III:ドーマンの野望

1.地下迷宮からの脱出

アドルを慕い始めるテラ

 アドルとテラが墜落したのは地下迷宮だった。二人は協力して地下迷宮を脱出することにした。敵だったにもかかわらず、誠意を尽くすアドルに、テラは恋心を抱き始めていた。

2.幻の地下都市

 テラは根は素直な少女だった。テラをかばいつつ、アドルは進んでいった。やがて二人は都市の跡にたどり着き、水路を見つけた。水路の先には貯水池があった。二人は協力して貯水池のからくりを動かし、脱出に成功したが、水流に巻き込まれ気を失ってしまう。

3.遺跡の一軒家

 アドルが目を覚ましたのは、古代文明研究家老夫婦の一軒家だった。テラはすっかりアドルに心を開いていた。テラはママと兄たちを助けるため力を貸してほしいと訴えた。アドルは快諾し、テラとともに筏で対岸のラムゼンに渡った。

4.ラムゼンの異変

 ラムゼンはナルムの使徒団に襲われていた。マーシャもドーマンの命令により、使徒団に連れ去られようとしていた。アドルに助けられたマーシャは、大事な人がいるからサンドリアに連れて行ってほしいと頼んだ。一行はサンドリアに向かった。

5.サンドリア占領

 マーシャの大事な人とはニーナだった。サンドリアは使徒団に制圧されていたが、ニーナは無事だった。マーシャはニーナに「水の神様」に会わなければならないと告げた。地下水路からドーマン邸に侵入するため、助けを借りようというのだ。
 「水の神様」とは町の外の沼地で会える。そうニーナに教えてもらったアドルとテラは、マーシャをニーナの家に残し、沼地に向かった。

6.水の神様の正体

イーブル一家との和解

 「水の神様」とは、古くからナルムに住む半魚人だった。半魚人たちはニーナを心配して陰から手助けしており、アドルのこともニーナづてに知っていた。アドルたちは半魚人たちの案内で地下水路を進み、ドーマン邸の厨房に侵入した。

7.イーブル一家救出

 アドルたちはドーマンとリジェが酒盛りをしているところを盗聴する。結晶捜しはリジェが持ちかけた話だった。結晶を全て使徒団の本拠地に運んだとの報告を受けると、ドーマンとリジェは部屋を出て行った。
 やがてアドルたちは、屋敷の一角に捕らえられていたイーブル一家を救出した。アドルと一家は和解し、共闘することになった。一家は一足先に本拠地に向かった。

8.秘密結社本部へ

 「水の神様」がアドルにあてた手紙によれば、ドーマン一行は沖合の小島に向かっていた。そこに行くには市長から船を借りなければならず、市長は使徒団によって市庁舎に監禁されていた。アドルはマーシャとともに市庁舎に乗り込んだ。市長を救出し、船を借りると小島を目指した。
 使徒団の本拠地は、小島の巨大な建物だった。マーシャはある部屋で、錬金術を使った仕掛けに目を留め、調べてみると言った。アドルが単身先に進むと、ドーマンの手下が操る機械人形が現れた。苦戦を強いられたが、イーブル一家の加勢を得て、これを退けた。戦闘員が迫り来る中、一家に後を任せ、アドルは奥を目指した。

9.ドーマンとの対決

 奥ではドーマンが五つの結晶とともに待ち受けていた。ドーマンも錬金術の研究を進めていた。ケフィンを狙ったのは、強力な錬金術に不可欠な触媒「賢者の石」を奪うためだったのだ。アドルと対峙したドーマンは、駆けつけたマーシャの制止も聞かず、自ら作った触媒で結晶の力を引き出し、おぞましい化け物に変身した。
 戦いの末ドーマンは倒れた。マーシャによれば、錬金術の発動には触媒が必要だが、ドーマンの触媒は不完全なもので、それゆえ化け物に変身してしまったのだ。

10.背信者リジェ

 アドルが結晶に近づこうとするとリジェが現れた。リジェはドーマンを利用していたことをうそぶくと、結晶を横取りした。そしてケフィンに行くと言い残し、一行の目の前で、結晶ともども姿を消してしまった。
 うなだれる一行に、マーシャはケフィンの伝承を述べた。それは旧ケフィンの塔からケフィンに行けることを示唆するものだった。


IV:ケフィンへ

1.消えた探検家

笛を託すニーナと失意のドギ

 ナルムの使徒団は壊滅し、サンドリアは解放されていた。島から戻ったアドルはニーナの家を訪ねた。アドルはニーナから、砂の都に行くなら父スタンを捜してほしいと、スタン形見の笛を託される。アドルはマーシャとともに砂漠を目指した。

2.失意のドギ

 ラムゼンの酒場ではドギが酔いどれていた。ドギの努力にもかかわらず、突然の砂嵐でフェルテは砂漠に飲み込まれ、エフィを始め多くの村人が行方不明になっていた。ドギは村もエフィも守りきれなかったと落ち込んでいたのだ。なぜあきらめるのかというアドルの叱咤にドギは気を取り直し、アドルとともに砂漠を越えることにした。
 一行は砂漠を越え、オアシスにたどり着いた。砂漠化を前にべーウィン族は逃げ出していた。ここでイーブル一家と合流し、一行は旧ケフィンに向かった。

3.塔への道程

 コボルドとの再会を果たした後、一行は遺跡の奥に足を踏み入れた。塔の入り口に着いたところで、ドギはフェルテの村人を捜すため、一行に別れを告げる。マーシャにもしもの時のニーナの後を託され、ドギは去っていった。

4.ケフィンへの飛翔

砂の都ケフィン ママの告白

 塔を上り詰めた部屋にはスイッチがあった。それを押すと部屋は轟音をあげて飛翔した。長時間の飛行を経て、一行の目の前にさまよえる砂の都ケフィンが現れた。

5.ケフィン到着

 マーシャはアドルに、ケフィンの真実に目を向けるよう念を押すと、ケフィン到着とともにいずこともなく去っていった。
 一行はケフィンに着くなり民政官の一団の出迎えを受け、豪華な宿舎で歓待された。宴の後、ママはアドルに一家の過去を語り出した。
 ママの夫は、東国オリエッタの下級官吏だった。ところが失敗により処刑され、一家は生まれたばかりのテラを抱えたまま、路頭に迷うことになった。以来一家は生き延びるため、盗賊になったのだった。しかし一家は堅気の暮らしに憧れていた。そんな折り、義理のあるリジェから、ケフィンに行く方法を突きとめるよう依頼され、その存在を知ることとなった。一家は新天地での再出発を夢見て、ケフィンに来たというのだ。

6.謎の儀式

 翌日、市民になるための儀式を受けるため、一行は民政官に連れられ、王城の一角の建物に向かった。中には大きな天秤があり、一人ずつ乗るように指示された。天秤に乗った後、アドルは通された部屋で、イーブル一家を待っていたが、彼らは現れなかった。
 アドルの前に再び民政官が現れ、王が謁見することを告げた。アドルは民政官に一家の行方を訊いたが、民政官は多くを語ろうとしなかった。王に謁見したアドルは、ナルムの救済を直訴したが、王は全く取り合おうとしなかった。

7.”審判”の真実

 王城を出たアドルは、市民から審判のなんたるかを教えてもらった。外からケフィンに来た人間は、罪の重さを量る天秤にかけられる。そこで善人と認められたものだけが市民として認められるのだ、と。悪人とされた者がどうなるかはわからない。イーブル一家は悪人と審判されたらしい。

8.大錬金術師の霊殿

 市民によれば、ケフィンを作った大錬金術師ジャービルはすでに亡くなったらしい。錬金術師も昔は数多くいたが、三年前に最後の継承者が病死したという噂も聞いた。
 アドルはジャービルを祀る礼拝堂を訪ね、中にいた老人の口からスタンの名前を聞く。これをきっかけに、市民に聞き込みしてみると、スタンが三年前にケフィンを訪れ、間もなく失踪していたことがわかった。


V:真実のケフィン

1.謎の男の接触

ケフィンをさまようアドル 抜け殻のスタンにニーナの笛を吹いてみせるアドル

 ケフィンに来たものの、ナルム救済の訴えは退けられ、イーブル一家とは連絡が取れず、スタンも行方知れずで、冒険は行き詰まっていた。
 そんなとき、アドルを尾行していた謎の男が、ケフィンの真実を知りたくば獅子像前に来いと話しかけてきた。民政官もアドルを監視しており、ケフィンを詮索するのは止せとアドルに告げた。アドルはケフィンの欺瞞を感じ始めていた。
 王城では、不老不死の術で五百年生きているケフィン王生誕祭に向けて準備が進んでいた。

2.スタン救出

 夜になり、アドルは約束の場所に行った。待っていた謎の男はスタン救出を依頼してきた。男が案内した抜け穴の先には牢獄があり、スタンが捕らえられていた。スタンは長い獄中生活でやつれ果て、ぼけていたが、アドルがニーナの笛を吹いてみせると、正気を取り戻した。
 謎の男とマーシャもスタンを迎えに来た。マーシャはスタンと抱き合い再会を喜んだ。スタンは隠れ家に保護されることになった。マーシャは隠れ家の場所をアドルに教えると去っていった。

3.隠れ家

 アドルが隠れ家に行くと、マーシャが待っていた。スタンはアドルにケフィンの真実を語り始めた。
 スタンもケフィンを訪れて間もなく、その欺瞞に気が付いた。調査するうちにマーシャと出会い、ケフィンを深く知ることとなった。審判の恐ろしさを人々に警告しようとしたが、王に捕らえられたのだった。
 マーシャの正体はケフィンの市民で、三年前に病死したという噂の最後の錬金術師だった。市民も十年おきに審判を受けねばならなかった。マーシャは審判で親友と別れていた。その折りスタンと出会いケフィンの罪深さに気が付いたというのだ。
 アドルがイーブル一家を心配すると、マーシャは、助けるためには審判の間を通るしかないと助言した。

4.審判の間へ

 アドルは一人、審判の間を目指した。審判で息子を失った夫婦によれば、悪人とされた者は、ケフィン北側にある王の直轄地に収容されているという。
 アドルは再び審判を受けた。地上で見つけていた「邪心の仮面」の力で、思惑通り悪人として牢獄に送られた。イーブル一家はすでに脱獄を果たしていた。アドルも後を追い、直轄地に足を踏み入れた。

5.ケフィンの真実

ケフィン王

 直轄地の宝物庫で見つけた透明化秘薬の力で、アドルはたまたまケフィン重臣たちの会議を盗聴する。
 ケフィンは錬金術の力で栄えていた。ところが無から有は生み出せない。ケフィンは大地の精気を吸い取って繁栄していたのだ。砂漠化を始めとする地上の異変は、ケフィンの錬金術が原因だった。そしてほぼ精気を失ったサファルを捨て、今度はナルム流域を狙おうとしていたのだ。

6.牢獄へ

 直轄地を探索するうち、アドルは捕らえられた人々を発見したが、大人ばかりで子供はいなかった。脱出していたイーブル一家とも再会したがテラの姿はなく、一家もその行方を捜していた。

7.リジェの正体

 奥に進むとリジェが現れた。リジェもケフィンの人間で、王の忠実な僕だったのだ。地上に降りた目的は、かつての竜退治で、ジャービルが地上に残した結晶こと、錬金術の力の源を持ち帰ること。ドーマンを利用したのもそのためだったのだ。
 リジェは姿を消すと共に、王の邪魔をさせまいと、魔物をけしかけてきた。アドルは魔物を倒し、王城の鍵を手に入れた。

8.王直轄地脱出

 外ではイーブル一家とマーシャが待ち受けていた。アドルは捕らわれた人々を解放しようとしたが、ケフィン市民を救う方が先決というマーシャの言葉を聞き入れ、とりあえず城を脱出する。
 アドルは子供を失った夫婦の元を訪ね、後で息子を必ず助け出すことを約束すると、隠れ家に向かった。

9.生誕祭の秘密

 アドルはスタンに、直轄地での出来事を話した。スタンは子供たちが別にされている理由を語った。五百歳という王の長寿は、十年に一度生誕祭で子供たちの命を吸い取り、若返りを果たしている結果だというのだ。生誕祭は間近に迫っていた。このままではテラが危ない。一行は子供たちを救うため、王を倒すこととなった。

注:二章6節によれば、ケフィン王は五百五十年前にはすでに生まれているので、当年五百歳というのは矛盾していないか。

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