初代「読者の闘技場」から('88・5月号〜'89・4月号)

88/4・早川みどり

「ヨグレクス&オムルガン」
「あのキャラはいったい…!?」
「引本!! ドジこくんじゃねえぞ」
「そいつは俺がお前に言うセリフだぜ清水!!」
(88/4・早川みどり)

T:近頃清水はとんでもないネタであたしをいじめます。必殺……おっとあとは内緒だ。推理してみ。

 ベーマガライターズネタです。「引本」ことロッキー引本氏と「清水」こと清水毅氏は、多忙な山下氏のかわりに、Q&Aコーナーやゲーム紹介記事を担当していました。ヨグレクス&オムルガンの名前こそ出てきますが「イース」とはほとんど関係がなく、「難敵の攻略方法を探る」というライターの仕事を、漫画ネタに絡めているといった方がよいのでしょうか。
 ライターネタは初代「闘技場」では主流のネタでした。このネタのように、漫画ネタと組み合わせたものが特に目立ちます。
 寸評の「T」は、担当者TOMMY氏(現・ベニー松山氏)の略です。もちろんTOMMY氏もよくネタにされていました。


88/4・Dajarer-Lv15

ロダの木の正体
このおー木 何の木 気になる木〜
『SILVER SWORDをてにいれた』
(88/4・Dajarer−Lv15)

山下:ムムッ、このネタはボクがすでに別冊の中で使っているぞ! みんな考えることは同じってか?

 ロダの木を、日立グループの宣伝に登場する「日立の樹」こと、ハワイのオアフ島にある、モアナルア・ガーデンパークのモンキーポッドの木になぞらえたネタです。イースネタでは定番といえます。荒井も「アドルさん」で使ってますし。


88/4・KOHL

ファルコムの新作とかけて紳士服の宣伝ととく。そのこころは
いいスーツ(Ys2)
(88/4・KOHL)

山下:うまい、うまい、うまい、うまい、まいむべっかんしょ。
編:”よっこいしょ”じゃなかった?

 山下氏も寸評に苦しんだようです。


88/5・よっちゃん

サ(ア)ドル=クリスティン in 〜椅子(イース)〜
椅子の書を探してサドルは旅に出る
注 頭の部分は自転車のサドルなのさっ!
(88/5・よっちゃん)

T:サドルと椅子の二重がけに感心。でもアドルの顔はこれじゃ真っ黒な和式便器に見えるぞ。下品。

 このネタのおかげで、いまだニュースでイスラム教シーア派の有力者の名前を聞くたびに...


88年7月号闘技場タイトル

読者の闘技場

レフェリー:山下 章
ふくながさ:TOMMY
キミたちの飲み友達:筋肉質の男

今月の金の台座賞 銀のハーモニカ賞 ダームの銅賞

 88年7月号から。初代「闘技場」では、毎回上位三位の名称が、ゲームに関する駄洒落になっていました。そして山下氏、TOMMY氏の名に続いて、「キミたちの〜」と称して、ゲームに関連した(そして闘技場には何の関係もない)人物の名前が連なっています。この回はもちろん「イース」の駄洒落です。しかしやがてネタ切れになり、途中からは賞の名前を読者に決めてもらっていました。


88/7・大野木藤

注 ヴァジュリオン
(88/7・大野木藤)

山下:注がついてないとナンだかわからないけど、いーなあこのセンス。画力レベルもけっこう高い。

 元ネタ不明。見栄の切り方から「ジョジョ」のあたりかと思われます。ヴァジュリオンを「ジョジョ」の一こまに当てはめたらこうなったということかと。


88/7・Monday

うらないのみせ”サラ”

第一発見者 ディック=ベイカー

あなたがハロルドさんですね。
サラは、ここのかのしんや ビギンズアパートでとびおりじさつをしました。
これはサラが しんだときにてに にぎりしめていたオルゴールです
 うけとってください

オルゴール をてにいれた
(88/7・Monday)

山下:ハガキはなるべくタテ書きにしてください。こんなふうに載っても読みにくいでしょ?

 掲載時は縦向きになっていましたが、再録にあたって横にしています。サラ殺害の場面を利用して、同時期にリバーヒルソフトから出ていたAVG「マンハッタンレクイエム」のパロディを繰り広げています。刑事J.B.ハロルドが、ニューヨークの街で墜落死を遂げたピアニスト、サラ・シールズの死の真相を追うというのがその内容ですが、同じ「サラ」が被害者ということで、「イース」に引っかけたわけです。占い師サラは「トバの章」を遺しましたが、ピアニストサラの遺留品はハート型のひしゃげたオルゴールでした。

「マンハッタンレクイエム」第一発見者ディック・ベイカー 「マンハッタンレクイエム」被害者サラ・シールズ
「マンハッタンレクイエム」 第一発見者ディック・ベイカーと被害者サラ。

 ネタでは饒舌に語っているディック=ベイカーですが、ゲームでは寡黙で、多くを語ろうとしません。


88/7・PLAYING MAN

「もいっちょいくぅー?」
「イース」
(88/7・PLAYING MAN)

山下:ウ〜ン、コレぞアイデアっ!! 柔道部の部長が四角い顔をしているのがとてもポイント高井麻巳子。

 一発ギャグですが、少々説明が必要です。このネタ元は、まるか食品「ペヤングソースやきそば」のテレビ広告です。ペヤングソースやきそばを平らげた柔道部員に、屋台の親父が、おかわりしないかと「もいっちょいくぅ〜?」と訊ねると、部員たちが「ウ〜ッス!」と答えるという広告が当時放送されていまして、それを「イース」にかけたというわけです。この絵で屋台の親父が手に持っているのはペヤングではなく、「イースII」です。


88/10・ぶぎゅる

「ん!?」
「ぐわ〜っ な、なんだこの曲は〜!!」 ぐわんぐわんぐわん
「おっれはジャイアーン ガッキだいしょ〜」
(88/10・ぶぎゅる)

山下:これはTV版のジャイアン。マンガ版は♪ほげ〜と歌うんだぞ。アドルがおじさんぽいのもヘン!

 悪魔の回廊の音の正体は、「ドラえもん」のジャイアンこと剛田武の歌だったというオチです。山下氏の通り、漫画のジャイアンは「ボエ〜」だの「ホゲー」だの擬音で歌うことがほとんどです。アドルがルイージみたいなヒゲ親父になっているのは、当時アドルのイメージがまだ固まっていなかったゆえでしょう。フィーナが見たら「こんなアドルさん、いや〜!」とか、号泣しそうですけど。


88/12・りーざちゃちゃ

ダルク=タクト
(88/12・りーざちゃちゃ)

MUNEPI:ボクの中学時代、同学年に吉田拓人というヤツがいたけどあーあ全然関係ねーや……。

 ダルク=ファクトがホンダのスクーター「タクト」に乗っているから「ダルク=タクト」。見たまんま。
 ちなみに現在、「タクト」シリーズは製造されていません。


89/1・みったこ

(89/1・みったこ)

T:かっけのけんさみたいでカッケー…2か月のブランクがあるんだもん。いいじゃないかようっ。

 オリジナル「イース」では、ハンマーでダルク=ファクトを殴れます。最上階で舞台に登っても、話しかけるまでは自由に舞台上を動けますので、ハンマーを装備してダルクさんの側面に廻り、ハンマーを使用すると、「ピコ」と使用音がします。なんの効果もありませんが、傍目にはハンマーで殴ったように見えるわけです。知っている人は知っているお約束でした。
 荒井が「イースエターナル」をやったとき、挨拶代わり、もちろんダルクさんに殴りかかってやろうと、ハンマー片手に舞台に上がったのはいいのですが、「エターナル」では舞台に登るなり強制イベントで戦闘に突入してしまうため、本懐を遂げられませんでした。
 「せまいです……。」を盛り込むぐらいだったら、なぜこっちに力を入れなかったのかとつくづく。殴りたかったのに、殴りたかったのに...


88/4・ねぎわら 朝日が昇ろうとしていた。
空は次第に明るみを増し、
DEMPAビルのりんかくが
浮かび上がってくる。
完徹をしたライター達が
家に帰り始め
投稿者の姿も潮が引くかの
ごとく消えていく
山下の心はレフェリーを
終えた充実感に満ちていた。
その中で彼は
長きに続いた闘技場の
歴史を眺めている。
ベーマガに掲載された
ハガキが次々と現れては消えていき、
やがて萩の月の姿が浮かんできた。
その姿はおぼろげだったが
山下は不思議と
その和菓子を良く知っているような気がした。
静まりかえった街を見降ろすと
茶店がひっそりと立っていた。
NANNOとのデートに
まにあうだろうか?
仕事が終ったら真先に
これまでの出来事を話して
やろうと思った。
どこからともなく醜悪な
編集者があふれ出し
山下をつれさっていく。
まるでその編集者は山下に
執筆を強制しているようであった。

そして、山下の新しいコーナーが始まる…
(88/4・ねぎわら)

山下:かつて2枚以上の連作投稿者は多々いたけど、最終回にしてようやく掲載されるに至った。みなさんお馴染みの『イース』のエンディングのパロディ。空に『AVG&RPGV』が見えるのがポイント高いね。

 ファンには説明無用、「イースI」エンディングのパロディネタです。この回は初代「闘技場」の最終回で、最終回を飾るにふさわしいネタとなりました。ネタ中にある「NANNO」とは、当時山下氏が入れ込んでいたアイドル、南野陽子女史のことです。

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