「イースIV」が同じ原案を別々に解釈する形で作られたことはこれまで述べたとおりですが、そのため機種によって出たり出なかったりという登場人物もいます。こうなることは日本ファルコムも見越していたことでしょうし、それが狙いでもあったことでしょう。
しかしどちらの「イースIV」も冒険日誌「セルセタの樹海」の全容を知るには不十分で不完全であるという認識はファンの間に共通してあります。
「イースIV」はもう一本、メガCD版が作られるはずでした。日本ファルコムが開発に深く関与していたため、ファンの間ではそれが決定版になると言われていましたが、開発中止で幻となっています。そういうわけで、両機種版を統合した決定版「イースIVエターナル」を望む声が今でも根強く残っています。
原案により忠実と言われるSFC版ですが、SFC版だけという人物は少ないです。
古代文明研究家の老人。研究のため妻と湖畔に住んでいる。古代文明についてアドルに教えてくれる。
まずは古代文明研究家のガゾック。アドルの冒険をいろいろ手引きしてくれます。しかし古代文明研究家である割に、それらしくありません。セルセタ古代文明について詳しい話が聞けるわけでもありません。薬を買いに行ってもらったお駄賃として、貴重な大地の瞳を呆気なくアドルに渡すあたり、研究家の取る行動ではありません。
そんな彼も「イースマテリアルコレクション2」収録の資料を見る限り、原案には登場しています。
古代セルセタの秘宝三つの瞳を集めたもののみが会える。セルセタ古代史に詳しい。
異変の原因が古代セルセタ文明にあることを指摘し、事態収束のためレファンスの力が必要であると伝える。
SFC版では、古代セルセタ史はこの大長老から教えてもらいます。重要イベントとはいえ、SFC版は古代史解明パートに力を入れてるわけでもなく、あっさりしたものなので影は薄いです。
大長老はレファンス廟の門番も兼ねていますので、大長老と会うことができれば、英雄の剣こそ必要ですが、間もなくレファンスにも会うことができます。
「イース」ではミネアの街で取引所を経営していた。拾得物さえ店に並べるため悪評が上がっていた。
「イースIV」ではゴーバンの店に客を奪われ不振に陥っている。アドルに金の台座を売る。
ピムはどちらにも出てきまして、ゴーバン開業につき廃業を考えていることは一緒です。PCE版はゴーバンの引き立て役にすぎず、やがて廃業するため本編には絡んできません。しかしSFC版ではアドルに古代都市復活に必要な品、金の台座を譲ってくれるため、こちらで取り上げています。
この金の台座はアドルが「イース」でピムに売却したものです。そのことを知らないプレイヤーの方々はその在処で頭を悩ますことになります。
プロマロックの人足頭と宿屋の主。プロマロックに戻ってきたアドルに冒険の話をせがむ。
端役ですが、彼らについても触れておきます。どちらもオリジナルの「イース」マニュアルに収録されているプロローグに登場していた人物です。画面写真では上の青い髪の男がビクセン、下の坊主頭の男がノートンです。
アドルはプロマロックでビクセンの宿に泊まり、ノートンの元で荷揚げ人足として働いていました。ゲーム本編初登場ですが「イースIV」でもプロローグ以降物語に絡んでくることはありません。
プロマロックの倉庫街では、アドルがセルセタにぼろぼろになって漂着したという話が聞けますが、アドルが漂着したのはエステリアのホワイトフォーン海岸でして、保護したのは「イースエターナル」に登場したバルバドの自警団長スラフとその父である医師ブルドーです。制作者の思い違いでしょう。