意図的に盛り込まれたもの、バグ等々、やはり「II」同様、MSX・MSX2版「3」にはさまざまな裏技が存在する。ここではそんな技をいくつかご紹介しよう。また、ゲームをプレイする上でちょっと役立つかもしれないテクもあわせて採りあげたい。
バルバルを一方的に攻撃中。壁抜けアタックはファンおなじみの戦法で、ハーベルの塔では必須のテクニックだ。
「3」では全ての武器にリーチが設定されている。直接攻撃のリーチが壁の厚さよりも長い場合、壁に向かって攻撃すると武器が壁を突き抜ける。この特性を利用して、壁越しに向こう側にいる怪物に攻撃する事が可能である。ハーベルの塔でバルバルやエルガルを相手にする際、非常に有効なテクニックだ。
壁を突き抜けるのは直接攻撃だけである。飛び道具は突き抜けないため、直接攻撃武器でなければこの技は使えない。また、同様にリーチの長い怪物の攻撃も、壁越しにこちらにヒットするので、その点は気をつけよう。横向きの壁はリーチ1以上あれば突き抜けるが、縦向きの壁は2以上のリーチが必要である。
「光の剣」発見! 強いのに無料でやすやすと拾えてしまう。よく見るとグラフィックが他の剣とちょっと違う。
実は「炎の剣」を凌ぐ剣が存在する。その名は「光の剣」。「II」にも登場した最強の剣である。ありかは前作同様塔の中。どこかの階でエレベーターの中を調べれば見つけられる。どの階かのヒントはすでに示しているので、興味のある方は探していただきたい。
重量は3000gと軽いのに、全刀剣中最高の攻撃値100を誇るまさに理想の武器。手にするやゲームがかなりラクになる。終盤まで使えるのに早々に手に入れられることもあり、攻略サイト等では使用を推奨しているところも多いのだが...荒井的に「光の剣」はバランスブレイカー。「3」の大きな魅力である「様々な武器を選んで使う楽しさ」をスポイルするものであることも確かなので、あえて手を出さないのもありかなとおもう。
ファン垂涎の「T&Eパック」。ちなみに消耗品らしく一度使うと消える。
光の剣の他にもうひとつ、「T&Eパック」なる隠しアイテムが存在する。その内訳はT&Eグッズの詰め合わせ。これも塔のどこかの階に落ちている。どの階かのヒントはやはりもう示したので探してみよう。
使うと「T&Eグッズが当たった!」と表示されるのは、当初予定されていた企画に由来する。クリア時に表示されるパスワードにはT&Eパック使用フラグが含まれていて、T&Eパックを使ったプレイヤー先着5名様に、作者内藤さんから何か景品を送ろうという計画があった。しかしMSX・MSX2版の発売が一月ほど遅れてしまったことと、雑誌でT&Eパックのありかが公開されてしまったため、残念ながらこの企画はボツになってしまった。もし企画が実施されていたら、どのようなものがもらえたのかちょっと気になる。
フェアリーランド油田で給油中。そういや「II」にもオイルが湧きだしてるところがあったっけ。
洞窟を照らすのにはランプの他に、燃料となるオイルが必要である。しかしこの燃料、特にスーパーオイルの調達がなかなかに面倒くさい。さらにどちらもわりといい値段がするので懐が...というみなさんに朗報である。
ハーベルの塔の南に、オイルが無限に湧き出す場所がある。画像の場所を調べるだけで、なんとオイルが無料で手に入れられる。しかも夜間に同じ場所を調べると、スーパーオイルが
湧き出しているのだ! この技を知っていれば、もうオイルで悩む必要はない。
このオイルを売ってお金を儲けよう、これでオイラも石油王!...と考えた方もいるかもしれないが、道具屋ではオイル類を買い取ってくれない。残念ながらフェアリーランドで石油王にはなれないのであしからず。
もうひとつ、オイルに関するおトクな技。一度ランプを点灯したら使ったら、オイルが切れないうちに宿に泊まってセーブしてしまおう。その後いったんゲームを終了し、そのセーブしたデータで再開すると、いつまで経ってもオイルが切れなくなる。なるほど、「I」の「永遠のランプ」はこうやって製造されていたのか(違)
ちなみに途中でランプを消したり、手放してもう一度買い戻すと効果が切れる。
クリア後のご褒美音楽モード。閉鎖された銀行が会場です。
これはよく知られた技。ゲームクリアした直後のキャラで、森の街の閉鎖された銀行に行くと、クラブにでも改装されたのか、作中で使われているBGMが聴けるようになる。
「ハイドライド3」のBGMは当時T&Eソフトスタッフだった富田茂さんの手になるもので、楽曲のセンス・音源の使いこなし・場面とのマッチ具合等々、名曲揃いとレトロゲームファンの間でとても評判が高い。88版では当時発売されたばかりのサウンドボードII対応のFM音源サウンドが楽しめる。PSG用にアレンジされたMSX・MSX2版のBGMもPSGチューン屈指の出来で、中にはFM音源版よりいいと言う方さえいる。もともと「ハイドライド3」の楽曲は移植性を考慮してPSGありきで製作されたそうで、PSGオンリーでも聴き応えがあるのはそういうことなのだろう。かくいう荒井が初めて買ったゲーム音楽サントラは、「イース」と「ハイドライド3」の音楽テープでした(誰も訊いてない)。
さておきこの音楽モードでは残念ながら、メインテーマとエンディング曲が聴けない。この3曲が聴きたければ、タイトルを見るかクリアするしかない。それとクリアしたキャラでも宿屋に宿泊してしまうと、再びクリアするまで銀行は閉鎖されてしまう。
メニューから「ゲーム終了」を選んだ後画面に「GAME OVER」と表示されている間に、カーソル下+リターン+スペースを同時に押すと、最後にセーブしたところから即再開できる。この技を使うとタイトル画面に戻らずとも再開可能なので、レベルアップをやり直したい時などけっこう役立つ。
同じくカーソル上+リターン+スペースを同時に押すと、終了したところに戻れる。間違って操作した時などに使えるので覚えとこう。
セールアイテムではトップクラスに高額なのに、一度使ったらそれっきりの「キャンプの道具」。しかしこのアイテムを再利用する方法がある。その方法はいたってかんたん。使用後いったんゲームを終了し、ロードして再開するだけ。そうすると「キャンプの道具」がアイテムに残っているので、また使うことができるのである。
ところで、実際にアウトドア用品店でソロ用の山岳テントと寝袋を揃えようとした場合、10万円もあれば相当にいいものが買える上、場合によってはおつりまで来る。20万円もするキャンプセットなんて、*のマークでも付いているんだろうか?(おい)
品揃えがリニューアルされたポチ。妖精のかぶとが買い戻せたら完璧だったのに!
ちょっと面白い技。「妖精のかぶと」が手に入ったら売り払ってしまおう。すると天空の街のなんでも屋「ポチ」の品揃えががらりと変わる。
取扱品目は「妖精の盾」がある以外は幻想の街の「ニャジラ」と同じ。わりと便利そうだが、この技を使ってしまうと「戦士の石」が買えなくなるほか、「神の十字架」と「妖精のかぶと」が二度と手に入らなくなる。ゆえにあんまり実用性はないが、一度確かめたくなる技だ。
なんでも屋に売ったはずの妖精のヨロイが店頭に。どんなルートで流れてきたのやら(笑)
これもちょっと面白い技。今度はかぶとではなく「妖精のヨロイ」を売ってしまおう。その後「ばくれつ屋」に行くと、なぜか「妖精のヨロイ」が売りに出されているので、買い戻すことができる。同じように「妖精の盾」を売ると、今度は「ニャジラ」が「妖精の盾」の取り扱いを始める。これも実用性はないが試してみたくなる技だ。
内藤さん曰く「どんなことをやってもゲームがクリアできるようにはした」とのことなので、妖精シリーズを売ってしまった場合の救済措置としてこんな技を盛り込んだものとおもわれる。
買い戻して一度店を出ると取り扱いを止めてしまう。それと売りに出ている間「妖精のヨロイ」「妖精の盾」の販売数は制限なし。この技を使うとなんと最強の妖精シリーズの防具を複数所持できてしまう。まぁ、複数持ってても使いどころはないんだけど。
門番が消えた光景と閉じ込められた光景。技自体はわりと実用的ではある。
水のお城の宝物庫に入るには、王様にドラゴンの牙を献上しなければならない。さもなければ入り口を守る門番がどいてくれないからだ。しかしこのドラゴンの牙なしに門番をどかしてしまう方法がある。20時に夜になると同時に同時に門番に話しかけると、なぜかそこから門番が消えてしまう。あとは中に入って宝物を取り放題、というわけだ。この方法を使えば、当然、マッドドラゴンを倒さずともクリアできてしまう。
ただし一度画面外に出て再び入り口に戻ってくると門番が復活し、宝物庫に閉じ込められてしまう。脱出するには「移動」の呪文を使うか、翌20時になった瞬間に、再び門番に話しかけなければならない。試すなら準備は怠りなく。
「恐怖」の呪文を数回唱えてからジェリーに斬りかかる。炎の剣でさえも、なかなかダメージが与えられない!
「恐怖」の呪文は、怪物の防御力を下げられる。しかし欲張って何度も唱えると、一周回って硬くなりすぎてしまうことがある。おそらく8bitパソコンのキャリー処理(桁上がり・桁下がり)の仕様に由来するバグと思われる。もっとも、「恐怖」は使用頻度が低いので、あまり見かけることのない症状なんだけど(おい)
「時のとびら」のトリモチ地帯。「移動」で再び動けるようになるというのはなかなか粋な効果だ。
「時のとびら」では「移動」の呪文を使っても街には戻れない。唱えるだけ無駄そうだが、意外な効用があった! トリモチの罠に引っかかって動けなくなった際、「移動」を唱えると即座に罠の効果が切れ、再び動けるようになるのである。
「移動」は消費ポイントが30と大きいので多用はできないが、覚えておいて損はないテクニックだ。ただし「移動」が効くダンジョンでトリモチに引っかかった際、同じ事をやると帰還してしまうので気をつけよう。
MSXシリーズのセーブデータは共通なので、MSX1版で鍛えたキャラをMSX2版で使ったり、その逆もまた可能である。MSXで育てたキャラをMSX2に移行したり、MSX2版をクリアしたキャラでMSX版のエンディングを見るのもお手のものだ。
しかしリセットボタン付きのMSXなら、リセットボタンを押しながらMSX1・MSX2版のROMを差し替えるだけでキャラクターを移動できる。原作者の内藤さんによれば、キャラクターのデータ形式は各機種共通なので、移し替える方法さえあれば、MSX版のキャラを88版で使うことも可能らしい(!)。
「またのお越しをお待ちしてます。」金に飽かせばぼったくりバーもチョロいもの。シャンパンもってこい、ウェーイ!!
入るや問答無用で2万$をふんだくられる恐怖のぼったくりバー・Number13。お金がなければ有り金全てを巻き上げられた上にボコボコにされてしまうが、十分なお金を持っている場合、引き替えに経験値が200上がる。イベントで経験値が上がるのは「イース」だけじゃない...まぁ、全然引き合わないけどさ(おい)。
そういや「スーパーレイドック」にも、「ふ」マークを撃つとボスの攻撃が止むというのがあったっけ。ラトナが教えてくれるやつ。
TABを押すとローマ数字の「III」、SELECTを押すと「ふ(●の中に『ふ』の字)」が入力できる。あんまり使いどころはないが文字のチョイスがいかにもT&Eらしい。この隠し文字はMSX2版でもMSX版でも同様に入力可能である。
「III」は3作目だからなのだろうが、「ふ」というのは武器商店風太郎とともに、T&Eの山本風太郎さんにちなんだものと思われる。山本さんはMSX版「スーパーレイドック」のプログラムを手がけた人物で、T&Eソフト名物スタッフの一人だった。
何気なしに調べたら画面が大変なことに。キーも受け付けないのでこうなったらもうやり直すしかない。ハマチぃ!
MSX2版では、失われた宮殿コンピュータールームの歩くと音がする場所の一番左を調べると、暴走して続行不可になる。復帰するにはリセットしてロードしなおすしかない。MSX版も同じように暴走するので、MSXシリーズ特有の症状とおもわれる。当然セーブしたところからやり直しとなるので、探索の際は気をつけよう。
なお、宮殿ではコンピュータールームまで行かずとも、同じ画面内の北側にも、足もとを調べるだけで同様にアクセスできてしまうところがいくつもあったりする。内藤さん、バグですよ!(おい)
エンディングのスタッフロールに「銀の剣」と「ニベあんクリーム」というアイテムがクレジットされているが、実はどちらも手に入らない。本来水のお城の宝物庫に収蔵される予定だったのだが、デバグの際、入れ忘れてしまったのを内藤さんが見逃してしまい幻のアイテムとなってしまった、と製作秘話で語られている。エステリアの黒マントの男大喜び(おい)。
ちなみにその後修正され、ROMのロットによっては「銀の剣」が手に入る。しかしその修正版自体あまり数量が出ていないらしく、銀の剣を求めていくつもROMカートリッジを買う羽目になったハイドライダーもいたとか。なお、「銀の剣」のありかは「光の剣」と同じらしい。
内藤さんはその後「ハイドライド3」は「作品」というより初めて「製品」であることを意識して製作したゲームであると述べている。それゆえ従来と異なり製作が大規模化したため、先述したバグも然り、このような見落としが起きたのかもしれない。
10$硬貨を無限に引き出せるVIPカード。善人でないと使えないのは信用情報を参照しているということなのか。
両替機を売却すると、引き替えにVIPカードなるアイテムが手に入る。効果は使うと手持ちの10$硬貨が255枚になるというもの。終盤になって大金が不要になると、これぐらいの現金が手元にあれば足りるので、両替機のかわりにこのカードで間に合わせるという手もある。ちなみに精神力が80以上でないと使えない。
なお、それぞれの硬貨の持てる枚数は各255枚である。ゆえに所持金の最高額は$283,050ということになる。
小銭をまとめて軽くしてくれる両替機。重量制限を象徴するアイテムとして、「3」のシンボルと見なされることもある。冒険に欠かせない品であるが、実は欠陥がある。一つ上の額面の硬貨が最大の状態で両替機を使うと、どんなにその下の額面の硬貨を持っていても切り捨てられ、端数を残して消えてしまうのだ。
たとえば100$硬貨を48枚持った状態で両替機を使うと、1000$硬貨4枚と100$硬貨8枚に両替される。ところが1000$硬貨を255枚持っている時に同じ操作をするとこれ以上1000$硬貨に加算できないため、両替されなかった100$硬貨8枚を残して、両替で生成された1000$硬貨4枚が消えてしまうのだ。
もっとも、この症状が現れる頃にはもはや大金が不要になっているのであまり困る現象ではないが、1$でも惜しい守銭奴なら要注意だ。
さっきのバグといい見落としといいこうした詰めの甘いところが、T&E作品にはわりと多かったような気はする(汗)。
裏技とか隠し要素ではないが、店で買い物をしたり宿に泊まったりすると、手持ちの硬貨が両替される。両替機を所持する余裕がない最序盤とか、大金が不要になって両替機を手放した終盤あたりによくお世話になるテクニック。
ついでにこれにもちょっと気をつけるべき事がある。やはり1000$硬貨を255枚持っている状態で、売値1000$を越えるアイテムを売却すると、その金額が下の額面の硬貨で支払われる。つまり売値が2500$の場合、100$硬貨25枚で支払われることになる。通常、店でアイテムを売却すると荷物は軽くなるものだが、逆に重くなって店から出るなりお金の重さで一歩も動けなくなったりするので、知らないとびっくりしてしまう。
「ソーマ」の発明者アクショー・ビア(上の人物)。ヒゲのおかげで年輩に見えるがこれでもまだ20代らしい。
これまでのシリーズにおける復活アイテムといえば「リバイブ」だったが、本作では「ソーマの杯」に変わった。同じT&Eソフト製のSLG「ディーヴァ」由来のアイテムだ。天才科学者アクショー・ビアが開発中の生命蘇生薬で、物語のキーとなる品の一つである。彼が主役を務めるMSX2版のストーリーには、惑星ファンスルにて原住民スーラ族に殺害された元帝国艦隊艦長アモーガ・シッディの遺体を蘇生させるため、アクショーがソーマの叩き台となった細胞蘇生薬を使う下りが現れる。
リバイブと違いゲームの早いうちから店でいくらでも購入可能で、ぐっと手近な存在になったが、実は一つ落とし穴が存在する。ソーマの杯を使って復活すると、ゲーム内で10日が経ってしまうのだ。クリアに要した日数はパスワードに記録されており「終了認定証」を請求する際不利になった。このことはパッケージに同梱された攻略メモにも記されており、使用を推奨しない旨の記述さえある。
認定証サービスが終了してしまった現在、プレイする分には何の影響もないが、ゲーム内のプレイ日数にこだわるなら覚えておこう。
ところで復活に10日もかかるのは、きっとアクショーが来るのを待ったからに違いない(違)。
魔法のヨロイで禁断の洞窟を探索中。単体の性能は宇宙服より低いが、他の防具も装備できる分総合的な防御値は高くなる。
これは技というより戦略の提案。慰霊の洞窟で見つけられる魔法のヨロイは、軽くて丈夫という理想の装備だ。ドラゴン退治のついでに拾うことが多いだろうが、手に入れた直後、重要ながら重量のある装備・宇宙服を装備するために手放してしまうことが多い。宇宙服もそれなりに防御性能は高いのだが、鎧や兜が装備できなくなる分、総合的な防御値が落ちるのが大きな弱点だ。
そこで宇宙服が不要になった後でも魔法のヨロイが使えるようにしてみよう。たとえばドラゴン退治の時にヨロイを拾わず次元のお守りを探す時に回収するとか、強盗だったら腕力にものを言わせてヨロイを捨てずに取っておくとかだ。魔法のヨロイを異次元世界や禁断の洞窟に持ち込めると、相当余裕をもって探索できる。宮殿で経験値稼ぎをする時も、防御値のありがたみがわかるだろう。
同じく慰霊の洞窟に落ちている完全体力回復剤も、装備に余裕のできる頃に回収するようにすると、余計な荷物にならずに済む。
取り込み中でもドル〜ンとおなじみの効果音と共に体力回復。腹が減っては戦ができぬ。
食料は毎度の食事に欠かせない。通常は時間が来ると自動で消費するとともに体力が30ほど回復するが、アイテムメニューから使用することもできる。重量のコスパは良くないが、いざというときには「+1.5」体力回復剤として使うこともできる。また、アイテムメニューが開けないボス戦中でも、食事の時間を迎えると体力が少し回復することも覚えておいて損はない。
飛び出しは事故のもと。いったん立ち止まり、左右を確認してから踏み出しましょう byフェアリーランド交通安全協会(嘘)
街から出るなり目の前に食人樹が立っていて、いきなり攻撃を受けてそのまま昇天...というのは「ハイドライド3」プレイヤーなら誰でも経験のあることだろう。この最序盤の脅威・食人樹攻撃から逃れられる技がある。
街から出たり画面が切り替わる間にESCキーを押そう。すると切り替わった直後でゲームが一時停止する。当然配置された怪物も動かないので、周囲の様子は見放題である。食人樹らしき怪物が危険範囲内にいるなら、街の入り口や画面外の方向ボタンを押しながらポーズを解除すれば、即刻街中や画面外に避難できる。もはや技とも言えない技だが、食人樹以外の怪物にも応用できるので、危険な場所を探索するには意外と有効な方法である。
また、2画面分切り替えれば怪物や住人の配置が一新される「2画面テク」は「3」でも有効である。この技と併せて使えば、より安全かつ効率よく探索できるだろう。
「わ〜ん、くらいよ〜せまいよ〜怖いよ〜!!」…場所を選ぶのは野宿の常識。野宿のエチケットは守りましょうね!
ハーベルの塔のエレベーター内でキャンプの道具を使った後、一度ゲームを終了させて再開すると、エレベーターに閉じ込められて出られなくなる。脱出には「移動」の呪文を使うしかないが、覚えていないとその時点で「ハマチ」決定だから気をつけよう。まぁ、普通にプレイする限り、ハーベルの塔でキャンプするなんてことまずないけど!
これは技と言うよりストーリー上の指摘。「3」ではガイザックがフェアリーランドを開闢し、バラリスもエビルクリスタルもその創造物であると語られるが、その一方で「II」のストーリーでは、エビルクリスタルの覚醒に対し「神」が時空をねじ曲げて救世主を召喚したと語られる。
ここにガイザックが生み出したフェアリーランドに、果たしてガイザック以上の存在である「神」が存在するのかという疑問が出てくるわけだが、まぁ、当時のゲームのストーリーとは制作者がその場のノリで作ってしまったものが多いので、厳しく突っ込むのは野暮というものだろう。「私がこのガイザックを創ったのだ!(笑) 」 by 内藤さん
これも技というより理論的な手順の説明。宇宙船の座標は「誤差±3」の数値で提示される。これを逆手にとって、宇宙船が漂着しているそのものズバリの座標を導き出す方法がある。
まずはコンピューターを何度も調べ、提示されるX座標全ての数値を洗いだそう。誤差が±3なので、七個の数値が出てくるはずだ。その平均値、すなわち真ん中の数値が誤差のない数値なので、これがX座標ということになる。同様にY座標を求めれば、これで宇宙船の座標が特定できる、というわけである。
ただし宇宙船が宇宙空間の端3画面以内に存在する場合、七個の数値が揃わない。この場合は最小値から判断するしかない。
「ルーンワース」。ゲームとして大いに難ありだが、これまでにないARPGを作ろうとした意欲はそこかしこにうかがえる。
ハイドライドシリーズは「3」で完結している。その後ナンバーを戴く続編は出ていないが、その系譜につながる作品はいくつか存在する。
直系の子孫と呼べるのは「ルーンワース 黒衣の貴公子」だろう。「3」発売2年後の89年12月にリリースされた。ハイドライドシリーズと物語上のつながりは全くない。当時の主流だったストーリー主導型・世界観重視のARPGで、さらなるリアルさや表現手法を追求して様々な新システムが採用されている。ゲームとしては問題点が目立ち、成功したとは言いがたいが、ARPGの先駆者らが新時代のARPGを追求した姿勢は、ハイドライドシリーズに通じるものがある。徳間書店のMSX専門誌「MSXファン」では、編集部の勇み足ではあるが、発売予定カレンダーに一時「ハイドライドX」の名で掲載されていた。
「ヴァーチャルハイドライド」。イロモノ扱いされることが多いが、現在のオープンワールドゲームに通じる内容を備える。
名を継いだ作品で最も有名なのは、95年4月、セガサターン用に発売された「ヴァーチャルハイドライド」だろう。「ヴァーチャル」の文字どおりポリゴンによる立体表現を採用し、TPS風のARPGとして生まれ変わった。内容は「I」をベースとしているが、プレイするたびマップが自動生成されるなど(組み合わせは約40億!)何度も遊べる工夫がされている。
製作には内藤さんが携わっている。サターン初のRPGでもあり、相当な自信を持って送り出したようだが、作りの粗さが目立つせいか万人受けするには至らなかった。しかし「次世代機」というプラットフォームにおいて、新しいARPGを模索して作られた作品であることは、少し触っただけでも十分に伝わってくる。
復刻やリメイク版としては、1998年にWindows用「ハイドライド」、翌年には同じくWindows用に「ハイドライド3ゴールドパック」がそれぞれT&Eソフトより発売されている。しかしその後T&Eソフトは社名変更や吸収合併・分裂等を繰り返した末に雲散霧消するような形で姿を消してしまい、その過程で旧作品の版権の所在が不明になってしまった。そのためハイドライドシリーズを含む同社作品のタイトルを使った新作・続編製作はもちろん、復刻・リメイクさえ絶望的という状況が永らく続いている。非常に残念ではあるが、商標的な面において、ハイドライドシリーズはその命脈を絶たれてしまったと見てよいだろう。日本ファルコム製のライバル・ドラゴンスレイヤーシリーズから派生した軌跡シリーズや、イースシリーズが今でもリメイクや新作を重ねているのとは対照的である。
「今遊べばクソゲーだ」と内藤さんは悪びれるが、それでもハイドライドシリーズがARPGというジャンルを確立し、その行く先を示したことに違いはない。ハイドライドシリーズがゲームの原体験にあり、シリーズをリスペクトするクリエイターは数多い。シリーズが和製コンピューターゲームの歴史に与えた影響は計り知れないものがあり、今なお影響を及ぼしている。ゲーム制作者の島国大和さんは「『ハイドライド』は元祖オープンワールドだ」と評している。往時のマイコン少年なら、誰しもジムのドット絵を目コピーで打ったことがあるだろう。
2017年12月現在、生みの親である内藤さんは株式会社エムツーに所属しており、今でも現役のプログラマーとしてご活躍中である。ゲーム作りに対する探究心は今なお衰えを知らず、Twitter上でPC-8001用アクションゲームと、UnityによるARPGを制作中であることを明かしている。
Unityという現代のゲームエンジンを得て、「元祖ARPG」の作者がどのような新しいARPGを見せてくれるか。進化を続ける内藤さんに要注目である。