「はまち!!」〜「ハイドライドII」for MSX攻略情報

「ハイドライドII」MSX版タイトル画面 「ハイドライドII」墓場のおやくそく
「ハイドライドII」地下帝国の巨大湖 「ハイドライドII」MSX版ゲームオーバー画面

Shine of Darkness〜暗黒の煌き

 これは私たちが住んでいる世界とは、まったく次元の異なった世界でのお話です。伝説や神話とかが、単なるお話としてではなく現実になったような、そんな不思議な世界です。剣と魔法が全ての世界。その世界をそこに住む人々はフェアリーランドと呼びました。かつて怪物たちに支配されていた時代は終わりを告げ、人々は平和な時代に陶酔していました。
 同じ頃、地の底深くで異変が起こりつつありました。ひとつの「意識」が覚醒したのです。その「意識」は、邪悪に満ちていました。新たな怪物を創造し、死んだ物を蘇生させて、地下にひとつの世界と呼べるような物を作り上げてしまったのです。地下を征服した「意識」は、それだけでは満足せず、地上のフェアリーランドにまで、その力を拡大しようとしていました。
 この地下の異変に、修道僧たちは早くから気付き、フェアリーランドの人々に説いたのです。しかし、平和な世界に生きる人々には、全く聞きいれてはもらえませんでした。このままでは怪物が地上に現れる日も近いのです。誰か救世主はいないのか。そんな修道僧たちの願いに心打たれた神は、時空をねじまげ人間の世界とつなげたのです。神は人間の中から、まだ心の汚れていない一人の男の子を選んだのでした。

「これ以上何を望むのか―」〜「ハイドライドII」とは

「はまち!!」の由縁

 この度は、ティーアンドイーソフト製品『ハイドライドII』をお買い求めいただき、誠にありがとうございます。
 ご存知とは思いますが、この『ハイドライドII』は、1984年末に発売以来、記録的な大ヒットをした前作『ハイドライド』の続編にあたります。Active-Role-Playing-Gameという、まったく新しいゲームジャンルを確立してから約一年の後、我々ティーアンドイーソフト開発部では、このActive-Role-Playing-Gameの究極の姿をプログラミングするために、新たに開発部の内部にアミューズメントチームなるものを設置致しました。そして、そのアミューズメントチームによって完成したのが、この『ハイドライドII』なのです。
 より本格的なRole-Playing-Gameになりながらも、操作はいたって簡単。よりマニアの要望にもこたえられるものになったと自負しております。

「ハイドライドII」取扱説明書「はじめに」より抜粋

 1984年12月の発売以来、「ハイドライド」はそれまでにない新しいゲーム「ARPG」として好評を博し、大ヒットを記録しました。そして程なく「ハイドライド」を遊んだユーザーの間で続編を求める声が高まり、これに応える形で続編の制作が決まります。そして約8ヶ月にわたる制作期間を経て、「ハイドライド」発売からちょうど一年後の1985年12月、再びT&Eソフトから、一本のARPGが発売されることとなりました。それが「ハイドライドII」です。
 制作は「T&Eアミューズメントチーム」で、前作の作者・内藤時浩氏がリーダーを務めています。本作を作るにあたって制作者が目標としたのは、「前作での不満点を全て解消すること」でした。そのために前作を遊んだユーザーの意見をできるだけ採り入れ、様々な強化や改良が図られることとなりました。
 その結果、マップの広さは前作の約6倍、怪物やアイテム数も大幅に増え、格段にスケールが大きくなりました。グラフィックも強化され、前作以上に凝った演出を見せてくれます。さらに増強はそれだけに留まらず、魔法や買い物といった新要素、善悪の概念や魔力といった新属性値、会話による情報収集などなど、より本格的なRPGを志向する一方で、コマンド操作にウィンドウ式のインターフェイスを採用したり、鍛錬をミニゲームにするなど、斬新な試みも盛り込まれました。かくしてできあがった作品は当時としては破格の規模を誇るもので、まさに前作を凌駕する続編として、「ハイドライド」同様、人気を博することとなりました。

 今回紹介するMSX版は、オリジナルPC88版の約1年後、1986年11月に発売されたものです。当初MSX上で動かすには荷が勝っているとして、MSX版の制作はまず不可能と見なされていたのですが、1Mビット(=128Kバイト)の大容量ROMカートリッジこと「メガロム」の低価格化により、より大規模なプログラムをROMカートリッジで供給できるようになったことを受け、移植が実現しています。
 MSX版はキャラクターこそ単色で、ゲーム画面も少々小さいなど、88版に比べると見劣りする部分もありますが、画面数は他機種版と同等で、ゲーム内容に大きな違いはありません。さらにROMカートリッジならではの待ち時間の短さ、軽快かつ良好な操作性、制約が多い中でも美しく描かれたグラフィック、BGMの常時演奏等々を実現しています。特にデータセーブ用に史上初となるバッテリーバックアップS-RAMを採用したことは、ゲーム史上画期的な発明であり、その後多くのゲームがこれに続くこととなりました。このようにMSX版は、ハードの性能を存分に活かした出来で、オリジナルを凌駕する部分もあり、実質的な改良版とも言える内容に仕上がっています。
 当時のMSX界はメガロムソフトの勃興期でした。広いマップに様々なキャラクター、凝った演出やグラフィックス、高度なゲームシステム等々、これまで容量の壁に阻まれて実現できなかったゲームデザインが可能となったおかげで、数々の名作―コナミのMSX版「グラディウス」や「夢大陸アドベンチャー」、コンパイルの「魔王ゴルベリアス」、HAL研の「ガルフォース」等々―が出現することになりました。
 メガロムを採用することは、かつてないような面白い内容を保証するものとして、大きな売りとなるほどでした。そしてMSXはこれを機に黄金時代を迎えるのですが、その一方で、ソフトがハードの限界を超えているという理由でPC60シリーズ版の開発が断念されており、ハードの新旧交代を感じさせたものでした。MSX版「ハイドライドII」は、そうしたメガロム勃興期の名作、ひいてはMSX黄金期の始まりを告げる記念碑的作品の一つと言えるでしょう。

 このように、前作を解いたプレイヤーの反響に応える形で、様々な強化が図られた「ハイドライドII」ですが、それはまた別の問題をはらむものでもありました。本作はあらゆる点で前作を越えることを意識していますが、それは難易度についても同じで、ゲーム内容もより難解なものとなっていたのです。
 本作は単純に謎の数が増えたばかりでなく、さらに前作以上に難しい謎や陰険な罠が(やはり前作同様、時にノーヒントで!)仕込まれ、時に理不尽さを感じさせた前作以上に、理不尽さを感じさせるものとなっています。ユーザーの要望に応えて開発が決まったという経緯から伺えるとおり、本作は前作を解いたプレイヤーが遊ぶことを前提としています。それは前作にはない新しい仕掛けを盛り込むということはもちろん、前作を解いたプレイヤーに向けての新しい「挑戦状」という性格を少なからず備えることでもありました。「ハイドライドII」発売時、内藤氏はゲーム評論家山下章氏に挑戦状を送っています。また、本作をクリアすると表示されるパスワードは、「終了認定証」を請求するためのものです。本作がいかなる作品であるかは、これら逸話に端的に見て取れるのではないでしょうか。
 当時のゲームはちょっとした手違いで手詰まりになることは日常茶飯事で、それをいかに解くか、どうやって攻略するかが、プレイの醍醐味となっている節がありました。ゲームは「征服」するものであり、クリアできるということは、それだけで賞賛に値する行為だったのです。そのため当時のパソコンゲーム界では、より難しく、よりスケールが大きく、解くのに時間を要するゲームがもてはやされる傾向にありました。当時のT&Eソフトを語る際、「はまち!!」という言葉がたびたび使われますが、それはそうした風潮と無関係ではありません。「ハイドライドII」は、まさにそうした時代を代表する作品の一つに数えられています。

 こうした大艦巨砲主義的なゲームは、当時も賛否あったのですが、後年「イース」や「ジーザス」に代表される、誰もが解けることを旨とするゲームが主流になると、一転して反省の対象となりました。こうした時代の趨勢によって「ハイドライドII」はいつしかその評価を落とし、今や「クソゲー」と見なす向きも多々あります。後年内藤氏はプレイヤーを顧みない難易度の高さを反省し、本作を「不肖の息子みたいなもの」と評していました。前作「ハイドライド」や続編「ハイドライド3」が、家庭用ゲーム機に移植されたり復刻されていたりするのに対し、「II」は基本的にパソコン版のみの展開で、他二作に比べ、あまり顧みられることがありません。
 ちなみに本作は押せ押せの日程で作られたようで、マスターアップが発売日のわずか9日前という有様でした。そのため十分なデバッグや作り込みができなかったのが残念だとも、内藤氏は語っています。

 しかしそれでも本作は大ヒットしたわけですから、それだけの魅力や実力があるのは確かです。今のゲームに比べればあまりに不親切で、人を突き放したような部分、荒削りな部分はありますが、当時最先端の技術とゲームデザインを詰め込んだ作品であることに違いはありません。当時のプレイヤーを夢中にさせたということは、やはりそれにふさわしいだけの内容を備えていたということなのです。
 「ハイドライドII」は、80年代中盤、確かにパソコンゲーム界の頂点に立っていた作品の一つでした。作り手も遊び手もさらなる面白さを求め、混沌とした中で模索を続けていた時代、言うなればパソコンゲームがもっとも熱かった時代。そんな時代に生まれた究極のパソコンゲームの一つとして、やはり本作も、歴史に名を残して然るべき名作だと言えるでしょう。

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