イース・オリジナル〜「イース Ancient Ys Vanished Omen」

 前回は「イース」が生まれるに至った背景について述べました。今回は実際のゲームについて紹介します。
 なお、今回の記事は物語の核心に触れる内容を扱ってますので、自力で解きたいという方は、ゲームを解いてから読まれることをお勧めします。
(画面写真は全てMSX2版のもの)


基本データ

「イース Ancient Ys Vanished Omen」

イースIパッケージ

日本ファルコム 価格はいずれも7800円


プロローグ〜「アドル・クリスティンの冒険」

イースIタイトル画面

 冒険に憧れる少年、アドル・クリスティンは16歳の時から故郷エウロペ北東の山村を離れ、冒険の旅を続けていた。とはいえ冒険らしい冒険に巡り会うこともなく、行く先々で路銀を稼ぎながら、街から街へと転々とする日々を過ごしていた。

 故郷を発って一年半、アドルは港町プロマロックを訪れた。そこで投宿した宿の主、ビクセンより呪われた国エステリアの噂を聞く。
 エステリアはドゥアール海を挟んだプロマロックの対岸にある島国で、「バギュ・バデット」と呼ばれる巨大なカルデラと、「悪魔の塔」と呼ばれる塔がある。かつては銀の産地として名を上げていたか、半年前よりドゥアール海に「嵐の結界」が発生し、外界との往来が途絶えていた。原因を探るため何人もの人がエステリアに向かったが、誰一人として戻ってこなかったという。
 ビクセンの紹介で、アドルは港で荷揚げ人足として働くことになった。仕事の合間、ドゥアール海向こうのエステリアの島影と「悪魔の塔」の姿を眺めるうち、アドルは次第にエステリアに行きたいという気持ちを募らせていった。人足の責任者ノートンは、思い留まるようアドルを説得したが、その決意が固いことを知ると、エステリアに向かうための舟を与えた。

 アドルが出航するとひどい嵐になり、やがて舟が転覆した。アドルは海へと投げ出されたが、奇跡的にエステリアのホワイト・フォーン海岸に漂着し、念願のエステリア上陸を果たす。しかし森の中で猛獣リーボルに襲われ負傷し、絶体絶命の危機に陥ってしまう。そこにバルバドの自警団が現れ、アドルは九死に一生を得た。

 アドルはバルバドの町長ブルドーとその息子スラフの手篤い世話により、次第に体調を戻していった。嵐の結界や魔物の出現など、エステリアでは数々の異変が起こっていたが、その理由は明らかではなかった。原因究明の人手を差し向けようにも、ブルドー親子はバルバドを守る立場にある以上、村人をみすみす危険にさらすような真似はできず、悩んでいた。
 日増しに魔物の攻勢は激しくなり、人々の不安も大きくなっていった。このままでは平和はないと、アドルはついに自分が原因究明に向かうことを決意する。アドルはブルドーから旅の元手を受け取ると、バルバドの北、ミネアの街へと向かった。
 アドル最初の冒険はここから始まる。


ミネアの街

ミネアの街入口 オーマンの酒場

 ミネアの街に着いたアドルは、さっそく何が起きているかを人々に尋ね廻った。街の北にある草原や廃坑には魔物が出現し怪我人も出ていた。街には黒いマントの男が出没するようになり、人々に不安を与えていた。盗賊が街を荒らしているという噂で、街の片隅ではレアと名乗る詩人が、命の次に大切な「銀のハーモニカ」を奪われたと途方に暮れ、子供らが防具屋から持ち出した「銀の楯」も奪われていた。


占い師サラ

剣士募集中 占い師サラ

 「占い師が剣士を探している。」「占い師が世界が滅びるとか言っている。」という話を聞いたアドルは、件の占い師サラのもとを訪ねた。するとサラは剣士としての装備を調えてからもう一度来るようにとアドルに言った。
 その言葉に従い、身支度を調えて再びサラを訪ねると、「イースの本」を知っているかと尋ねられた。イースとはかつてエステリアにあった国の名前で、「イースの本」はその歴史を書き記した六冊の本だが、イースが滅びるとともに散逸したという。サラはその一冊が山上の神殿にあるといい、アドルに本探しを頼んだ。承諾すると、サラは道しるべとしてクリスタルを渡すとともに、まずはゼピック村に住む自分の叔母に会うようにと言った。


ゼピック村

ゼピック村 村長の家

 バギュ・バデットの外輪山、プレシェス山ふもとのゼピック村に着いたアドルは、ここでも村人に話を聞いてみた。村長は村の象徴である「銀の鈴」が盗賊に奪われたと頭を抱え、村人は時折現れる魔物の姿に怯えていた。行方不明者も出ていた。ある女は夢遊病で姿を消した夫ルタの行方を探していたし、ある盗賊は塔で消息を絶った仲間ドギのことを心配していた。


ジェバの家

ジェバの家

 アドルはサラの叔母ジェバに会いに行った。ジェバはアドルがクリスタルを持っているのを見てイースの本を探しに行くことを察し、神殿の鍵を渡した。ジェバはまた、サラが最近命を狙われているという噂に姪の身を案じていた。


盗賊のアジト

盗賊のアジト ゴーバンのお頭

 人々は盗賊を嫌っているが、一方でその博識ぶりに一目置く者もいた。アドルはプレシェス山中、塔の隣にある盗賊のアジトにも足を伸ばした。
 アドルが盗賊の頭ゴーバンに一連の盗難事件のことを問いただすと、ゴーバンは容疑を否認した。それどころか盗賊のアジトからも銀製品ばかりが盗まれており、ゴーバンも事件を不可解に思っていた。


神殿

神殿入り口 ジェノクレス
シルバーシールド入手 銀の鈴入手

 山上の神殿では巨大な亡霊「ジェノクレス」が待ち受けていた。アドルはこれを倒し奥に向かった。
 神殿の奥は複雑な迷宮で魔物の巣となっていたが、数々の宝物も眠っていた。その中にはなぜか盗賊に奪われたはずの銀の楯や銀の鈴もあった。


フィーナ救出

フィーナとの出会い ジェバの家に厄介になっているフィーナ

 神殿の一角の牢には、フィーナと名乗る娘が捕らわれていた。とりあえずアドルはフィーナを安全なゼピック村に逃してやった。
 フィーナはジェバに保護されることになった。アドルはなぜ神殿に捕らわれていたかフィーナに尋ねてみたが、彼女は記憶を失っており、その理由を思い出せないでいた。


サラの死

ニグティルガー サラの訃報

 アドルは神殿の最深部で百足の魔物「ニグティルガー」を倒し、魔物が守っていた一冊目のイースの本を手に入れた。ところがサラのもとに報告に行くと、悲しい報せが待っていた。サラが「廃坑へ」と遺言して、何者かに殺されたというのだ。アドルはサラの遺品である二冊目のイースの本を受け取ると廃坑を目指した。


廃坑

廃坑入口 廃坑内部
シルバーアーマー入手 縦孔跡

 廃坑は暗く視界が利かないばかりか、強力な魔物が徘徊しており、非常に危険な場所となっていた。わずかな明かりを頼りに探索を進めると、ここでも数々の宝物が見つかった。「銀の鎧」に極上の味がするという「ロダの種」、そして盗賊に奪われたという銀のハーモニカまで。アドルは一旦地上に戻ることにした。


ロダの樹

ロダの樹 シルバーソード入手

 ジェバによれば古代の人々は植物と話ができたという。草原にある老木「ロダの樹」と話ができれば、何か手がかりが掴めるかもしれない。ゆかりの品を携えてロダの樹の下に向かうと、ロダがアドルに語りかけてきた。曰く、ロダの弟の樹の足下には、イースの時代に埋められた剣が眠っていると。ロダの言葉に従い南にあるロダの弟に話しかけると、そのとおり、根元から「銀の剣」が現れた。


銀のハーモニカ

詩人レア 「Templo del Sol」演奏中

 廃坑で見つかった銀のハーモニカはレアのものだった。アドルがレアにハーモニカを渡すと、レアは廃坑にあったことを意外に思いつつも、大喜びで演奏を披露してくれた。


台座の間

ヴァジュリオン

 廃坑の最深部には蝙蝠の魔物「ヴァジュリオン」が潜んでいた。無数の蝙蝠に分裂して襲ってくる強敵で、アドルを散々に手こずらせたが、アドルはなんとか撃破し、三冊目のイースの本を手に入れた。
 ヴァジュリオンの間の奥には謎の部屋があった。村人の話によれば、かつてはここに二柱の女神像があったらしいが、目の前に女神像はなく、かわりに台座が二つ並んでいるだけだった。

台座の間


イースの本

本の朗読を申し出るジェバ

 イースの本は古代文字で書かれているため、アドルには読めなかった。ジェバに見せるとその内容を読み聞かせてくれた。
 一冊目の本「ハダルの章」には、イースが「クレリア」という金属によって栄えたこと、二冊目「トバの章」には、イースが二人の「女神」と六人の「神官」によって治められていたことが記されてあった。三冊目「ダビーの章」には、イースが突如現れた魔物によって蹂躙され、その原因となったクレリアを地下に封じたことが綴られていた。

ダームの塔突入

 三冊の本を読み終えたジェバは、残りの本は悪魔の塔こと「ダームの塔」にあると言った。アドルが盗賊のアジトに行くと、ゴーバンが母親ジェバから話は聞いたと、塔の入口を開いてくれた。塔は魔物の巣窟で、中から魔物が出てこられないよう、入ったら出られないようになっている。アドルはついに塔に足を踏み入れた。

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