地上に進出してきた冥王ハデス。それに挑むのが、主人公ヘラルドだ。仲間やパーティなどというものはない。たった一人の戦いである。
操作やルールはオーソドックスなコマンド式RPGのもの。ファミコン時代のRPGに親しんだことがあるなら、何の違和感もなく遊べるだろう。
カーソルキーで移動する。画面は左右にのみスクロールする。建物や洞窟に入りたいときは、入り口で上を押せばいい。各種コマンドはリターンキーでメニューウィンドウを呼び出し、そこから実行する。スペースキーが決定で、リターンはキャンセルにも使う。
敵との遭遇はランダムエンカウントだ。遭遇したら戦闘モードに変わるが、操作はメニューウィンドウからコマンドを選ぶだけである。敵のH.Pをなくせばヘラルドの勝利。ヘラルドのH.Pがなくなれば当然ゲームオーバーだ 。
フィールドマップは2Dトップビューで表示されるが、洞窟によってはサイドビューに切り替わる。移動には食料を消費する。食料がなくなってもゲームオーバーである。
勇敢ではあるものの、冒険に出た直後は、最弱の敵にもなすすべなくやられるほど弱い。ハデスに挑もうとするなら、とにもかくにも成長するしかない。
H.P | 体力。なくなればゲームオーバー。 |
STR | 攻撃力。高いほど多くのダメージが与えられる。上限値350 |
EXP | 経験値。一定数たまるとレベルが1上がる。 |
M.P | 魔力。魔法を唱えるのに必要。 |
LEVEL | レベル。最大20 |
GOLD | 所持金。買い物やサービスを受けるのに必要。 |
FOOD | 食料。歩くごとに1減る。これがなくなってもゲームオーバー。 |
A.C | 防御力。高いほど受けるダメージが軽くなる。 |
AGI | すばやさ。逃走成功率に影響する。レベルが上がるごとに3上がる。 |
DEX | 器用さ。攻撃や防御に影響する。レベルが上がるごとに2上がる。 |
主なパラメータは、画面上部に表示されている。それ以外のステータスは、コマンドメニューから見られる。どれも人気RPGでよく見かけるもの。改めて説明されなくとも、どれも意味はわかるだろう。
ただし成長方式は少し変わっている。レベルアップしてもSTRやM.Pはほとんど上がらない。STRを強化したいなら武器屋や道場、M.Pは魔法屋を利用することになる。
注意しなければならないのはFOODだ。ヘラルドは一歩歩くごとにFOODを消費する。FOODがなくなると、どんなにH.Pが残っていても即ゲームオーバーとなってしまう。いつの間にやらかなり減っていることが多いので、少なくなったら補充しよう。
個人的には、こんなにパラメータはいらなかったのではと思う。当時のCRPGでは、パラメータの多さが奥深さと思われている節があった。当時の人気作の影響が見られる「グロリアスフォース」に、そうした傾向が見られるのは当然だったのかもしれない。
STAUS | ヘラルドの装備品や各種パラメーターを表示する。 |
MAGIC | 魔法を使う。 |
ITEM | アイテムを使う。 |
M.SPEED | メッセージの表示速度を変える。1〜9の順に遅くなる。 |
LOAD | ゲームデータをロードする。メモリとテープの二つが選べる。 |
OPEN | 宝箱を開ける。鍵が必要。 |
CONTROL | 操作デバイスを変える。キーボードとジョイスティックが選べる。 |
END | ゲーム終了。 |
EXIT | メニューを抜ける。 |
ATTACK | 直接攻撃。剣で斬りかかる。 |
MAGIC | 魔法を唱える。攻撃魔法と回復魔法に大別される。 |
ITEM | アイテムを使う。 |
RUNAWAY | 逃げる。成功率は素早さと乱数に左右される。 |
EXAMINE | 調査。敵の強さを表示する。必ず成功するが1ターン消費する。 |
全てのコマンドはメニュー上で実行する。コマンドをカーソルの上下で選んで、スペースキーで決定だ。「ハイドライドII」や「ドラクエ」を彷彿させるコマンド入力方式は非常にわかりやすい。
このウィンドウシステムは、飽くまでマルチウィンドウ風のGUIである。重ね合わせや待避といった難しいプログラム処理は何もやっていない「なんちゃってマルチウィンドウ」ではあるのだが、そのスマートでわかりやすく、かつカッコイイウィンドウメニューが「グロリアスフォース」の大きな長所であることに違いはない。このシステムは特に評価された部分だ。
攻撃力は上げやすい。強力な剣がすぐ入手できるし、中盤以降は道場にも通える。攻撃力が高ければどんなメリットがあるのか? それは反撃の余地さえ与えず、敵を倒せるということである。攻撃力を上げ、一撃で倒せる敵を相手にしていれば、苦戦することなく経験値とゴールドを稼げる。稼いだゴールドで装備を拡充しておけば、より強い敵に遭遇しても苦戦しない。また、攻撃力が高ければ弱い敵が逃げ出すことも見逃せない。
防御力も重要だが、楽に進めたいのなら、攻撃力を優先して上げよう。防具の購入は、攻撃力だけで押せなくなってからでも遅くない。
「ザナドゥ」の影響か、レベルが上がると鍵は値上がりする。早めに必要数を買いそろえると、ゴールドをちょっとだけ節約できる。
また、道場と魔法屋の料金も、レベルが上がるごとに大きく値上がりする。稽古を付けるならレベルが低い方がお得である。
プレイしていると、時にOverflowやOut of Memoryで止まることがある。メモリーセーブも多用すると暴走することがある。
止まればそれまでのプレイがパーになってしまう。こまめにテープにセーブしておけば、不慮の事態も安心だろう。
見た目のスマートさに比べ、「グロリアスフォース」のプログラムはぐちゃぐちゃでバグも多い。中には非常に気になるものもいくつかある。ここで確認できた症状を紹介しておこう。直せるものは直してみたので利用してほしい。
誌上ではリスト2の入力前に「CLEAR,&HBFFF」を実行するよう指示しているが、CLEAR 80,&HB7FFの間違いである。
戦闘時敵にダメージを与えると、エフェクト後、敵のグラフィック表示が一部欠けてしまう。これはエフェクト後も画面上にスプライトが残ってしまうのが原因。リスト3の該当箇所を次のように直せば消える。
1670 FORI=112TO128STEP16:FORJ=72TO88STEP16:PUTSPRITE2,(I,J),15,44:PUTSPRITE9,(0,U):FORK=0TO50:NEXT:PUTSPRITE9,(0,0):NEXT:NEXT:PUTSPRITE2,(0,209)
所持GOLDが32767を越えるとOverflowで止まってしまう。所持金変数GOが整数型であるゆえ、MSXでの整数型の上限値を越えてしまうことが原因。リスト3の該当箇所を以下のように修正するのが一番手っ取り早い。
1720 S$="GOLD +"+STR$(EP(5))+"GP":GOSUB2440:IFGO+EP(5)>30000THENGO=30000:GOSUB2100ELSEGO=GO+EP(5)
この方法ではGOLDの上限値が30000になってしまうので、それがイヤな場合は、次のように直そう。
1000 CLEAR:SCREEN1:DEFINTF,H-Z:DEFSNGA-E,G,M,N,V:ONSTOPGOSUB1510:STOPON:GOTO3540
マップの右端・左端の障害物のないところからさらに移動しようとすると、画面外に出てしまい、そのまま左端・右端からまた出てきてしまう。プログラムを見る限り、マップ外にはみ出ないようにする処理がないので仕様と思われる。
このままでも遊ぶことはできるが、はみだしたまま移動するとバグって止まってしまうこともある。リスト3を以下のようにすれば直せる。
1160 IFX<15THENX=X+1ELSEIFX<30THENX=X+USR1(0) 1210 IFX>15THENX=X-1ELSEIFX>0THENX=X-USR1(0)
ELSE以下のIF文を論理式に変え、こう記述してもよい。
1160 IFX<15THENX=X+1ELSEX=X-USR1(0)*(X<30) 1210 IFX>15THENX=X-1ELSEX=X+USR1(0)*(X>0)
リスト3には、GOSUBで飛んできたサブルーチンからGOTOで復帰するところがいくつかある。そのままでも問題なく遊べるが、気になるなら該当箇所を以下のように直そう。
1110 P=FNP(X,Y+1):IFP=&HC1THENRETURN1930 1600 HP=HP-A:IFHP<1THENHP=0:RETURN2390 1710 PLAY"L8O5E4FGR64ER64C":S$=Z$+" DEAD.":GOSUB2440:IFEN(EE)=19THENPUTSPRITE0,(0,U):FORI=0TO3000:NEXT:RETURN1890
すでに剣や防具等を装備した状態で、新たに別の剣や防具を装備すると、それまでの装備は消える。高級品を装備した状態であっても、低級品を装備してしまえば、有無を言わさず消えてしまう。特に武器屋で装備品を買うと即装備してしまうため、誤って消さないよう気をつけよう。
これもプログラムの仕様である。
長時間ゲームを続けているとOut of Memoryで止まることがある。