おいでませルワンダ島〜「トリトーン」for MSX ROM版攻略情報

「トリトーン」MSX ROM版タイトル画面

僕は夢中で剣を振っていた。

 不気味なほど静かな海に、深い霧につつまれた孤島、ルワンダ島がある。かつてそこは平和な島であった。しかしあまりにも平和であったがゆえ、突如、妖怪”ペイ・バルーサ”が手下を引きつれ、この島に攻め込んできた。島はあっという間に征服され、人々は地下奥深くに閉じこめられてしまった。”ペイ・バルーサ”は、妖怪どもをあちこちに放ち、権力をほしいままにした。「昔より伝わる五色の妙薬を手にすることができるのなら、あの島に平和をとりもどすことができるのじゃが…」と、ある老人がつぶやいた。それを聞いたひとりの勇士が立ち上がった。その名は”トリトーン”……。

「トリトーン」とは

 「トリトーン」は、1985年に兵庫のソフトハウス、ザインソフトが発売したパソコン用ARPGです。当時は和製RPG勃興期の直後で、各社が手探りながら様々な趣向を凝らしたCRPGを開発しています。中でもアクションゲームの要素を採り入れた作品は、これまでにない斬新なCRPGとしてユーザーに受け入れられ、「ARPG」という新しい分野を築いたのでありました。1984年の「ハイドライド」「ドラゴンスレイヤー」「カレイジアスペルセウス」に始まり、以後「メルヘンヴェール」「レリクス」「リグラス」等々、各社から様々なARPGが発売されたのですが、「トリトーン」は、そうした草創期のARPGの一つとして、往年のゲームファンに記憶されています。

 制作元のザインソフトは、当時を知る者には「クソゲーメーカー」として、特にその名を知られています。リリースした作品の多くは、あからさまに他社のヒット作を意識してはいるのですが、どこかが決定的にズレており、結果似てあらざるものと化しています。ところが、そのズレた作風こそがザインソフトの個性かつ大きな魅力でして、出来は今ひとつなのにどこか憎めず、愛嬌さえ感じさせるその作品群は単に「クソゲー」の一言で切って捨てられず、今なお一部のマニア達から熱狂的な支持を受けています。
 そのザイン的センスは「トリトーン」にも遺憾なく発揮されています。画面構成、ゲーム展開、謎解き等々は、見るからまさに「ハイドライド」の二番煎じです。しかしそこはザインソフト、当時の人気ゲーム「ドラゴンバスター」まで意識したのか、「トリトーン」ではサイドビューを採用し、トップビューの「ハイドライド」とはひと味違う作品に仕上がっています。本作では横視点の特長を活かし、ジャンプや剣振りといったアクションが可能となっているのですが、このゲームシステムの完成度は当時のARPGでは破格のものでした。軽快なアクション・成長の楽しさ・謎解きの面白さというARPGの「おいしいところ」を凝縮した「トリトーン」は、ARPGの佳作として人気を博し、ザインソフトの代表作になりました。

 「トリトーン」は当時の主要ハードひととおりに移植されましたが、今回紹介するMSX用ROM版は、その中でも最後発にあたります。発売はオリジナルの発売から一年近く経った1986年秋。その時にはMSX用としてすでにカセットテープ版が発売されていたのですが、その頃は同じ機種であっても、複数のメディアで同じゲームを出すということはあたりまえでしたし、機種やメディアによって小変更が加えられることもよくありました。
 それだけに最後発となったROM版には、テープ版はもちろん他の機種にはない様々な新要素が盛り込まれています。新しいマップ、新しいキャラクターはもちろん、さらに当時の流行らしい隠れキャラや難しい謎解き。かくして大規模なマイナーチェンジを遂げたROM版は、数ある「トリトーン」の中でも、決定版とでも呼ぶべき内容となりました。

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