廃道化が著しいこれまでと打ってかわって、中腹は状態が良く歩きやすい。新しい切り株や枝打ちの跡など、人が出入りしている気配がそこかしこにうかがえる。
真っ赤に錆びたチェーンを発見。このあたりに重機が入っていたことが推察される。
明らかに重機で均したらしい箇所。むき出しになった土にはところどころキャタピラの跡が残っている。
作業道との分岐を発見。重機はここから出入りしているのだろう。
道が最も奥まった沢筋を横断する場所は、コゴミ(クサソテツ)の群落だった。このときはちょうどコゴミの季節で、谷が見事な緑に染まっていた。
しかしこのあたりでも道が一部崩落しており、すんなり先には進ませてくれない。コゴミ谷のあたりは崩落によって道跡がごっそり消えている。
コゴミ谷を横切り対岸へ出る。さっきの崩落箇所を近くから見るとこんな塩梅。その先には道跡が続いている。滑落に気をつけながら渡る。
崩落箇所近辺から対岸を見る。さっき見た作業道がジグザグを描いて古道に接続しているのがよくわかる。
崩落箇所の先も割と人の手が入っている。リボンが付けられた木もあれば、伐採されたまま横倒しになっている木も多数あった。
しかし途中にはこんな具合に複雑骨折した木も。山仕事等で出入りする人がいるのは確かなようだが、飽くまで廃道であることを思い知らされる。
山ひだに沿って再び小さな谷筋を横断。新庄側の古道は西面した山ひだに従っている。
谷を抜け尾根を回りこむところで三角点の標柱を発見。この三角点は国土地理院の地形図には載っていない。標柱にある「仙鉱」の文字を頼りに調べてみたところ、近代に鉱山開発のため設置された特殊な三角点のようだ。三角点を境に道は東に折れ、峠へと向かう。
人の手が入っているのは三角点まで。そこから先は全く苅り払いされておらず、笹や茨、灌木等いちだんとひどい薮が待ち受ける。
それでも前進すると、前方に人為的に整えられた平場が見えてきた。あれは舟形のクレー射撃場。ちょうどあのあたりが目指す峠のてっぺんである。
薮をかきわけ射撃場を目指すが、ここまで来て問題発生。鞍部目前というところで、またまた崩落により道跡が途絶えてしまった。谷は険しく薮も深い。この先の道跡も見えないためこれ以上の前進は危険と判断し、ここで撤退を決定する。残念。
このあたりの薮が切れたところからふと谷筋の向こうを見渡すと、遠くにうっすらと月山が見えた。これがせめてものご褒美となった。