「ハイドライド3」の基礎知識

 キャラクターができたらさっそく冒険を始めたいところだがその前に! 「ハイドライド3」には他にも知っておくべきことがいくつかある。ここではゲームシステムおよび各属性値の特徴と魔法、そして新要素である重量と時間の概念について説明したい。どれも冒険に深く関わることばかりなので、もうすこし辛抱していただきたい。


属性値

 80年代中盤まで、パラメーター(属性値)の多さはCRPGの奥深さの指標のひとつとなっていた感がある。そのためか本格RPGを指向したハイドライドシリーズも、ナンバーが進むにつれ様々な属性値が増えていった。ライバル「ザナドゥ」のように全てに気を配らなければ解けないというものでもないが、各属性値がどのような働きをするかを知っておくとプレイしやすくなることも確かなので、あらましを紹介しておこう。(各種計算式は電波新聞社「AVG&RPG IV」より転載。一部手直し)


レベル(Level)

 キャラの総合的な強さを表す。RPGファンには説明無用だろう。基本的にこれが高いほどそのキャラは強いということになる。本作では森の街にある「聖なる寺院」でレベルアップするようになった。「ザナドゥ」と似た方式である。ついでに空腹時に減る体力の値は、レベルに比例する模様。
 なお、以下の項目で示す計算式を見てもらうとわかるが、レベル20を越えると、各属性値の上昇率は極端に落ちる。経験値稼ぎが有効なのはある程度まで、ということは頭の片隅に入れておこう。「MSX・FAN」誌によれば、レベルは最高で255まで上げられるらしい。
 ついでに、レベルアップすると体力・魔力が全快する。あんまり実用性はないがちょっとウレシい。

 レベルアップに必要な経験値=(現在のレベル)^2x100

レベルアップ経験値一覧表〜レベル20まで
レベル必要経験値レベル必要経験値
1-1110000
21001212100
34001314400
49001416900
516001519600
625001622500
736001725600
849001828900
964001932400
1081002036100

体力(Life)

 最重要パラメーター。キャラの生命力である。高いほど打たれ強い。怪物の攻撃や罠・空腹等で減少し、0になると死亡、すなわちゲームオーバーとなる。これが0にならないようにプレイするのがプレイヤーの腕前、というわけである。
 前作までとの大きな違いは、容易に回復できなくなったことだ。「I」と「II」ではフィールド上で静止していれば時間とともに回復したが、「3」ではじっとしても全く回復しなくなった。回復させるにはアイテムや呪文を使うか、寝るかするしかない。不便になったようだが、このおかげで緊張感が増して面白くなったことも確かである。当然高い方が良いに決まっているので、レベルアップではなるべく高い上昇を狙おう。
 レベルアップで上昇する量は以下の計算式で求められる。RNDとは乱数のことで、RND(n)は0〜n-1の範囲の整数のどれか、ということを表す。

上昇量

 レベル20以下:体力初期値+RND(幸運初期値/2)-幸運初期値/4
 レベル21以上:RND(幸運初期値/4)

腕力(Strength)

 腕っ節の強さ。攻撃成功率や持てる重量等に関わる。高いほど攻撃が当たりやすく、より多くのアイテムが持て、強い武器が使える。冒険のやりやすさに直結する能力ゆえ、どの職業でも高い方がよい。むしろレベルアップ時はこの数値が最大限上がるよう気をつけないと、レベルは高いのにさっぱり、ということになりかねない。
 レベルアップに伴い上がるようになったため、前作のようにボクシングゲームをする必要はなくなったので安心しよう。
 攻撃の成否判定とレベルアップ時の上昇量計算式は以下のとおりである。

成否判定

 a=怪物の機敏さ-装備アイテム全重量(Kg)
 b=RND(腕力)+腕力/2

とした場合、b>aならば攻撃成功

上昇量

 レベル19以下:(20-前のレベル)+RND(3)
 レベル20以上:RND(3)

魔力(Magic Point)

 魔法を使うのに必要な力。各種呪文はこれを消費して発動する。多いほど呪文を唱えられる回数も多くなる。解毒や治癒あたりの呪文が何度か唱えられると安心感が違うことは確かだが、重要度は職業次第である。
 前作「II」では時間とともに回復したが、本作では薬草を使うか宿屋に泊まるかする必要がある。上昇量は以下のとおり。体力と同じ計算式のようだ。

上昇量

 レベル20以下:魔力初期値+RND(幸運初期値/2)-幸運初期値/4
 レベル21以上:RND(幸運初期値/4)

精神力(Mind Force)

 キャラの善悪を表す。前作「II」におけるFORTHのようなものである。当時のCRPGは心の状態を表すパラメーターを取り入れるのが流行っていたが、それはこの「3」も例外ではない。0〜33が悪、34〜66で中庸、67以上が善となる。状態によって文字色が変わるので参考にしよう。
 本作では低くても店から閉め出されるということはなくなったが、そのかわり商品が値上がりするようになった。もっとも、値上がりはそれほど大きなペナルティではない。住民が話す内容も変化しないので、通常あまり影響はないのだが、やはり前作同様、高くないと突破できない局面が現れるので、上げておかないと後々困ることになるだろう。
 悪い怪物を10匹倒すと1上昇し、善良な怪物を1匹倒すと20下がる。怪物の属性は先制攻撃をしてくるかどうかで判断できる。


経験値(Experience)

 RPGではおなじみ、キャラの習熟度を表す数値である。怪物を倒すと増える。規定の量を積んで「聖なる寺院」に行けばレベルアップできる。レベルが上がるほどレベルアップに必要な経験値量は上がる。また、「魔導師の館」ではこれと引き替えに魔法の呪文を教えてもらえる。レベルが上がったり呪文を教わると、要した分は差し引かれる。成長に必須の属性値なので、序盤からガンガン稼いでいこう。


魅力(Charm)

 キャラの魅力を表す。「ザナドゥ」同様売買に影響する。レベルアップにともない魔力と同じ計算式で上昇するが、実は参照しているのは初期値だけなので、増えた分は勘定されない(取説では「フェアリーランドの人々は生まれながらの魅力を見抜く」と説明されていた)。少しでも買い物を有利にしたいならキャラメイク時に気をつけるべきだが、このゲームはお金にはわりと困らないので、そう神経質にならなくともよいかもしれない。

 アイテム実売価格=定価-定価x(魅力初期値+精神力/4-25)/100
 アイテム売却価格=定価x0.6x(100-魅力初期値)/100+10

上昇量

 レベル20以下:魅力初期値+RND(幸運初期値/2)-幸運初期値/4
 レベル21以上:RND(幸運初期値/4)

攻撃値(Attack point)

 いわゆる攻撃力。敵に与えるダメージ量に関わる。当然高いほどより大きなダメージが与えられる。高いほど手数が少なくて済む=時間効率の面で有利なので、レベルアップではなるべく高い上昇を狙いたい。計算式は以下のとおり。ただし重量的に使いこなせない武器を装備している場合、攻撃値は減少する。減少量には幅があって、使いこなせる重量と武器の重量差が関係しているようだ。

与ダメージ量

 a=怪物の基本防御値+怪物の装備するアイテムの総合防御力
 b=基本攻撃値+装備中のアイテムの総合攻撃力

とした場合、与ダメージ量=(256-a)/512xb

1/2の確率で幸運初期値が加算
弓矢等の飛び道具を装備している場合、bは一定値となる

上昇量

 レベル20以下:攻撃値初期値+RND(幸運初期値/2)-幸運初期値/4
 レベル21以上:RND(幸運初期値/4)

防御値(Armor class)

 いわゆる防御力。敵から受けるダメージ量に関わる。高いほど敵からのダメージを防げる。被ダメージ量の計算式は攻撃値の応用である。上昇量は攻撃値より渋めのようだ。

被ダメージ量

 a=基本防御値+装備中のアイテムの総合防御力
 b=怪物の基本攻撃値+怪物の装備するアイテムの総合攻撃力

とした場合、被ダメージ量=(256-a)/512xb

上昇量

 レベル20以下:5+RND(2)
 レベル21以上:RND(2)

機敏さ(Agility)

 すばやさ。敵の攻撃をかわす能力を表す。高いほど敵の攻撃が当たらなくなる。とはいうものの、攻撃力や防御力等、他の属性値でカバーできるので、あまり気にしなくてもよいだろう。回避判定は腕力の計算式の応用である模様。

成否判定

 a=機敏さ-怪物の装備アイテム全重量(Kg)
 b=RND(怪物の腕力)+怪物の腕力/2

とした場合、b≦aならば回避成功

上昇量

 レベル20以下:機敏さ初期値+RND(幸運初期値/2)-幸運初期値/4
 レベル21以上:RND(幸運初期値/4)

器用さ(Dexterity)

 手先の器用さ。本作では宝箱に「罠」が仕掛けられるようになった。解除できなければ当然なにがしかのペナルティがある。というわけで罠を外すのに必要な力である。高いほど手で開けたときの成功率が上がる。
 罠を外すための魔法は早めに覚えられるので、ほとんど気にする必要はない。ただし魔法に頼れない盗賊だけはこの数値が頼みとなるので、しっかり上げておきたい。上昇量は以下のとおり。

上昇量

 レベル20以下:器用さ初期値+RND(幸運初期値/2)-幸運初期値/4
 レベル21以上:RND(幸運初期値/4)

教養(Intelligence)

 賢さ。魔法の効き目に関わる。自分に作用する呪文の効果や持続時間はこの値によって変わってくる。計算式では「防衛」等が挙げられているが、「治癒」の回復量も相当に影響を受けているような気はする。他にも説明書によれば、宝箱の罠外しの成功率にも関わっているらしい。
 上昇量は体力に同じ。だいたいの属性値は同じ計算式で上昇量が求められる。

 「防衛」「攻撃」の持続時間=教養/8+30
 「無敵」の持続時間=教養/16+10

単位はゲーム内における分

上昇量

 レベル20以下:教養初期値+RND(幸運初期値/2)-幸運初期値/4
 レベル21以上:RND(幸運初期値/4)

幸運(Luck)

 キャラの「ツキ」。取説では「生まれながらにツイている人ほど強く表れる」と説明されている。具体的にはこれまでの説明で見てきたとおり、各属性値の伸び代、上昇率をつかさどっている。レベルアップにともない上昇するものの、魅力同様意味があるのは初期値だけ。キャラの成長に関わる能力とも言えるので、キャラメイク時、初期値はなるべく高くなるよう気を配ろう。


魔法

魔道師の館

習得に必要な経験値=(現在覚えている呪文の数+1)^2x50

僧侶・修道士はこれにx0.5

呪文一覧表

名称消費MP習得EXP効果
幻覚(Revolve)550画面内の怪物の進行方向を変える。街の住人にも効く。
街中で道をふさがれた時に意外と有効。
解毒(Detoxication)5200毒状態を回復する。
解毒剤と同じ効果。
治癒/治ゆ(Cure)15450体力回復。回復量はレベルによって変わる。
最低限覚えておきたい呪文。
深度(Depth)5800現在地を確認する。いわゆるDUMAPIC。
わかるのは階層だけで地名はわからない。
調査(Inspection)101250宝箱の罠を外す。
器用さの低いキャラなら習得はマスト。
移動(Transfer)301800最後に訪れた街に移動する。いわゆるルーラ。
なぜか天空の街には行けない。
恐怖(Terror)72450画面内の怪物の防御値を下げる。
前作におけるCLOUDに匹敵。
幻惑(Cloud)73200画面内の怪物の攻撃値を下げる。
前作とは効果が変わった。
睡眠(Sleep)104050画面内の怪物の動きを止める。画面外に出るまで有効。
探索にうまく使おう。
防衛(Protect)105000自分の防御値を一定時間上げる。
重ねがけすると有効時間が延びる。
攻撃(Enhance)206050自分の攻撃値を一定時間上げる。
これも重ねがけが可能。
無敵(Max-power)307200自分を一定時間無敵にする。重ねがけ可。
使えると探索が非常にラクになる。

 「II」で追加された魔法は「3」でも健在である。ただしプロローグに現れるとおり、永年の平和で必要なくなったとのことで、攻撃呪文は廃止されてしまった(余談だがそれでは物足りないと判断されたのか、ファミコン版には攻撃呪文が追加されている)。使えるのは前作でいうところの防御呪文やキャンプモードの呪文で、全12種類が揃っている。どの呪文も「魔道師の館」で経験値と引き替えに教えてもらえる。高等呪文ほど習得に必要な経験値も高くなる。魔法が得意な僧侶・修道士は、他の職業の半分の経験値で習得可能だ。
 唱えられるのは覚えている呪文だけである。消費魔力がMAX MPを上回っている場合、覚えていても使えないので気をつけよう。

 呪文は数あるが、その内容はピンキリである。使えるものとあまり使えないもの、よく使うものと使わないものの差が激しい。畢竟ひとつも覚えずとも十分クリア可能だが、覚えていれば便利なことも確かなのである。
 使用頻度が高いのは「解毒」「治癒」の回復呪文である。効果はもちろん、覚えていれば余計に回復剤を持たずに済む=重量を節約できるメリットが大きい。また、回復量はわずかでも、いざというときに一回でも唱えられると安心感が違う。魔法が不得意な強盗でも、「治癒」までは覚えておく/使えるようにしておくことをオススメしたい。
 あとは「移動」の呪文まで使えれば、実用上困る事はない。戦士ならここまで覚えておけば十分だろう。これより上位の呪文は職業やプレイスタイルに応じて、覚えるかどうかを決めてもよいだろう。「睡眠」「無敵」が唱えられると、ダンジョン巡りで楽できる。

 一部呪文は重ねがけが可能である。一定時間効果が持続する系統の呪文は、一度唱えた後にさらに唱えると、有効時間が倍に延長される。「無敵」の呪文で確かめたところ、有効なのは5回まで。それ以上は唱えても無効なようだ。

「ハイドライド3」とは操作法職業案内文頭に戻るシステム
メインフィールド森の街ハーベルの塔天空の街
水のお城地下の街慰霊の洞窟失われた宮殿
前に戻る目次に戻るトップページに戻る次を読む