「スーパートリトーン」

「スーパートリトーン」タイトル画面

躍動!アクション・ロールプレイング…

 あの人気作「トリトーン」を超パワーアップだ。グラフィックもマップも画面数もすべてをMSX2の機能で大幅にバージョンアップ、アクションR・P・Gの超傑作として遂に新登場だ! 君の挑戦を待っている…ただしこのゲームは難しいぞ〜!!

 隠れキャラ、隠しコマンド、隠れエリア。と、RPGファンに嬉しい隠しシリーズ。巨大な敵と戦い、勝ち、生き残れるか。

 MSX2のポテンシャルで200%パワーアップ! アクションR・P・Gの人気作『トリトーン』があのMSX2で超パワーアップした。画面数は、なんと60画面!隠しステージあり隠れキャラあり超デカキャラの猛攻ありと迫力も驚きもの!次々と襲いかかる敵キャラを倒しながら力をアップさせなければ……必殺技は、たのみのマジックボールだ!

当時の広告より


「スーパートリトーン」とは

 1985年秋の発売以来、「トリトーン」はARPGの佳作として好評を博し、数々の機種に移植されました。そして1986年12月にMSX2版が発売されることになったのですが、それが今回紹介する「スーパートリトーン」です。
 「スーパー」の冠のとおり、本作は「トリトーン」の大増補改訂版という位置づけで、ゲームシステム・マップ構成・グラフィック・敵キャラ等々、全体にわたって大きく手が入れられています。特に「メガロム」こと1メガビットの大容量ROMカートリッジやMSX2のビットマップグラフィック機能の恩恵により、マップはより広大に、グラフィックはより美麗になり、生まれ変わったと言ってよいほどの変貌を遂げています。

 「パワーアップ」「隠し」「難しい」等々、広告文を見ると、本作はボリュームの多さや難しい謎を売りにしていたようです。それもそのはず、当時のコンピューターゲーム界は「スケールが大きいほど面白い、難しいほど面白い」という時代のまっただ中にありました。その頃の「POPCOM」誌上の人気ソフトチャートを見てみると「ザナドゥシナリオII」「ロマンシア」「覇邪の封印」「ハイドライドII」といった、難解なRPGがランキングを賑わせています。当時ザインソフトで開発されていた「未来」や「トリトーンII」は日本ファルコムの「ザナドゥ」を強く意識したものでしたし、先行するMSX ROM版「トリトーン」でも、他機種版よりマップや謎が増えていました。ですからそれとほぼ同期の「スーパートリトーン」が、画面数や難解さを売りにするのは、必然の流れではありました。

 ただし、題名が「スーパー」になったからといって、ゲーム内容もスーパーなのかと訊かれると、少々疑問符を付けざるを得ません。当時のゲームは「難しくてやり応えがあること」を第一義に据えていたおかげで「遊んで楽しいこと」がおろそかにされていた節があります。中にはスケールや難解さにこだわるあまり、ゲームとしての出来が犠牲になるという例さえあったのですが、「スーパートリトーン」も、その例外ではありませんでした。
 確かにマップはより広大に、グラフィックは美麗になりました。しかしスケールを大きくすることに気を取られたおかげか、ゲーム進行は全体的に冗漫で変化に乏しく、「トリトーン」ほどゲーム設計は練られていません。また、バグなども散見され、メガロムの大容量とMSX2の性能に任せて作った「ハリボテ」感は否めず、「スーパー」だというのに、完成度の低さが目立つ結果となってしまいました。そもそも、ゲームの本筋とは関係のない隠し要素を売りにすること自体、ゲームとしてどこか間違っていると思うのですが。
 無印の「トリトーン」が今なお佳作と讃えられ、携帯電話用にリメイクされたりする一方で、「スーパートリトーン」はほとんど顧みられることもないのを考慮すれば、本作がいかなるものであるかは判っていただけることでしょう。

 ザインソフトは日本ファルコムに、憧れにも似たライバル心を抱いていました。「トリトーン」と同期で同じ横視点の「ザナドゥ」が大ヒットしたのを見て、「横視点だったらウチだって!」という対抗心があったのかもしれません。「トリトーンII」の開発に際しては、「これならザナドゥに勝てますョ!」と、社長宮本隆博氏自らが、その出来を自信満々に吹聴していました。
 ザインソフトのスケール志向は「日本ファルコムに追いつけ追い越せ」という気持ちの表れであったようにも思われます。もっとも、気持ちばかりが逸って怪作奇作を量産してしまったのが、ザインなのではありますが...

「トリトーンII」開発中 「トリトーンII」開発後
「トリトーンII」ビフォーアフター(左・開発中 右・製品版)。「ザイン版ザナドゥ」は「偽イース」と化していた。

 さて、マップの広さやモンスターの種類、謎の多さが売りとなる時代は間もなく終わりを迎えます。この数ヶ月後に「誰もが解く楽しさを味わえること」を売りにした「ジーザス」と「イース」が発売され、コンピューターゲーム界に一大転換が起きたのです。そんな時期を目前にして世に出た「スーパートリトーン」とは、難しいゲームがもてはやされた時代の最後に人知れず咲いては散った、数ある徒花の一つだったのかもしれません。
 ところで、「トリトーンII」の開発は難航したようで、発表されてから世に出るまで、2年ほどの時間を要しています。その間にコンセプトの変更があったようで、開発当初の渋い面影はすっかり失せ、なぜかリリアの出来損ないのような人物が登場するようになっていました。

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