Written by 本名荒井
7年ぶりのチャレオゲだ! 今回は「は〜りぃふぉっくす雪の魔王編」。マイクロキャビンの人気AVGの続編だ。スタートはシタンの町。前作のラストステージで、子ギツネはここにある病院に入院していたんだ。
町は今、大寒波に見舞われているようだ。あたりに人の姿はなく、ゲートもすっかり雪をかぶっている。
町をはじめ、各ステージはいくつかのシーンから構成されている。マップを作るとスムーズに進めるだろう。
シーン間の移動は基本カーソルキーだけで済む。そのためとても移動がしやすい。この操作方法は前作でも採用されていたもので、遊びやすいと評判が良かったんだ。
ついでにMSX版は移動するごとにLINE&PAINTでじわじわと画面が描かれる。今でこそ当然の瞬間画面表示は、1985年頃まではそれ自体がウリになるほどのハイテクだった。こんな具合にいちいち描画の過程が見えるゲームは、当時まだまだ当たり前だったんだヨ。
「魔王の力が満ちていて、誰もこの町から抜け出せないの。」
ハトさんに遭遇。会話から情報を集めるのはAVGの基本。ハトさんは他のキャラの性格について教えてくれる。しっかり話を聞いておこう。
「シッシッ アッチへいけ!」
町の片隅に犬さんがいた。さっそく話しかけたが、あっちへ行けとつれないお返事。
だからといってこの犬さんは意地悪者ではない。話しかけ方次第では快く口を開いてくれるんだ。
カワイイ女の子発見! このコはマリさんの友達サトミさん。マリさんの消息につながる大事な話をしてくれる。しかしキツネのままでは人間と話ができない。話をする前に、まずはするべきことがあるようだ。
これまで得た情報によれば、この大雪は「雪の魔王」の仕業。本来その猛威から守ってくれるはずの「黒ギツネ」は子供を失ったおかげか、力をふるっていない。そのため町の人々は生け贄として、むりやりマリさんを魔王に差し出したというではないか! そのショックでマリさんの祖父・ヘイグじいさんは嘆死。事態は深刻だ…
さまよううちにマリさんの幽霊が! まさかマリさんは死んでしまったのか?
突然のことにあっけにとられてしまうが、場面の変化を見逃さないように!
「不思議な力」で町から脱出。次の舞台・パロの山に向かう。
マリさんを救うには、ともかく雪の魔王を倒さなければならない。それにはこの異変の謎を解く必要がありそうだ。まずは事情を知っているであろうテシさんなる人物に会わねばなるまい。
「ガキンチョにこの先旅を続けるのは無理だ。帰んな!」
すっかり雪山と化したパロの山に到着。着くなり威勢のいいキツネが「魔王なんかオレ様が退治してやる」と息巻いている。いかにもこんなザコムーブかましといて勝てるのかなぁ。
山中でお地蔵さんを見つけた。MSXユーザーにとっては初対面となるけれど、実は前作にも登場したキャラ。こんなところも続編らしいね。
噂の黒ギツネと遭遇。奴さんは気が立っているようだ。何も教えてくれないばかりか、ヘタに関わると殺されてしまう。どうやら子供を失って以来、情緒不安定に陥っているらしい。直接問いただしたいことはままあるけれど、触らぬ神にたたりなし…
変わった扮装のお猿さんと出会った。お猿さんも前作に引き続き登場しているキャラ。通称名古屋のヤンキーザル。大きなサングラスといつも吹かしているタバコがトレードマークだ。前作ではちょい役だったけど、本作ではリンゴをくれる。ありがたく頂いていこう。
さっきまでイキっていたキツネが負傷して倒れている。黒ギツネに勝負を挑んで返り討ちに遭ったのだろう。案の定といったところだが、このまま放っておく訳にもいかない。なぜならこのキツネくんは非常に重要なことを教えてくれるんだ。
そのためにはケガを治さなければならないが…まぁ、ツバでも付けときゃ直るんじゃないカナ?
山を越えてポロト湖へ。次のステージはこの湖の向こうにある。しかし湖は広大で、ただでは渡れそうにない。上天より命ありて生まれたる蒼き狼ありき。大いなる湖を渡りて来ぬ…ってゲームが違う!(おい)
湖のほとりにはツルさんや白鳥さんがいる。みんなこの寒さで食べるものもなく、ひもじい思いをしている。手を差し伸べてみるのもよいだろう。ただし、助ける相手はよく選ぼう。
湖を渡り、キッドの森にやってきた。これまでとはうってかわって雪もなく、木々は青々と茂っている。このあたりには魔王の力が及んでいないらしい。まずは安全のためセーブしとこう。
このタヌキも前作に引き続いて登場。前作ではクストの山の嘘つきダヌキとして悪名が高かった。本作では嘘の罰に故郷を追放され、改心したと語っている。どこまで信用していいかはあいかわらず油断できないが、くれるアイテムの効き目は本物だゾ。
森には様々な動物がいる。得られる情報はたわいない噂話といったあんばいで、事件の真相に迫るものではなさそうだ。ところが全て無下に扱っていいというものでもない。どこかにあるという、変なアレの噂が気になるなぁ。
密猟者に熊。森の中は危険がいっぱいでもある。メルヘンタッチで評判になった「は〜りぃふぉっくす」シリーズだけど、当時のAVGの例に漏れず、ゲームオーバーになる罠が方々に仕掛けられている。うかつな行動は死につながる。くれぐれも慎重に!
忽然と仏像が建っている。話しかけてみても、パロの山のお地蔵さんのように反応してくれない。いかにも曰くありげなのだが…
はっきり言って、この場面はこのゲームで最も難しい。これまで得た情報を整理してみよう。
今度は別のところでカギ発見。これが件の「カギ」なんだろうか?
キッドの森の果ては小川。川端ではカワウソさんが休んでいる。どうやらテシさんの居場所はもうすぐだが、その前にこの小川を渡らなければならないようだ。
今度は自力でどうにかできそうだけど、魚に化けても鳥に化けてもこの川は越えられない。発想の転換が必要だゾ。
無事に川を渡り、キッドの村へ。これまで聞いた話をまとめると、テシさんは黒ギツネと深い関わりがあるばかりか、同一の存在だという噂まである。しかしその真相はまだ謎だらけ。渦中の人物・テシさんの家は目の前だ。
家の横には猫がいる。この猫には「はなす ねこ」の他にも、なんと「はなす おにゃんこ」でも話しかけられる。しかも訊いてないのにこニャン子クラブの会員ナンバーまで教えてくれる(おい)。
当時はおニャン子クラブなる女性アイドルグループが大人気を博していた。マイクロキャビンのスタッフにもファンがいたんだろうなぁ。
意を決して家の中へ。ついに噂のテシさんに会うときが来た。見た目は善良な好青年だが…
話しかけようにも、サトミさんと同じ方法はもう使えない。そうだ、アレを見せてみよう。
「これは何かの間違いだ!…黒ギツネは恐ろしい病気にかかっているようだ。」
テシさんは事態を察したようだが、マリさんの所在も含め、詳しいことは依然としてわからずじまいだった。雪の魔王と黒ギツネとテシさんの関係は? やはり魔王と対峙するしかないようだ。
チロヌップの山に到着。あたりは再び雪に埋もれている。ウサギさんに話を訊くと、このあたりまでしばしば魔王の城の物音が聞こえてくるという。いよいよ本拠地に近づきつつある。
ちなみにチロヌップとは、キツネを表すアイヌ語だ。
「そうか。離魂病だ。」
ライチョウさんとオオカミさんは謎の核心に触れる話をしてくれる。黒ギツネは魂が分かれる病気「離魂病」にかかっており、そのため存在が魔王とテシに別れてしまったのだという。もしもそれぞれが出会ったら互いに殺し合い、最後の黒ギツネ・自然の守護者を失うことになると…だけどなぜ黒ギツネはそんなことになってしまったのだろう?
山の外れに、密猟者によって傷ついたワシさんがいる。ヘタに動くと襲ってくるいつものパターンとおもいきや、このワシさん実はいいヤツなので、無視するわけにはいかない。でもこのケガは、前と同じ方法では治せないゾ。
「わたしマリよ。コンコン。」
囚われているはずのマリさんがなぜここに? 話をしてみるとなにかオカシい…ここは少々手荒な手段に頼らざるを得ない。
「お願い、私と帰って!」
マリさんは偽物だった! その正体は子ギツネと同じ山の雌ギツネ。心配のあまり子ギツネを引き留めようとするが、それでもマリさんを見殺しにはできないんだ!
そして魔王の住む氷の城へ。この先は魔王の領分。むやみに行動すると体力が尽きてゲームオーバーになってしまう。くれぐれも気をつけよう。全ての呪文とアイテムは揃っているだろうか?
氷の城の入り口の前に来た。魔王とマリさんはこの先にいるけれど、大きな扉が立ちはだかる。これまでの冒険の成果が試される時だ。
ちなみに最初テープ版で遊んだときは、リードエラーでここから先に進めなかったのだ(泣)
ついに雪の魔王が現れた! 魔王によって明かされる衝撃の事実の数々。奴を倒さぬ限りマリさんは救えないが、並の方法では太刀打ちできない。果たして方法はあるのか?
離魂病とは? この龍はいったい? なぜ黒ギツネが? そして物語は怒濤の展開を迎える。
黒ギツネもロムス病で子供を失っていた。リール神社の油揚げを必要としていたのは自分だけじゃなかったんだ…
魔王を倒すも、主を失い城が崩れ始めた。マリさんの姿を求め階段を上ると、水晶付きの扉の前にたどり着いた。例によって容易には開けられず、その上さっきと同じ方法は通用しない。いかにも目立つものに注目してみよう。
「ここから出して!」
扉を開け、ついにマリさん発見! しかし今度は檻に閉ざされ、このままでは連れ出せない。グズグズしている時間はない。開かないなら壊してしまえ!
マリさんを解放すると同時に城が完全に崩壊した。宙に投げ出される一人と一匹。このままでは墜落死だ!
ここで助かるかはこれまでの行動次第。こんな時こそ助け合おう!
「私もあなたのようにがんばるわ。さぁ、お行きなさい。」
再会の喜びも束の間。物語はエンディングへ。語られる物語はなかなかに重いけれど、ほのぼのとしたグラフィックでさらりと遊ばせてくれる。何より不条理さの少ない展開で、考えて解く面白さが味わえる。「雪の魔王編」は初心者から玄人まで誰もが楽しめるAVGと言って良いだろう。