公園を出て坂を下ると、国道は大江町の中心部、左沢に出る。最上川の西岸という意味の「あちらさわ」がなまって「あてらざわ」。山形の難読地名の一つ。
県道27号線(主要地方道大江・西川線)との丁字路はどういうわけか、以前あった一時停止の標識がなくなっていた。とはいえ一時停止して左右確認するのはお忘れなく。
大江町の役場を左手に、国道は東に向かう。このあたりにはコンビニやガソリンスタンドもあるので、補給にはちょうどよい。
役場前をまっすぐ東に向かうと、国道は新最上橋で再び最上川を渡る。平成15年12月に竣工した。
以前、国道は左沢の街中をぐるりと回り込むように走っていた。新最上橋の開通にともない、役場前から新橋に直行する道も整備され、かつての国道は県道に降格された。道端に残る標識が、国道だったことを物語る。
新最上橋の北にかかる古橋。国道は以前、左沢の街をぐるりと廻ってから、この橋で最上川を渡っていた。竣工昭和15年で、10tを越える車両は通行禁止。片側交互通行で橋の両端にはこれでもかと言わんばかりにポールが立っている。老朽化が進み、その役目こそ新橋に譲ったが、その美しい姿は多くの人々に愛され、今でも最上川に点景を添えている。
最上橋を渡り左沢を抜けるとすぐここに出る。以前は田んぼ以外何もなかった交差点だが、今ではコンビニができた。国道458号線は同287号線を横切り、中山町へと向かう。
国道458号線後半最初の難所。一見国道は直進しているようだが、実は右の畦道こそが国道で、道なりに走っているといつのまにか県道に突入してしまう。直前の標識では県道も国道も同じ太さで表示されているのでダマされやすい。「県営球場」の看板を目印に、畦道に突っ込んでいく感じで右折しよう。
周りをよく見ると「平塩追分」の石碑がこっそり置かれてある。さらによく見ると、草に埋もれて「休石」「十八夜」の石碑もあった。歴史ある追分のようである。
平塩追分にほど近い場所にある国道標識。車一台が通れるほどの幅しかないので、離合は難しい。やっぱりここも国道だった。
こんな所まで通る。中山町を抜けるまで、沿線にはこうした住宅街が続く。地元住民はここが国道だと知っているんだろうか?
こんな看板まで。近所には小学校もあるので、子供さんにも要注意だ。
岡集落八幡神社前の交差点、地図上で確かめると直進しているようにも見えるのだが、実際は右折する。
さっきの交差点近くにある旧い住宅。江戸時代の大庄屋が建てたもので、見学もできる(有料)。
山辺町に入ると住宅地が途切れ、田んぼや果樹園が目立ってくる。
さくらんぼ畑の中を左折する。以前、国道は山辺町内でも複雑に折れ曲がっていたが、道筋が見直されたようで、昔よりも右左折箇所はぐっと減っている。
次はここの交差点を右折する。道なりに直進すればコースアウト。平塩追分同様、国道の方が細いのでわかりづらい。
中心部には田舎の商店街といった街並みが続く。
つきあたりはクランク状の交差点になっている。せんべい屋の隣の路地が国道だ。
広い通りが横切っているが、標識通りに直進しよう。
山辺町を出ると、国道は県庁所在地山形市にさしかかる。国道は市西部の田園地帯を南北に走っており、東を見れば田んぼの向こうに山形の街並みが広がっている。
山形市本沢で発見。沿線に目立たないように建っている。
戦国時代、ちょうど関ヶ原の合戦と期を同じくして、出羽国でも山形の最上義光(もがみよしあき)と、米沢の上杉景勝配下の直江兼続(なおえかねつぐ)が、山形の近郊長谷堂(はせどう)で激突した。これが長谷堂合戦で、東北の関ヶ原とも呼ばれている。
このあたりはその激戦地で、その戦死者を弔うために建てられたのがこの塚。塚の名前は戦死者の一人、直江配下の剣客上泉主水泰綱(かみいずみもんどやすつな)に由来する。
周りはまるきり田んぼだらけで、一見ここが古戦場だったことが信じられないほど。
目の前を横切るのは国道348号線。国道458号線は同348号線を横切り山形市を出て、終点上山市に向かう。
以前国道は細い山道で丘を越えていたが、2003年にトンネルとバイパスが開通し、一直線に上山市に抜けられるようになった。酷道も着々と改修が進みつつある。
こちらが旧道。細くて見通せない道が続いている。丘のてっぺんからは山形の市街地が見わたせる。下に広がるのは本沢名物葡萄畑。
国道はいよいよ上山に入る。例によって左の細い方が国道。ここを抜けると、眼下には一気に上山の展望が広がる。
「止まれ」標識で国道を遮るのは市道。この国道、国道だというのに市道や県道よりも優先されない場所がやたら多い。
坂を下り、住宅地を抜けていく。
坂を下りきると広い通りに出る。この国道最後の右折。左手にスーパーダイハンがあるので、それを目安にしよう。
立派で賑やかな通りが続く。上山の温泉街をかすめ、国道は終点へと向かう。
行きつくまま、国道も上山郊外に出てきた。もともとここが終点だったが、2002年の国道13号線バイパスの整備にともない、終点は隣の丁字路に移動した。元終点は現在、この国道最後の左折地点となっている。
複数の県道を無理矢理つなげたため、随所で折れ曲がるこの国道も、ハンドルを切るのはここが最後。ここを曲がれば、あとは終点までまっしぐら。
目の前に見える丁字路は、国道13号線との合流点。山形3桁国道の重鎮458号線もここが終点。代替ルートらしく国道13号線に始まり国道13号線に終わる。総延長約112km、4市3町2村を巡る旅もここでおしまい。
(2005年6月取材・7月記)
交通:一般国道458号線。起点新庄市国道13号線五日町交差点。終点上山市石曽根。総延長112.5km。
所要時間:どこにも寄らない場合、始点から終点まで自動車で約3時間。起点から肘折まで約1時間、峠越え区間が約1時間、大江町から終点まで約1時間が目安。
特記事項:
大蔵橋・旧最上橋重量制限あり。大蔵橋は14tまで。旧最上橋は10tまで。
冬季閉鎖有。大蔵村肘折から寒河江市柳の沢まで。11月中旬〜6月下旬あたり。しかし、路肩欠損や落石・雪崩の危険などのため、解除直後でも全線を通れないこともしばしば。確実に通行できるのは7月か8月以降。連続雨量が150mmに達した時は通行止めになる。未舗装路(総計約7km)、見通しの悪い隘路、急カーブなどが続くため運転には注意が必要。同区間は全くの林道で商店や民家の類は全くないので、行くならそれなりの用意と覚悟をしておくこと。ついでに未舗装区間でもカーブは舗装されている箇所が多い。
冬季通行止め区間以外は、沿線に食堂や商店・コンビニ、ガソリンスタンドが点在しているので、食事や補給にはこれを利用するとよい。
標識こそ整備されているが、全体的に道が細く複雑に折れ曲がっているためコースアウトしやすい。完走を目指す方は要注意。