとそのままでしたけど、最終的には自動的についてくるようになった。

長山「そのあたりはプログラムの杉本と蝦名が苦労してました。あまりにも役に立たないんじゃ、パーティバトルの意味がないですから」

―確かに彼らは強いですよね。なにしろ死なないんですから。

長山「そう、強いんです。はっきりいってアドルよりもじつは強い」

土江「危ないときは、彼らを前にしてむりやり押しながら進む(笑)」

長山「うまくやるとノーダメージでボスまで行けますね」

土江「ただ、彼らにまかせっきりだと経験値はかせげないですけど」

長山「スラノの墓では画面が切り替わる前にかってに行っちゃって……。倒すと爆発する敵にかってに突っ込んじゃうこともありますし。まったく迷惑このうえない(笑)」

 このようにして、ゲームは一歩一歩完成に近づいていったのだ。はじめからある企画をそのまま形にするだけではなく、製作途中に思い着いたことをいろいろとプラスしていくことで、おもしろいゲームは作られるのだ。

声優達の熱演には
製作スタッフも驚きの連続

 『イース』シリーズといえばビジュアルなどの演出、特に豪華な声優陣による演技も見もの。『IV』でもおもしろいエピソードがいくつかあったようだ。

―『イースIV』のアフレコはいつごろ行われたのですか?

伊藤「夏ごろ、ですね」

長山「結局2日で終わったのかな。すごかったですよ、闇の一族の役の方なんかが『ぶっ殺してやる!』と力演して」

山口「でも、その後にすいません……て」

長山「NGが出たときだよね。『ぶっ殺してやる! あっすいません…』て。急に謙虚になっちゃうんです。役に合わせて声を作ってる方は、地声と役の声のギャップが激しくて、ミイラ(賢者アリア)の声もぜんぜん違っててびっくりしちゃったり」

土江「声のおかげで絵が変わったというパターンもありますね。エンディングに出てくるヴェヌスの廃村の女の人は、はじめはおばあさんくらいだったのに、声があんまりにも若いということで、急遽しわを全部取って若くなってしまったんです。」

長山「そうそう、若返ったよね。土江整形クリニックで(笑)」

 あたりまえのことではあるけれど、ハドソンの製作スタッフはもちろん、声優さんなど多くの人々の力によって『イースIV』は誕生したのだ。こういったことを思い出しながらゲームを遊んでみると、またひと味違った面が見えてくるかもしれない。

同じイベントでも種類はたくさん
特にリーザファンはチェックが大変

 では最後に、奥の深いストーリーをどのようにゲームの中で表現するか。このあたりのことを聞いてみよう。

―今回はイベント、言い換えると、見せ場がたくさんありますね。

土江「キャラがアップで登場するところは、かなり気を使っています。目や口などの動きのパターンもかなり多いですよ」

長山「プレイヤーの状態によってセリフが変わるところも多いですね。蝦名がフラグ管理(編注:あるイベントをクリアしたかをチェックする作業)してたんですね。ずっとアドルでいる時しか会えないキャラもいる。1度でもルーで会うとまたパターンが変わってしまうという……。後半になるほどそれが加速していって、どんどんパターンが多くなっていきますね」

土江「特にリーザと会うところは細かいですね。かなりパターンがありますよ。これ、リーザファンは全てのパターンをチェックするのが大変ですね(笑)」

―イベントといえば、カーナとは手紙でやりとりしますけど後半は会いませんね。

長山「あの娘は本当に家にいませんね。不良なんです。後半は……エンディングで会えるでしょう(笑)」

―そうですか(笑)。今日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。

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