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PCエンジン版『イースIV』はどんな雰囲気の中で作られたのか−。ハドソンのファンクラブ会報「ユーモアネットワーク」1993年3月号〜12月号に掲載された、メインスタッフ長山豊さんによる同時進行ドキュメント『イースIV開発日記』から抜粋しました。
「イースの良さって、やっぱ、バランスだと思うんですよ。誰でも解けて、でもヌルくない。今回もそんなゲームを目指したいですね」
「チューニング、大変そうだね」
「あと、今までのボスバトルは、全部四角くて狭い部屋の中だけだったですし、あれを何とかしたいですね」
「今回も、ドギは出るんですか?」
「そりゃあ、やっぱ、お約束だからね。でも、壁破るだけじゃなくて、もうちょっとアドルの役に立ってほしいって気がするね」
「お約束っていったらリリアでしょ。もちろん声優は、鶴ひろみさんで…」
「(無視して……)『イースI・II』」って確かに良いゲームだと思うんだけど、今やってみるとけっこう古臭い部分とかもあるよね。ファイヤーの魔法とか、1セルの火の弾がボワンって出るだけだったり……あのへんって改良の余地がありそうだね」
「だからリリアの出番を増やしてくださいよ」
「うるっさいなあ、あと、アイテムが今までは”鍵”とかのフラグアイテムばっかりだったから、今度はもうちょっと……」
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「……ということなんです。……長山さん? ちゃんと聞いてますか?」
「ん!? ああ、ごめんごめん。聞いてるよ。リリアだろ? そりゃあ出すよ」
「何、聞いてるんだか……」
長山「ねえ、芳賀! ボスの攻撃パターン一つ考えてみたんだけど……ほらほら、こいつの触手が、ブシュッと伸びるんだ。で、そいつがアドルの行く手を阻んでしまうのね。本体は、全然ダメージくらわなくって、どうやって倒すかっていうと、そいつの触手にファイヤーの魔法を撃つんだ。そうすると……」
芳賀「なんか、そんなの『スター○ォックス』にありましたよ」
長山「……え? どれどれ、見せて!!」
<20分後>
長山「……そうだね、そっくりだね、ごめん」
長山「ヤバイよ伊藤! あの声優さん、スーツ着た真面目そうな人だよ。あんな人に『うげごゴゴゴぶごばー!!』なんて原稿、読んでもらっちゃ悪いよ!」
伊藤「でも……仕事ですし……」
長山「せめて、『ぬごぉぉぉ!』ぐらいにしといたら?」
伊藤「そうしちゃうと、迫力が……」
長山「まだ間に合うって! 差し替えよう! ……あっ! 始まっちゃった!」
音響監督「シーン1の2!! スタート!
声優さん「うげごゴゴゴぶごばー!!」
長山「げげ!! バグった!! 杉本、ほら! キーがきかない! ビデオ見てみるかい?」
メインプログラマー・杉本「(冷静に)……長山さん……パッドが抜けてますよ……」
長山「げげ!! バグった!! 杉本、ほら! 洞窟の中なのに体力が回復している! ビデオ見てみるかい?」
メインプログラマー・杉本「(冷静に)……長山さん……ヒールリング付けてません?」
しかし、眠い。今は夜中の(というより朝の)4時。それでもみんなまだ働いてますよ。この業界、体力勝負ですね。そういや新入社員だった頃、朝、会社の電気つけたらラックの下とかダンボールの中とかから徹夜明けの”生きた死体”が、もそもそ起き出してくるのを見て「こりゃすごい会社に入っちまったぞ……」などと思っていたのに、それから1年もたたないうちに自分がアンデッド化していようとは……ゾンビ取りがゾンビになったってやつですか?(意味不明)
なんか文章がだらしないですけど、どうにもねむいのでごかんべんを……そういや新にゅうしゃ員だった頃、朝、会しゃの電気つけたら……いかん! 思考がループしてきた。すいまをこくふくすろためには、1.かおをあわう2.こーふぃをのむ3#きもCHIをひきしめる@4どーぴんグSYる5*あきらぬてめてしまふZっZ・・!! いかん!!!……ZZZZZZZZZZZZzzzzzZZZぐZZZZZZZZZZZZにゃZZZZZZZZZZZZZZあZZZZZZZZZZげZZZZZZZZZZZZZ……
「いやぁ、終わったね」「長かったぁ……」
「みんな本当にお疲れさま!!」「ウヒウヒ」
「さあ打ち上げだ! どこ行こうね?」
「受注どんくらいかな?」「評判どうだろう?」
「やっぱ早く帰れるって良いね」
「しばらくモニター見たくないっス」
「とかいいながら、昼休みト○ネコやってたじゃん」「だからそれは……」
(ナレーション)がやがやと騒ぐ一同。そこに藤原部長が現れて……。
藤原部長「長山君さぁ、早速で悪いんだけど次の仕事の会議、出てくれないかな?」
長山「どっかーん!!」