不思議が当然フェアリーランド〜「ハイドライド3」for MSXシリーズ攻略情報・後編

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「ハイドライド3」の特徴〜ゲームマニュアルから

 この度は弊社製品、「ハイドライド3―The Space Memories―」をお買い求めいただき誠にありがとうございます。この「ハイドライド3」は、Active-Role-Playing-Gameの先駆者的存在である「ハイドライド」シリーズの第三作目に位置し、かつ完結編にあたるものです。よりアクティブに、そしてより本格的にと、本来相反する二つの要素をお互いに高め、ハイドライドシリーズはもとより、ARPGの最高峰となるべく開発された超大作です。前作、前々作からのユーザーの皆様の声を反映させたT&Eソフトの自信作です。

〜「はじめに」から

 ハイドライドシリーズが完結して思う事、それは一つの時代の終わりである。しかし、ハイドライドが完結したからといって、ARPGの終わりかと言えばそうでもない。むしろ、新しい飛躍のためのスタート地点に再び立ったと思っていただきたい。

〜「開発後記」内藤時浩氏の手記から


またひとつ、永遠の名作が誕生した。〜「ハイドライド3」とは・後編

(以下の記事はゲーム解法の核心に関する情報を扱っています。自力で解きたい方はクリアするまで閲覧しないことを勧めます。)

 ハイドライドシリーズは、元祖にして先鋭的な挑戦を続けたARPGのパイオニアとして認識されていますが、一方でシリーズは、難しいことでも知られていました。理不尽な謎解きはシリーズの特徴のひとつとなっていた感があります。当時のパソコン雑誌のゲーム攻略コーナーには「I」や「II」の解き方がわからないという問い合わせが毎号のように載っていましたし、そもそもメーカー自体がヒント集や「終了認定証」を発行していたことが、容易に解けるゲームではなかったことを表しています。「3」も基本的にはその延長線上にあり、親切丁寧にエンディングまで導いてくれるゲームではありません。
 しかしそれでも難易度が以前に比して抑えられてあり、かなり解きやすくなったことも、「3」のこれまでにない大きな変化でありました。作中で十分なヒントが提示されるようになったおかげで、前作までのような理不尽な謎解きは相当に数を減らしています。
 操作性とゲームバランスも良好です。デバッグの際、アクションゲームが不得意なスタッフが難なくテストプレイをこなしているのを見て、ゲームバランスの方向性が間違っていなかったと内藤さんが確信したという逸話が、同氏の開発手記にも現れます。
 「3」はこれまでのシリーズの流れをくむ一方、解きやすさや遊びやすさへの配慮もそこかしこに見られます。主に難易度至上主義の極北でもあった前作「II」への反省があったと思われますが、この変化は当時のパソコンゲームの傾向とも無関係ではないでしょう。

誰もが最後まで行ける「ジーザス」 「優しさ」の「イースI」
理不尽さのない展開で好評を博した「ジーザス」。「優しさ」を打ち出して大成功した「イース」。
1987年に相次いで登場した「誰もが解けるゲーム」は、パソコンゲームシーンを大きく変えた。

 80年代中頃まで、コンピューターゲームは難しいことがあたりまえでした。そうしたゲームの多くは(意図したかせざるかはともかく)不親切さや理不尽さをはらむもので、誰もが解けるというものではありませんでした。ゲームは制作者との知恵比べといった性格さえ帯びるもので、楽しむというよりも「征服」するものでした。より遊びごたえがあって長く遊べることを目指し、ゲームはより複雑で難しく解きづらいものになり、一時期はそうした作品がよしとされ、ゲームの主流としてもてはやされたものでした。
 しかしそうした風潮に対し、やがて疑問の声が出てきます。理不尽すぎてなかなか先へ進めない、難しすぎて楽しめない。そもそも難しさと面白さは違うものではないのか、と。そこに現れたのが「イース」(日本ファルコム)と「ジーザス」(エニックス)でした。
 両作は誰もが解けること、解く過程を楽しめることを旨として、それまでのゲームが備えていた不親切さや理不尽さを徹底的に廃し、一大センセーションを巻き起こします。これら「親切な」ゲームは、それまでの主流だった高難易度ゲームにかわり、これからのコンピューターゲームのありようを示すものとして、またたく間にシーンを席巻してしまいました。
 コンピューターゲームは従来型の難解な「挑戦状」から、誰もが楽しめる娯楽作品へと大きく変わったわけですが、この両作が発売されたのが、1987年のことでした。

1987年発のゲームあれこれ
荒井が所蔵している1987年発ゲームを集めてみた。新旧様々な作品が交錯したこの年はまさに名作ゲームの当たり年!

 1987年には「イース」「ジーザス」を筆頭に「ソーサリアン」「メタルギア」等の斬新なゲームが登場した一方、「ドラゴンスレイヤーIV」「サイキックウォー」「魔城伝説II」といった大規模かつ難解なゲームも数々現れています。これまでにない新しい潮流のゲームのほか、従来型の完成形ともいえるゲームも相次ぐといった具合に、この年には新しいコンピューターゲームと旧いコンピューターゲームが交錯するように現れ、そこから数々の名作が生まれています。
 1987年とは国産パソコンゲームが絶頂を迎えた年でした。それはパソコンでのゲーム製作技術が成熟して完成の高みに達したということであり、いわば「マイコン」の時代から連綿と続いてきたホビーパソコンの文化が「総決算」を迎えたということでもありました。この年に新旧両タイプの名作が数多く現れたのは、そういうことなのでしょう。

 「3」はそんな1987年が終わる頃に現れた「ARPG」です。同じ「ARPG」でもシリーズが謳っていたのは飽くまで「アクティブRPG」であり、「アクションRPG」ではありません。80年代マイコン文化の申し子でもあったハイドライドの完結とは、「アクティブRPG」から「アクションRPG」への変化であり、成熟を迎えたコンピューターゲーム文化が一時代を終え、次の段階に向かったことを表していたのかもしれません。

 「3」が「異次元の思い出」というサブタイトルを掲げ、フェアリーランドの終焉と再生を描いているのは実に象徴的です。「3」が歴史的作品たりえているのは、出来のよさや人気シリーズ最終作であることはもちろん、コンピューターゲームの転換点となった1987年という年―ゲームのひとつの時代が終わり、新たな時代が始まった年―をよく映し出しているからのようにおもわれます。
 ゲームが難しかった時代。パソコンがマイコンと呼ばれていた時代。そんな時代の終わりを飾るにふさわしい大輪の打ち上げ花火。それが「ハイドライド3」なのです。

献辞

 この記事を内藤時浩さんをはじめとする元T&Eソフトの「ハイドライド」シリーズ製作者の皆様に捧げます。

「ハイドライド3」とは操作法職業案内属性値システム
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