前作以上に手強くなって帰ってきた「ミッドナイトチェイスパート2」。本作は「ミッドナイトチェイス」の続きで、物語の後半部分、社長宅での探索活動が描かれる。今回の目的は、社長宅のどこかに隠された重要機密書類を手に入れ、脱出することだ。
「パート2」は、前作の反省を活かし、より進化したものとなっている。ボリュームが増えたのはもちろん、アイテム周りのシステムが変更され、どこでどのアイテムをどのタイミングでどのように使うかを考えさせるパズル要素が強くなった。このあたりの変更は、同じく屋敷内を探索するスタイルのAVGである「ミステリーハウスII」や「WORRY」(どちらもマイクロキャビン)あたりからの影響も受けたものとおもわれる。
また前作に引き続き、アクションを活かしたイベントもいくつか盛り込まれている。その分クリアに必要な手数は増え、手順も複雑になっているが、目的のために今すべきことを考え、注意深く行動することができれば、クリアは難しいことではない。諸君の健闘を祈る!
前作に引き続き主役を務めるのが、彼こと産業スパイだ。今回はいよいよ屋敷に侵入し、機密書類奪取を目指すこととなる。操作は基本的に前作と同じだが、コマンド数の増加にともない、可能なアクションは増えている。前作は拡大スプライトの2枚重ねで描かれていたが、本作では1枚に減っている。しかしその分動きのパターンは増えており、前作以上に様々な楽しいアクションを見せてくれるようになった。彼が見事書類を盗みだせるかは、ひとえに君の腕と頭脳にかかっている。
姿 | 名前 | 特記事項 |
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ガードマン | 前作でプレイヤーを悩ませた守りのプロ。本作では屋敷の要所を守る。 前作のような隙も見せず、まともに挑むのが無謀なほど強い。 本作でも最大の障壁として立ちはだかることだろう。 | |
ドア | ご覧のとおりの扉。部屋に出入りするためのもの。 多くは普通に開けられるが、中には鍵が掛かっているものもある。 開けるのに逐一コマンド入力が必要なのがちと面倒。 | |
ラック | 扉付きの収納棚。屋敷内の随所にある。 たいがい中にはアイテムがあるので、どんどん開けてみよう。 もっとも、ただ開けるだけが能でもなかったりして... | |
階段 | 上と下の階を結ぶもの。上下に移動できる。 本作では上下階に移動できるようになった。 その分マップも前作より少し複雑になっている。 | |
たんす | 観音開きの大きなたんす。例によってアイテムが入っている。 上にも何か置いてあるが、背丈の倍ほど高く、ただでは手が届かない。 足場でもあれば別なのだが... | |
窓 | 何の変哲もない窓。 多くはただあるだけなのだが、中には... | |
フック | 一見何だかよく判らないが、埋め込み式のアンカーらしい。 何か引っかけておくのにちょうど良さそうだ。 |
姿 | 名前 | 特記事項 |
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椅子 | 背もたれ付きのいす。 しかし腰掛けとして使うことはない。 ある意味本作における最重要アイテム。 | |
台 | 踏み台。グラフィックでは三宝のようにも見える。 高いところにあるのものでも、これを使えば手が届く。 | |
ドライバー | ネジ回し。ネジを付けたり外すための道具。 どこのネジを回すのかは秘密。 | |
ハンマー | 金槌。釘も一緒に置いてあるので釘を打ちたくなるが? 黒マントの男を殴るための道具でないことは確か。 | |
鍵 | ゲームではおなじみの品。閉まっているものを開けられる。 しかしなんでも開けられるというわけではない。 | |
ラジオ | ロッドアンテナ付きのポータブルラジオ。 たぶん電灯線と単一電池が使えるやつ。 | |
ライト | 懐中電灯。暗いところを照らしだす。 重要アイテムの一つだが、電源なしでは用をなさない。 | |
ロープ | 人一人の体重ぐらいは十分支えられる縄。 仲間を縛ると「モットツヨク…」とか言われたりして。 | |
釘 | ハンマーといっしょに置いてある釘。 実はハンマーよりもこちらの方が大事だったりする。 | |
人形 | グラフィックはあんまりだがリカちゃん人形らしい。 ただのたわいない人形にしか見えないが... | |
ナイフ | 匕首。他のAVGでは便利な道具であることが多い。 本作ではいかに? | |
コップ | コップ。社長宅の物だからそれなりによい品なのだろう。 中には水が入っている。 | |
テープ | カセットテープ。ゲームのセーブ・ロードができる。 80年代、テープは身近な記録メディアだった。 | |
紙 | 見た目は重要書類と同じだが、何も書かれていない紙。 しかしダミーというわけでもないようだ。 | |
書類 | 最終目的物。機密事項が記された重要書類。 これを盗みだせばゲームクリアだ! | |
- | 電池 | 小型家電の電源としておなじみのもの。 長期間使わないときは外しておきましょう。 |
サーベル | 装飾用の模擬刀。刃は付いていない。 しかし鈍器としても、十分な武器ではある。 | |
- | 発信器 | 謎の発信器。それだけにノーコメント。 見つけるには少しの注意深さが必要となる。 |
屋敷の中には様々なものが置いてある。登場するオブジェやアイテムは、前作以上に数が増えた。今回どこでどのアイテムを使うかはプレイヤーが判断しなければならず、さらに同時に持てるアイテムは3個までという制限が設けられている。もちろん多くのアイテムはクリアに必要なものだが、中にはダミーも存在する。必要なときに必要なもののみを持ち歩くことを心がけよう。
ミル | 目の前にあるものを見る。 |
トル | アイテムを取る。 |
オク | 椅子や台を置く。 |
ツカウ | アイテムを使う。 |
ウゴカス | 物を動かす。 |
タタカウ | 敵と戦う。 |
アガル | 階段等を上がる。 |
オリル | 同じく下りる。 |
アケル | 閉まっているものを開ける。 |
ハイル | 中に入る。 |
セット | 二つのアイテムを組み合わせる。 |
モドス | アイテムを元の位置に戻す。 |
「パート2」で使えるコマンドは全部で12個。カーソルの左右で移動して、上下でコマンド選択、スペースで実行というお手軽操作は前作同様だ。前作にはないコマンドもいくつかあるが、どういうときに使うかは、遊びながらそれぞれ考えていただきたい。
特に説明が必要なのは「モドス」だろう。このコマンドはアイテムを捨てるときに使うもので、捨てたアイテムは元の位置に戻るようになっている。間違って捨てたりまた必要になった場合、最初にあった位置に行けば再び手に入れられるので、よく覚えておこう。また、アイテムによっては捨てる場所を間違えるとハマることもある。捨てるときはよく注意しよう。
本作では前作以上にできることが増えている。さらに謎を解くにはひらめきよりも筋の通った思考が必要となっており、クリアまで何度も試行錯誤することになるだろう。そこで例によって、探索の心構えとでもいうべきことを、少し披露しておこう。
AVGにおいてよく見たり調べることは基本中の基本だ。それはリアルタイムAVGを標榜する本作もまた同じ。一見なんでもなさそうなものでも、よく見てみれば意外な発見があって、謎解きの糸口となってくれるだろう。
「パート2」は、前作以上に高さの概念を盛り込んでおり、高低差を利用した仕掛けもいくつかある。特に高いところにあるアイテムを取るため、台や椅子は何度もお世話になる。常に使えるよう、どちらかを常に持ち歩くか、取りやすい場所に置いておくなりすると、スムーズにゲームが進められる。
本作の目的は重要機密書類の奪取だが、その前にはいくつかの関門があって、順次これを解いていく必要がある。解くべき問題をはっきりさせ、そのために何が必要かを考えながら行動できれば、クリアはぐっと近づくだろう。手数こそ要するが、理不尽さがないのも本作の美点。理に適った思考や手順を心がければ、必ず道は開ける!
「モドス」はアイテムを手放すコマンドだが、実行すると画面が更新され、開いていたドアが閉まってしまう。いちいち開けなおすのが面倒なときは、先に部屋の外に出てから「モドス」を使えば、少しだけコマンド実行の手間が省ける。
地上1階一番奥の部屋(椅子が最初に置いてある部屋)、左から5歩の地点でハンマーを使うと、隠しメッセージが見られる。
屋上から壁面伝いに下りていった場面で椅子や台を置くと、なぜか空中に設置できる。この状態でさらに下りると、墜落するはずが宙に浮いてしまう。しかし戻れなくなってしまうので、それ以上ゲームは続けられなくなる。
ライトを取ってすぐ戻す。
なお、この処理はリスト3の4740行でやっているので、ここに細工すれば修正できると思う。
エンディングで示唆されているとおり、ある部屋のある位置で、あるアイテムを使うと隠しグラフィックが現れる。ヒントは2350行。なお、出現させるとその時点でゲームが終了する。
ちなみにMSX2以降の機種では、このグラフィックが正常に表示されないバグがある。
本作にはいくつかのバグが残っている。通常にプレイする分には致命的な影響はないのだが、気になるところを少しだけ直してみた。また、本作はテープ専用なのだが、手を加えればディスクでも動かせるようになるので、その手順も紹介しておこう。
該当箇所を以下のように変更する。
リスト1
10150 AD=&H1C80:RESTORE14800
リスト3
2350 IF NN=0 AND RX=0 AND RY=4 AND X=2 AND Y=1 THEN AD=&H1DBF:GOTO8160 8180 CLS:AS=&H1C80-1:SS=0
同じく以下のように変更。ダブルクォーテーションでくくっているのは半角スペース4つ。
リスト3
4530 LOCATE6,I:PRINT" "
掲載されたリストのままではセーブ・ロード処理に不具合が生じる。直すには2450行の"PRINT#1,MF(I),"の最後の","を削除しよう。
該当箇所を以下のように変更する。"b"と"`"の間は半角スペース3つ。このバグに関しては、後の号(86年8月号)にて訂正情報が掲載されている。
リスト3
7410 LOCATE 9, 4:PRINT"b `"
まずはリスト2をE600h〜F029hからD400h〜DE2Ahにリロケートし、DE00h以下8バイトを以下のように変更する。
11 00 D4 2A F8 F7 10 96
次にリスト1・リスト3のCLEAR命令とUSR関数開始番地をリロケート後のものに対応させる。具体的には以下のとおり。
リスト1
10000 SCREEN1,3:COLOR15,1,1:WIDTH32:KEYOFF:CLEAR500,&HD3FF:DEFINTA-Z
リスト3
1030 CLEAR200,&HD3FF 1050 DEFUSR=&HDE00
さらにリスト3の全てのREM文とステートメント間のスペースを削除して容量を圧縮する。こうしないとリスト2のマシン語データとリスト3のメインリストが容量内に収まらない。
そしてゲームデータの記録・読み取り先をディスクに変更する。リスト3の2430行と2520行のOPEN"CAS:MC2 DT"〜
をそれぞれOPEN"A:MC2DT"〜
にするだけ。
最後にリスト1のローダー部分をディスクに対応させる。10394行〜10396行を削除し、10400行のBLOAD"CAS:"
をBLOAD"[リスト2ファイル名]"
に、10405行のCLOAD
をRUN"[リスト3ファイル名]"
と変更すればできあがりだ。CTRLキーを押しながら本体を起動し、リスト1をロードして実行すれば、自動で残るリストを読み込んでゲームが始まる。
ついでにディスク用のグラフィックやテキストも作ってみたのでどうぞご利用ください。
リスト1
11980 DATA FEF7F7FF81BDBDBD
リスト3
1740 IFRX=0ANDRY=3THENIFMF(12)=1THENGOSUB4850:PRINT"ディスク ガ アリマス。";:GOTO4870ELSE1850 2410 GOSUB4850:PRINT"DISKノ ヨウイハ イイデスカ。";:GOSUB8400 2500 GOSUB4850:PRINT"DISKノ ヨウイハ イイデスカ。";:GOSUB8400 9130 DATA イス,ダイ,ドライバー,ハンマー,カギ,ラジオ,ライト,ロープ,クギ,ニンギョウ,ナイフ,コップ,ディスク,カミ,ショルイ,デンチ,サーベル,ハッシンキ