隠れ××がいっぱいだ〜MSX版裏技集他

かくれ××が、いっぱいだ。

 意図的に盛り込まれたもの、バグ技等々、MSX版「ハイドライドII」には様々な裏技が存在します。ここではそんな技をいくつかご紹介。


ボクシングゲーム必勝法

ボクシングゲームでズルをする
苦行が一転して、一方的なフルボッコ展開に。

 森の街の寺院でのボクシングゲームにて、エスケープキーを押していると、動きが遅くなる。僧侶の後ろ足が地面に付いた瞬間に攻撃すれば、ほぼ確実にパンチが決められる。アクションが不得意でも、この技を使えば楽に3連勝できたりする。
 逆にリターンキーまたはカーソルキーを押していると、猛烈な速さになる。ヌル過ぎるという方、刺激が欲しい方はお試しあれ。


Yes or No?

 YキーとNキーには、それぞれスペースキーとリターンキーと全く同じ機能が振られてある。だからYキーでモードを切り替えたり、Nキーでマルチウィンドウを開くことも可能だったりする。


ゴールド無限増殖法

ゴールド無限増殖法 ゴールド無限増殖法・謎のバグキャラ
ブラッククリスタルで荒稼ぎ。こんなことやってるとリアルでFORTH下がるぞ。

 まずは適当に買い物をする。その後グールを倒すなりしてブラッククリスタルを手に入れる。拾ったら手持ちのアイテムを全てBONBONに売却する。全て売るとアイテムウィンドウに「NOTHING!」の表示が出るが、構わずカーソル右を押す。なぜか左上にカーソルが表示されるので、そこでスペースキーを押す。すると売却確認を求められ、なぜか持っていないはずのアイテムを売ることができてしまう(売却額は最後に売ったアイテムと同じ)。売却は無制限に可能なので、この技を使えばゴールドを無限に稼げてしまう。
 ちなみにここでカーソルキーの左を押すと、変なキャラクターが表示されたりするが、これは売却できない。


KEY増殖ではまち技

KEY増殖・こうなったらハマチです
KEYを探す必要はなくなるが、重要アイテムが入手できなくなるのでクリア不可に。ハマチぃ!

 ゴールド無限増殖法の要領でKEYを売却すると、なぜか手持ちのKEYが10個に増えてしまう。売っても捨てても減らない上、所持数制限にひっかかりアイテムが手に入れられなくなるので、ゲームは進められなくなる。


合言葉の抜け道

 地下帝国に入るための呪文を読んだかどうかは、実はフラグ管理されていない。だからプレイヤーがその呪文さえ知っていれば、まだ読んでいないキャラでも地下帝国に行けてしまう。


LIFE0でスーパーキャラ

LIFE0のキャラを作る 辻斬りで経験値稼ぎ ひ弱な僕もあっという間にこんなに逞しく!
0から9999へ。もはや桁が溢れて表示もバグっている。

 まずはLIFEが0のキャラクターを作る。この際LIFEにボーナスポイントが加算されないよう注意。できたらこのキャラでゲームを始め、レベルを2に上げると、いきなり最大LIFE9999になってしまう。
 しかしこのキャラクターでゲームをすると、動作が頻繁に引っかかったり、レベルが上がっても最大LIFEが下がったり、LIFEを回復すると突然死するといった具合に、挙動が安定しなくなる。実用目的で作るのはやめましょう。


エビルクリスタルを出さずにクリアする

主人公の勇気が世界を救うと信じて…!
「カラークリスタルが必要だと思っているようだが...別になくても倒せる」 ある意味バントホームラン級の大バグ。

 通常エビルクリスタルを倒す場合、カラークリスタルを返還し、本体を出現させ、所定のアイテムを使うことになるのだが、実はそのアイテムさえ使っていれば、出現させずとも倒せてしまう。カラークリスタルを返還する必要もない(つまり全て集めずともクリアが可)。どうやらプログラムで、エビルクリスタルの出現フラグを勘定していないらしく、こんな現象が起こる模様。
 ただし出現させていない状態で挑むと、倒すまで猛烈にLIFEが減っていく。倒すための具体的な条件は、エビルクリスタルが出現するはずの位置で、件のアイテムの効果が切れること。まともに挑むなら最低でも200程度(REVIVE込み)のLIFEが必要となる。しかしあらかじめどこかで時間稼ぎをして、切れる直前に所定の位置に行けば、そうLIFEを消耗せずに倒せてしまったりする。
 ゲームの根幹を揺るがすほどの大バグで、これを利用すればあっさりクリアすることも可能だが、物語的に盛りあがらないので、やっぱり出現させてから挑みましょう。


MSX版開発後記

 前作同様、MSX版「ハイドライドII」の取説の最後には、制作者による開発後記が掲載されています。そこにはMSX版開発までの経緯、世界初のS-RAM式バッテリーバックアップが実現した経緯等が記されてあり、技術の進歩やコスト低下の恩恵により、移植が実現したことが伺えます。記事の締めくくりとして、ここに再録いたします。

 皆さん、MSX版ハイドライドII、楽しんでいただけましたでしょうか? オリジナルのPC8801版が発売となってからおよそ一年、やっとMSX版、完成のはこびとなりました。MSXユーザーの皆さんには、長らくお待たせして申し訳ありませんでした。当初T&E SOFT開発部では、ハイドライドIIのプログラムがあまりに膨大なため、MSXへの移植は無理であると考えられていました。もし開発できたとしても、このプログラムを収納するメディア(ロムカートリッジやフロッピーディスクまたは、カセットテープ等)が適当なものがありませんでした。それまで主流であった256kbitのロムカートリッジでは当然容量不足だし、そうかと言ってフロッピーディスクで販売してもMSXユーザーのほとんどの人は、ディスクドライブを持っていないだろうし、カセットテープじゃ64K以上のMSXを持っている人しか使えないし、たとえ作ったとしても、ロードに長時間を要し、興醒めすることは目に見えているし……。と、結果「生まれてこなければ良かった」なんてことになりかねない、ほぼ絶望的な状況でした。
 しかし、冬も終わり、桜の花もほころぶ頃、それまでは高くてとても手がでなかったような1メガロムの値段が下がってきて、会社の方からも開発OKの指示がでた。(実際には、ここからのプログラミング作業が一番たいへんだったんだけど)そしておよそ半年後・・・・移植もほぼ完了という頃になって、またまた問題がおきてきた。前者のハイドライドIでは、ゲームの途中データはパスワード(これだって、その当時はたいへん苦労して考えたんだよ)によって、保存できたのだが、今回のハイドライドIIは、あまりに途中データの要因の数が多すぎて、もしパスワードによって処理しようとすると、約50文字ものおっそろしく長ったらしいものになってしまう。これじゃあユーザーの人達もかったるくてしょうがない。はて困った。そして苦心惨たんの末、「ええーい!もう面倒だ。データ保存用のS-RAMを、カートリッジの中に押し込んじゃえ。」てな訳で、16kbitのS-RAMとバッテリーを内蔵したスーパーメガロムカートリッジの誕生となった次第であります。何事も成せば成る!? とは言うものの製造原価がバッチリ高くなり、定価の面でも6,400円というロムカートリッジとしては少々高いものとなってしまい、皆さんにはご迷惑をかけてしまいました。御容赦下さい。
 まあ、いずれにしても、MSX版ハイドライドIIも、ここに無事日の目を見ることとなり、まずはめでたしめでたし。ということで、我々スタッフが苦労した分だけ、皆さんもタップリ悩んで、このハイドライドIIを解いて下さい。まちがってもT&Eに「○○○○がわかんないョー。」なんて電話はかけて来ないように。それじゃ皆さん再びフェアリーランドを平和に導いて下さい。Good Luck!

1986年11月某日 T&E SOFT開発部

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