東北地方の背骨とも言える奥羽山脈は、日本海と太平洋とを分ける大分水嶺でもある。降った雨が日本海の水になるか太平洋の水になるかの境目のことを大分水界というが、それが山脈の尾根にある場合大分水嶺と呼ぶ。水にとっては重大な岐路なのだが、それが意外と身近なところに、目立たない形でひっそり存在してたりするというのは何か示唆的である。
最上町のJR陸羽東線堺田駅前に立つ看板。堺田は「奥のほそみち」で松尾芭蕉一行が泊まった場所として有名。山形県と宮城県との県境であり、また分水嶺のある場所であり、文字通り境の集落となっている。このへんは奥羽山脈でも標高の低い地点で、海抜338メートル。
駅前広場にある用水路。北から流れてきた水がつきあたりで西と東に分かれている。水の分かれる様が見える大分水嶺は全国的にも珍しい。同じ流れも、西の水はやがて日本海に、東の水は太平洋に注ぎ込み、二度と出会うこともない。
(2001年取材・2002年12月記)
アクセス:山形県最上町JR陸羽東線堺田駅前。新庄市から車で約1時間。電車なら堺田駅で下車。
冬季閉鎖:無。
特記事項:夏場は水量が少ない。春の雪解け時期が見頃。近所には「奥のほそみち」で有名な封人の家がある。