主人公は2人。男の子と女の子の2人組だ。ただしパーティを組まず、適宜交代しながら単独で行動するところが、他とは違っている。MSXユーザーには説明無用のARPG「魔城伝説IIガリウスの迷宮」の影響かもしれない。キャラの交代は「ねずみの国」にあるスタート地点でのみ可能である。選んだキャラクターによってスプライトが変わるのはもちろん、画面に表示される顔グラフィックも変化する。この描き込まれたグラフィックは大きな見どころ。ゲームの雰囲気を盛り上げてくれる。
本作はMSX以降用・フロッピーディスク専用である。遊ぶには容量32KB以上のMSX本体に加えて、フロッピーディスクドライブとディスクが1枚必要である。リストは全部で3本。入力し終わったら全部同じディスクに記録しておこう。
遊ぶに先だって、まずはマップデータを作る必要がある。FDDにディスクを挿した状態でリスト3を実行すれば、ディスクにマップデータファイルが生成される。これは一番最初に1回実行すればOKだ。
しかる後リスト1を実行すれば、ゲームが起動する。グラフィックデータ定義のため、タイトル画面が出るまで1分ほど待たされるのは、当時の打ち込みプログラムのお約束だ。ゲームではマップデータの読み込みやセーブ・ロードで何度もディスクにアクセスする。プレイ中はファイル一式が入ったディスクを、プロテクトを切った状態で常にFDDに挿しておこう。
初めてゲームをするときは、タイトル画面で「MAKE CHARA」を選ぼう。主人公二人分の名前と、データファイル名を入力するよう求められる。それぞれ好きな名前を付けてやろう。アルファベットの大文字と「!」「?」、空白以外の文字種は受け付けない。CAPSキーをロックしておくのをお忘れなく。
セーブしたところから再開するなら「GAME START」だ。選択後、データファイル名を入力しよう。この際拡張子の入力は不要である。ファイル名を誤るとエラーで止まるので注意しよう。
キャラクターは性別により性能が異なる。基本男の子の方が力があって打たれ強い。女の子は力こそやや劣るが魔法が使える。性能差のみならず、性別によって会話の内容が変わることもあれば、行けたり行けなかったりする場所もあったりする。なので必要に応じて交代しながら進めることが必要である。
それ以外は、オーソドックスなRPGのゲームシステムを踏襲している。操作はカーソルキーで移動および選択、スペースキーで決定・調査・会話である。フィールド上でリターンキーを押すと、所持しているアイテムが表示される。また、本拠地でESCキーを押すと、それまでのデータをセーブできる。画面切り替え時たまに表示が重くなるのは、オールBASICなので大目に見よう。
戦闘はランダムエンカウント。遭遇したら戦闘モードに切り替わる。コマンドを選んで戦おう。画面上で自分と化け物が殴り合う戦闘スタイルは、どことなくクリスタルソフトの「リザード」を彷彿させる。敵のHPを0にすればこちらの勝ちだ。勝つといくらかの経験値が得られる。一定数の経験値を集めるとレベルが上がり、各種ステータスが上昇する。
レベルをはじめとするステータスは、主人公2人それぞれに設定されている。それぞれに「経験値稼ぎ」が必要となるわけだ。
自分のHIT-Pが0になるとゲームオーバーである。その前に随所にある「聖なる井戸」を目指そう。レベルに応じたEXPERと引き換えにHIT-PとMAG-Pを回復できる。また、女の子は魔法で回復することも可能である。なお、レベルアップ時にHIT-P/MAG-Pが全快することも、覚えておいて損はない。ゲームオーバーになると「あほ...」というメッセージとともにプログラムが終了するが、RUNでデータファイルのロードから再開できる。
ゲームの目的はねずみの国を化け物の手から救うこと。そのためには「ねずみっくんの石」を集め、解かれた封印を再び完成させなければならない。
キャラクターを育て、行ける場所とできることを増やしていくのはRPGの基本だ。着実に成長し、行ける場所に赴き、冒険を進めていこう。そして、その最後に待つものは?
レベル。いわゆるレベル。キャラクターの成長具合。上がるに伴い各種属性値も上昇する。最大で10。
ヒットポイント。体力。戦闘でダメージを受けると減る。なくなるとゲームオーバー
アタックポイント。攻撃力。高いほど敵に与えるダメージも高くなる。
アーマークラス。防御力。高いほど敵からのダメージを軽減できる。
マジックポイント。魔力。魔法を使うのに必要。使うと消費する。
エクスペリエンス。経験値。一定値を積むとレベルが上がる。
「勇者ねずみっくん伝説」はRPGである。RPGにはつきものの各種パラメーターも、もちろんいくつか存在する。
一番重要なのは、なんといってもHIT-Pだ。冒険中はこれがなくならないよう常に気をつけよう。次に重要なのはEXPERだろう。EXPERはいわゆる経験値であるとともに、他のRPGにおけるお金の役割も果たしている。具体的にはこれがなければHIT-Pの回復ができない。キャラクターの成長に必要であるのはもちろん、回復用に一定量を確保しておくことも重要となる。特に本作ではシーンによってレベルに「キャップ」が設けられている。上限に達するとしばらく回復ができないということになるので気をつけたい。
女の子を操作しているときには、MAG-Pにも気を配ろう。魔法は攻撃力や防御力の低さを補うために必要だ。しかし消費ポイントが概して高いため濫用ができない。いざというときに唱えられないなんてことのないように!
マップを把握することは、RPG攻略の基本中の基本だ。それはこの「ねずみっくん」も同じ。どこに何があるかがわかれば、安全かつ効率的に動きまわれる。
本作は6つのフィールドから構成されている。その各地に聖なる井戸がある。回復ポイントである聖なる井戸は探索の拠点だ。新しいフィールドに来たら、まずは聖なる井戸の場所を押さえよう。井戸を中心にレベルを上げ、強くなったら徐々に周囲に探索の手を伸ばしていけば、より安全に冒険が進められるだろう。
フィールドには宝物が隠されている場所もある。しかし目印はどこにもない。見つけるには隅々まで歩かなければならない。だいたいは袋小路のような、いかにも何かありそうな場所にある。こういう場所を見つけたらとりあえず突っ込んでみよう。
回復は経験値と引き換えである。しかしシーンによっては、レベルを上げきってしまうと回復ができなくなってしまう。レベルが上がると経験値がクリアされる仕様である上、シーンに応じて上げられるレベルに上限が設けられてあり、それに達すると経験値が入らなくなるからだ。
また、本作では化け物の先制攻撃を防ぐ手段がない。最高レベルであっても先制されれば、最弱のザコにさえダメージを受けてしまう。単発のダメージはたいしたことがなくとも、何度も先制されて蓄積されると、その量はばかにならない。
つまり回復に必要な経験値がない状態で、経験値を得られないシーンを探索していると、こうした先制ダメージが積み重なって、いつの間にか消耗していることがある。消耗した状態で高次面に挑むと、最悪手詰まりになってしまう恐れがある。
そうならないためにも、とにかく回復には気を遣おう。常に十分なヒットポイントを確保しておくことと、先制されるリスクを減らすため、無駄な移動を避けることを心がけたい。