ずいぶん山奥なのに電柱がある。鉱山で使っているのだろう。
山奥に突如として現れる人工物は、一見古代遺跡にしか見えない。昭和13年から採掘が始まり、往時は100人を超える人間が採掘に従事していた。巨大な遺構はかつてこの周辺が鉱業で栄えていた頃の夢の跡である。鉱山の隣には小屋があり、今でも人の手が入っていることが伺える。
鉱山から少し登ったところ。舟形町との境で、北村山郡と最上郡の郡界でもある。残念ながら展望は開けない。福舟峠の名は、尾花沢市北部の旧地名「福原村」と舟形町をつなぐ峠であることに由来する。鉱山からここまでの道はガレている。
峠を越えると道は急な下りになる。かつては麓の舟形町長沢地区までこの道を通って採掘された鉱物が運ばれていたのだろう。道はずいぶん昔に舗装されたままらしく、アスファルトを割って草が生えていた。
舟形町側に下る途中にある。静かで釣りをするにはちょうどよさそうな場所。
この時期は五月の上旬だったが山桜がまだ咲いていた。
下っていくと杉の木の間から集落が見えてくる。
福舟鉱山の採掘に従事していた人々の多くはこの集落に住んでいた。
舟形町側の峠入り口。民家の間の生活道路にしか見えない。
ていうかそのまんま生活道路である。
小国川を渡った高台、集落を見下ろせる場所にある。
福舟鉱山で採掘された鉱物は峠を越えて長沢まで運ばれ、さらにそこから鉄道で運ばれていた。
長沢駅を過ぎてからは山間の田んぼを縫って走る。
舟形町大平。周囲は田んぼばかり。県道はここを右に曲がる。
下を走っているのは国道47号線。県道はここで終わっている。最後の最後で急な下りが待ち受けている。新庄方面から県道に入る場合、トンネル手前の見通しの利かない場所でほぼ180°のターンをしなければならないためけっこう危険。
その後2005年に国道47号線をまたぐように道路が改修され、このターンは車では通行不可になった。現在はより安全に国道に出られるようになっている。
(1999年9月/2002年5月取材・2003年12月記・2006年6月追記)
アクセス:始点は舟形町国道47号線長尾トンネルの手前。終点は尾花沢市県道120号線萩袋交差点。
所要時間:始点舟形町大平から終点尾花沢市荻袋まで自動車で約1時間。
冬季閉鎖:有。福舟峠を含む舟形町長沢から尾花沢市南沢まで7.3km。12月上旬から4月下旬まで。
特記事項:
福舟峠周辺は民家のないまるっきりの林道なので無謀な走行はさけること。だいぶ奥まで田んぼや畑があるため、季節には地元の農家の方が多く通行する。邪魔にならないように気を付けること。自転車乗りにはたまらない道路かと思う。