SPIRIT(87年4月号)において、無事お姫様を助け出した(んだろうな?)君、ピーターはある日、1通の手紙を受け取った。「ワシたちの村のツボを返してくだされ。」。ぬわーんと、あそこは焼き物の村だったのだ。スライムをやっつけるために使ったツボは、干してあった物だという。王様からもらった賞金は、ほとんど使ってしまい、お金では弁償できない。途方にくれて町をぶらついていると、ある店に「魔界のツボ」が売られていた。店の人に話をきくと、魔界にもツボを作っているところがあり、そこから1つ盗んできたということだ。これだ!と思った君は、体を鍛え、魔法を習って魔界へ向かっていった。
(「ポプコム」'88/3月号より引用)
今回紹介するのはおなじみ「ポプコム」に掲載されたMSX2用横スクロールアクションゲーム「SPIRIT II」(スピリット・ツー)です。掲載号は1988年3月号で作者は松原輝彦氏。迷路のようなステージを突き進み、モンスターどもを倒しながら壺を10個集め、鍵を手に入れ脱出すれば面クリアという、まぁ、当時よくあったタイプのゲームです。
ストーリーを読めば判りますが、本作はシリーズ2作目で、前作となる「SPIRIT」が、同誌87年4月号に掲載されていました。「SPIRIT」はオールBASICの縦スクロール型アクションゲームで、壺を使って敵を倒しながら出口を目指すという内容です。
続編だけあって、本作は前作から格段に進歩を遂げています。グラフィックが強化されたのはもちろん、ジャンプアクション、多彩な攻撃手段、アイテム数の増加等々、様々な要素が新たに盛り込まれ、全く異なる作品だと見違えるほどに変わっています。
前作「SPIRIT」。外観もルールも相当に異なるが、頭を使うアクションゲームであることは一緒だ。
しかし一方で両作には大きな共通点があります。「SPIRIT II」は、そのゲームの肝となる部分をこの前作から受け継いでいるのです。
「SPIRIT」は不可逆スクロール式を採用しています。つまり先の画面に進んだら後戻りできません。また、攻撃手段は有限で無駄遣いができません。そのため不用意に先に進むと、袋小路にはまりこんだとか、必要なアイテムを取り損ねたとか等で、手詰まりになることが多々あります。そこでプレイヤーには、マップを覚えるとか、常に先のことを考えて行動する等、攻略方法を組み立てながら計画的にプレイすることが求められます。「II」ではこの部分が推し進められ、より計画的なプレイが必須となっているのです。
限られた条件下でいかに最適な攻略方法を見つけるか。それは本作が前作から受け継ぎさらに発展させた部分で、そこがまさに本作の面白さとなっています。パズル色の強いストイックなアクションゲーム、それが「SPIRIT II」であると言えるでしょう。
「SPIRIT II」 小学館「ポプコム」1988年3月号掲載 オリジナルプログラム優秀賞受賞
対応機種:MSX2,MSX2+(RAM32KB・VRAM64KB以上) 作・松原輝彦
ジャンル:アクションゲーム
プログラム構成:BASICリスト×1,マシン語リスト×2
メディア:テープ専用