カーソル | 上下左右に移動。斜め移動も可。 平地等で静止すれば生命力が回復する。 |
スペース | 攻撃/防御モード切り替えおよび地下迷宮への出入り。 トグル式の88版と違い、攻撃時はキーを押しっぱなしにする必要がある。 |
W/R | メモリーへのセーブ/ロード。データは電源を切るまで保持される。 ジムはもちろん怪物の位置や生命力まで、状態が完全に記録される。 |
S/L | テープへのセーブ/ロード。 記録される内容はメモリーセーブと同等の模様。 |
ストップ | 一時停止。もう一度押すとゲーム再開。 |
エスケープ | 自殺する。リトライ用。 |
操作はジョイスティックにも対応している。この場合はスティックで移動し、トリガー1ボタンで攻防を切り替える。スティックはポート1に繋いでおくこと。
ROM版ではパスワードセーブを採用しているため、かわりにテープセーブ機能が省略されている。
「アクティブ」らしく、本作の戦闘方式はコマンド入力式戦闘ではなく、怪物に体当たりするだけという、わかりやすいアクション戦闘だ。攻撃モードでぶつかれば大きなダメージを与えられるが、その分反撃されると大きなダメージを受ける。防御モードならば与えるダメージは小さいが、こちらが受けるダメージも抑えられる。
1 | マップ画面 | 見下ろし視点で現在地を表示。 スクロールで画面が切り替わるのがMSX版の売り。 |
2 | ジム | プレイヤーが操作する本作の主人公。ARPG界一鎧が似合う人物。 その名は「ドルアーガ」のギルに倣って決められたとか。 |
3 | アイテム表示欄 | 手に入れた宝物はここに表示される。 どの宝物も持っているだけで効果を発揮する。 |
4 | タイトルロゴ | 有名なロゴ。ちなみに「HYDLIDE」とは内藤氏の造語。 全天星図を見ながら思いついたものらしい。 |
5 | LIFEメーター | 生命力。緑の棒グラフで表示される。ひと目盛が10。 なくなるとゲームオーバー。初期値10。 |
6 | STRENGTHメーター | 攻撃力。同じく水色で表示。 多いほど高いダメージが与えられる。初期値10。 |
7 | EXPERIENCEメーター | 経験値。同じく黄色。強さと倒した怪物に応じて増加。 100になるとLIFE上限値とSTRがそれぞれ10増える。 |
8 | インフォメーションウィンドウ | 戦っている怪物の情報等が表示される。 通常は「T&ESOFT」と表示されている。 |
9 | 妖精 | 見つけた妖精はここに表示される。全て集めると... |
マップはもちろん属性値、アイテム、怪物の強さ等々。ゲーム画面には必要な情報が視覚的に配置され、刻一刻と変化する状況が一目でわかるようになっている。内藤さん曰く「ハイドライド」のゲーム設計と画面デザインは「ドルアーガの塔」と「ザ・ブラックオニキス」から影響を受けたとか。今でこそ当たり前になってはいるが、「アクションゲームのリアルタイム処理」をCRPGに持ち込んだことはそれ自体が大発明で、「ハイドライド」が「元祖ARPG」を名乗る根拠となっている。
他の機種ではこれら情報の他にも、攻撃/防御モードが随時表示されるのだが、MSX版では画面に余裕がなかったのか、表示が省略されている。もっとも、MSX版はスペースキーを押している限り攻撃モードになる仕様なので、表示されずとも特に困ることはないだろう。
本篇の目的はフェアリーランドを陥れた悪魔バラリスを倒し、アン王女と平和を取り戻すことだ。そのために何をすべきかはストーリーを読めばわかることだろう。しかしジムの前には幾多の手強い怪物や陰険な謎が立ちはだかり、そう容易には成し得ない。フェアリーランドのために立ち上がったジムたちのため、助言をいくつか差し上げよう。
MSX版にはメモリーセーブ機能が追加されているが、もちろん「ハイドライド」でも、ジムを助けてくれる。MSX版のメモリーセーブ機能は非常に強力で、ジムの状態はもちろん、怪物の位置、生命力まで記録してくれる。迅速なリトライや経験値稼ぎはもちろん、ダンジョン探索、デカキャラ戦等で、そのありがたさを痛感するはずだ。ありがとう、加藤さん!
ただし怪物の配置まで記憶するというのが曲者で、巧く使えば有利な立ち回りを保証してくれるが、強力な怪物に囲まれた状況で使用すると「ハマチ!」になる危険もはらんでいる。メモリーセーブは飽くまで補助手段。他のセーブと併用しよう。
ちなみに「ハマチ」の語を生み出したハイドライドシリーズだが、意外や意外、「II」以外ではよほどの無茶をしない限り、ハマチになることはない。
草原に森、石畳の迷宮、砂漠に水路等々、フェアリーランドには様々な地形が存在する。歩くだけで生命力を削られる地形も多く、特に生命力が低いうちは、うろつくだけで行き倒れになることもある。ジムが安全に歩ける地形は意外に少ない。できるだけ安全な場所を選び、まめに回復しながら移動するよう心がけよう。
草原で静止していれば、ジムの生命力は回復する。また、速度こそ遅いが石畳でも同様に回復できる。覚えておいて損はない。
「ハイドライド」も、基本的には体当たり式の戦闘を採用している。怪物にぶつかればダメージを与えられるが、反撃を喰らう恐れもある。
ところが怪物が攻撃できるのは進行方向のみなので、この特性を利用して背後から攻撃を当てれば、ダメージを受けることなく攻撃できる。怪物はちょくちょく気まぐれに方向を変えて攻撃してくるが、さいわいジムはいかなる怪物よりも足が速い。巧く背後を取りながら攻撃することが、戦闘の要となるだろう。
反対にジムも背後から攻撃されれば一方的にダメージを受ける。敵に背中を見せないことも心がけよう。
今や赤毛の奴の専売特許のように語られている「半キャラずらし」だが、実は「ハイドライド」で既出の技だ。ハイドライド式の半キャラずらしは、障害物から半分だけ身を乗り出すようにして攻撃を仕掛ければ、ノーダメージで倒せるというもの。ただしそのためには相手となる怪物を二撃以内で倒せる程度の攻撃力が必要となる。立川流の半キャラずらしほど万能ではないが、狭い迷宮内では重宝する。ぜひともモノにしておこう。
地味であまり目立たない防御モードだが、積極的に使いこなせば冒険がぐっと楽になる。例えば怪物との接触が避け得ない狭い迷宮を探索するとき、攻撃モードのまま歩き回っていれば手痛い反撃を受けるが、防御モードならば被ダメージを抑えられる。また、防御モードでもわずかながらダメージを与えることができるので、特に後半、高い攻撃力を誇る怪物を相手にするときには非常に役に立ってくれる。怪物を倒したくないときなども、防御モードにしておけば、不用意に倒してしまうのをある程度防ぐことができる。
「ハイドライド」に「攻撃は最大の防御」はあてはまらない。「防御こそ最大の攻撃」と心得よう。
「ハイドライド」ではデカキャラに与えたダメージは記憶されており、画面外に出てもリセットされない(ザコキャラのダメージはザコが画面外に逃げるとリセットされる)。だから一撃を加えるごとに安全な場所に待避して生命力を回復し、再び攻撃...という動作を繰り返せば、どんなデカキャラでも倒せるようになっている。防御モードと併用すれば、さらに安全に倒すことができるだろう。
そればかりか、与えたダメージはセーブデータにも反映される。一撃離脱&回復・セーブという動作を繰り返せば、低レベルで不死の薬を使わずにバラリスを倒すことさえ可能なのだ! デカキャラとの戦いは焦った方が負けだ。じっくり、確実に攻めよう。
制作者が認めるとおり、本作はナムコの「ドルアーガの塔」の影響を色濃く受けている。それは謎解きも然り。謎解きに行き詰まったときは「ドルアーガ」のことを思い出してみよう。糸口がつかめるかもしれない。
「ハイドライド」は内藤さんが作ったPC-8801版をオリジナルとして、様々に仕様の異なる他機種版が存在している。その違いはもっぱら機種間の性能差によるものだけど、ここではMSX版と88版の違いをまとめてみた。
88版や他の機種では、起動するとタイトル画面が表示され、引き続きストーリーと操作説明が表示される。しかしMSX版ではタイトルやストーリーは表示されず、起動するとプレイデモが始まる。容量の都合で省略されたんだろうけど、もしこの頃にメガロムがあったなら、タイトルも操作説明も収録されていたかもしれないネ。
ちなみにこのページの頭にあるMSX版操作説明画像は、MSX2版を元に荒井があつらえたもの。ゲーム本編には出てこないゾ。
同じく88版ではゴブリンとオクトパスという強敵が登場するんだけど、やっぱり容量の都合か、MSX版ではこちらも省略されている。どちらも厄介な怪物だけに、出現しない分楽になっているけど、ちょっと寂しいような気もする。
後発のMSX2版ではゴブリンが復活している。MSXでゴブリンに会いたかったらこちらを遊ぼう。
ブラックアーマーはバラリス城に出現する怪物だけど、MSX版ではグリーンアーマーに変わっている。MSX版の怪物は単色のスプライトで描かれているので、背景との兼ね合いを考えての変更だと思われる。緑になった分、確かに黒よりずっと見やすくなってるね。
マップも微妙に違っている。特に地下迷宮やバラリス城内は、88とMSXとでは壁の配置が全く異なっている。それとMSX版は88版よりも2画面ほどマップが少ない。具体的にはレディアーマーの迷宮とバラリス城がそれぞれ1画面ずつ少なくなっている。もっとも、いろいろと省略されたMSX版だけど、ゲームの面白さは全く変わらない程度の変更で、むしろMSXで88とほとんど変わらない画面数と内容を実現したことを凄いと考えるべきだろう。
マップデータの圧縮はMSX版を実現する上で鍵となった技術だ。この技術は続編の「ハイドライドII」にも活かされてるんだヨ。
MSX版ではスペースキーを押している間は攻撃モードになり、放せば防御モードになるけれど、88版ではこれも違っていた。88版は押すごとに攻防が切り替わる仕組みで、攻撃モード中はスペースを押しっぱなしにする必要がないんだ。だから88版ではモード表示がないと現在のモードがわからなかったりする。MSX版でモード表示が省略されているのは、88版よりモードがわかりやすいというのも理由なんじゃないかな。
MSX版は省略ばかりじゃない。88版にはない要素も盛り込まれている。BGMがそのひとつ。88版は単声のビープ音のみで効果音のようなBGMが鳴っているだけだったけど、MSX版ではPSG2声を使ったBGMが追加されている。「ハイドライド」といったら欠かせないあのBGMはX1版から起用されたもので、PC-6001mkII版とMSX版でも同じ曲が使われている。後年Windows用に出た復刻版では、T&Eソフトのサイトで、BGMをMSX版にするためのWAVファイルまで配布されてたんだ。
画面がスクロールして切り替わるのも、88版にはないMSX版の大きな特徴だ。PCG機能が使えるMSXでは、文字列を扱う感覚でグラフィックを扱うことができるので、その特性を活かしたものと思われる。同じくPCG機能を備えるX1版ではさらに強力なPCG機能により、全機種中唯一、スクロール移動を実現している。
もうひとつ、メモリーセーブ機能も88版にはない機能だ。メモリーセーブはMSX版とMSX2版、FM-7版に搭載されているけれど、「ハイドライド」でメモリーセーブを最初に採用したのはMSX版なんだ。ディスクが使える機種だとあまり気にならないけど、もっぱら記録をテープに頼る機種では、セーブとロードはけっこう面倒な作業だった。だから手軽にできるメモリーセーブは、とてもありがたいものだったんだ。このおかげでMSX版がさらに遊びやすくなったことは違いない。