めざせダンジョンマスター〜「ダンジョンマスター」for MSX攻略情報

「ダンジョンマスター」タイトル画面 RNTI進撃中 ドラゴンだらけ

 それは何処にあるのか、誰も知らない街。時の狭間に忘れられた、死と闇に閉ざされた名もない街「CITY OF GHOST」。
 恐怖と危険の待ち受ける、あらゆるダンジョン(洞窟)を制覇した者こそが、真の勇者ダンジョンマスターと呼ばれる。かの黄金のドラゴンさえも倒したと伝えられる、不世出の大魔術師エリスの指輪が、この街の地下の広大な洞窟のどこかにあると言われている。冒険者の誰もが一度は夢見る、この指輪こそ偉大なダンジョンマスターの証なのだ。
 さあ、君もエリスに続く偉大なるダンジョンマスターを目指し旅立とう。


「ダンジョンマスター」とは

 PCゲーマーが「ダンジョンマスター」と言えば、アメリカはFTLゲームズの3DリアルタイムRPGを指すことがほとんどです。しかしMSXユーザーに限ってはそうではありません。MSXユーザーが「ダンジョンマスター」と言えば、それはアスキーの和製ARPGを指します。

 「ダンジョンマスター」は、1986年11月頃に発売されました。FTLの「Dungeon Master」(以下「ダンマス」と略)登場が1987年ですから、実はこちらの方が先です。スタイルは3Dではなく2Dトップビュー式。対応機種はMSXシリーズのみ。メインプログラムは斉田英一氏。「ダンマス」とは全く別のゲームです。しかしながら「ダンマス」が数々の新機軸を採り入れた作品であるように、「ダンジョンマスター」も意欲的な試みが見られる作品です。
 「ダンジョンマスター」一番の特徴は、最大3人同時プレイが可能なことです。類似のゲームとしてまず思い出されるのは、前年1985年に発売されたアタリの「ガントレット」でしょう。性能の異なるキャラクターによる多人数同時プレイ、剣と魔法のファンタジーの世界観、ハック&スラッシュスタイル等、「ダンジョンマスター」には「ガントレット」に通じる部分が多々見られます。むしろ「ガントレット」に強く影響を受けたものと思われます。
 ただし「ガントレット」は飽くまでアクションゲームでした。「ダンジョンマスター」には経験値による成長や、武器や防具によるパワーアップ、パスワードセーブといった要素が盛り込まれ、腰を据えて遊ぶゲームとして味付けされています。つまり「ダンジョンマスター」はRPGなのです。
 単なるアクションゲームではない3人同時プレイできるARPGは、当時のパソコンゲームでは類を見ないものでした。広告では「パソコン史上初のマルチプレーヤーリアルタイムRPG」を謳っています。ある意味、後のPCエンジンの名作「ダンジョンエクスプローラー」はもちろん、現在広く見られるようになったMORPGを先取りしていた...と言えないこともないかもしれません。

「ダンジョンマスター」パッケージ
「ダンジョンマスター」パッケージ。名匠末弥純氏の扉絵が雰囲気を盛り上げる。

 しかし、この作品が脚光を浴びることはありませんでした。知名度が低いまま終わってしまったのは、当時ならではの様々な要因が重なってしまったからと思われます。
 まず本作は、広く宣伝されませんでした。もちろん発売時には雑誌広告も載りましたし、特集記事も組まれました。ただしそれはアスキーより刊行された「MSXマガジン」や「ログイン」といった雑誌のみです。アスキーのソフトはどういうわけかアスキー発行の雑誌以外で紹介されることがほとんどなく、他社の雑誌に広告が載ることもありませんでした。それゆえ「ベーマガ」や「ポプコム」といった他社の雑誌のみを購読しているユーザーが作品を知る機会はごく限られていました。
 また、発売がちょうど「メガロム」の登場と重なってしまったことも大きく影響したでしょう。当時MSX界では「メガロム」ことメガビット単位の大容量ROMカートリッジが鳴り物入りで登場し、注目を集めていました。「ロマンシア」「ハイドライドII」「夢大陸アドベンチャー」等々、MSX移植は無理と思われていた他機種の人気作や、大容量ならではの大作が続々と発売され、話題をさらっています。そんな中32Kバイトカートリッジでひっそりと発売された「ダンジョンマスター」が、完全に埋もれてしまった感は否めません。メガロムソフトの多くがその容量を活かしてきらびやかなグラフィックを実現していたのに対し、見た目も内容も地味でアピールに乏しかったことも、不利に働いたことでしょう。

 ならば地味で取り柄はマルチプレイだけ。それが「ダンジョンマスター」かと問われたら、答えは確乎として「否」です。MSX1(しかも32Kバイト)で3人同時プレイARPGというゲームシステムを実現したことは驚異的でしたし、理不尽さのない難易度、単色ながら大きく迫力のある敵キャラ、宝探しの楽しみ、遊びごたえのあるボリューム等々、出来は至って良好です。一度遊べばメガロムソフトと変わりないその奥深さに、プレイヤーは気がつくことでしょう。
 FTLの「ダンジョンマスター」は、世界的に称賛された歴史的名作です。一方アスキーの「ダンジョンマスター」も、それに劣らぬ名作なのです。

文頭に戻る基礎知識職業案内進め方魔法一覧アイテム一覧
魔物名鑑覚え書きマップ小技集目次に戻るトップページに戻る