「ハイドライドII」新機軸の一つに魔法がある。本作では魔法が使えるようになり、様々な局面でその力を借りることになる。魔法なしでは解けない謎もあり、クリアに必須の存在だ。
使える魔法は攻撃魔法・防御魔法・支援魔法の三種で、攻撃魔法と防御魔法がそれぞれ五つ、支援魔法が四つと、全部で14の呪文が用意されている。呪文はレベルが上がるごとに順次習得していくが、唱えるためには魔力が必要で、魔力が足りなければ、覚えていても使えない。魔力は砂漠の街に住む魔法使いにお金を積んで、授けてもらうことになるだろう。
魔法の使い方は非常に簡単で、支援魔法はキャンプメニューの「CAST A SPELL」から、使いたい魔法を選べばOKだ。攻撃魔法と防御魔法は、それぞれ攻撃/防御モード時にファンクションキーを押せば、キーとモードに応じた魔法が発動する。FIREを使うつもりでREVOLVEを使ってしまったり、SEARCHを使うはずがICEを発動してしまったりということが多々あるので、使う前にモードには気をつけよう。ファンクションキー一発で魔法が使えるというのは、キーボードでゲームを遊ぶのが当然だった当時ならではの発想だね。
ちなみに本作の魔法要素は前作「ハイドライド」に移出され、ファミコン版「ハイドライドスペシャル」なる作品を生むことにもなった。
攻撃モード時にF1〜F5キーを押すと、キーに対応して以下の魔法が発動する。しかし本作では、攻撃魔法よりも防御魔法や支援魔法の方を優先するべきなので、攻撃魔法はあまり使う機会がないだろう(てかFIRE以外がまるで「使えない」)。直接攻撃の方が圧倒的に強力だし。
ちなみに直接攻撃では、怪物が「最後の悪あがき」をするため、やられる寸前になってもなかなか倒れてくれないが、魔法攻撃だとコロリと逝ってくれる。直接攻撃である程度生命力を削り、攻撃魔法でとどめを刺すというのが、もっぱら、実用的な使い方だろう。
消費MAGIC5〜10。習得レベル2。F1で発動。一直線上に飛ぶ火球を放つ。障害物に当たると消える。
威力はそれなりだが、比較的使い勝手がよい。遠距離からの先制やとどめに使うなど、直接攻撃と併用すると意外と効果的だったりする。怪物以外にも、何かありそうなところにぶつけてみるのもいいだろう。
消費MAGIC10〜20。習得レベル4。F2。一直線上に飛ぶ氷塊を放つが、こちらは障害物を飛び越えて進む。
性能的にはFIREより上のはずなのだが、FIREで事足りてしまうので、使う機会は少ないだろう。IIは壁抜けアタックの利点もないし。
消費MAGIC15〜30。習得レベル8。F3。障害物はもちろん怪物を貫通する衝撃波を放つ。
複数の怪物に攻撃できるのが利点だが、威力が弱い上、やはり使い勝手が悪いので出番がない。むしろSLUGが使うイヤな術という印象の方が強い。「ハイドライドスペシャル」なら、クリアに必須の魔法なのではあるが...
消費MAGIC22〜45。習得レベル12。F4。自分の周辺の床を溶岩に変え、上にいる怪物を攻撃する。
消費MAGICが高いわりに効いた試しはほとんどなく、さらに水中や砂漠では無効化する。使えない魔法第一位。これを使うぐらいだったら、CLOUDでACを削ってガンガン斬った方がマシ。
消費MAGIC30〜60。習得レベル16。F5。画面内全ての怪物に攻撃できる閃光を放つ。
習得できる頃には、周りはこの魔法があまり効かない怪物ばかりなので、いまいち使えない。バラリスもこの魔法を操るが、十分に強くなっていればそれほど恐れるものでもない。まかり間違って地上で唱えるとエラいことになる。
同じく防御モード時では以下の魔法が発動する。防御呪文もピンキリだが、心強い呪文もいくつかある。理不尽かつ陰険な謎が待ち受けるフェアリーランドを冒険するならば、ぜひとも巧く使いこなしたい。ちなみに全ての防御魔法は、画面内全体に効果が及ぶ。
消費MAGIC20。習得レベル2。F1。幻覚の術。画面内全ての怪物を回転させ、進行方向を変える。
狭い通路で怪物と鉢合わせしたときに使うとよさそうだが、方向が変わる確率は1/2で実用性には欠ける。発動は賭けに近いところがある。これだったら2画面テクの方がはるかに実用的ではある。
消費MAGIC35。習得レベル4。F2。捜査の術。史上最強の探索呪文。今いる画面内で謎のある場所を示す。
「II」では宝箱や罠の類は画面上に一切表示されない。そこでSEARCHを唱えれば、何があるかまでは教えてくれないが、具体的な場所を暴いてくれる。ヒントの少ない本作では、文句なしに使用頻度ナンバーワン、非常に頼りになる呪文なので、早めに使えるようにしておこう。その性能はもはやチート級で、LOMILWAやライトの杖の比ではない。覚えられるならほんとリアルで習得したいもんで!
消費MAGIC50。習得レベル8。F3。睡眠の術。画面内全ての怪物のAPを下げる。
怪物がたくさんいるところで使っても、一匹を相手にするうち、他が画面外に逃げるといったことがあたりまえなので、一網打尽という使い方には向いていない。狭い通路で行く先を塞がれるなど、攻撃力の高い敵と真正面から戦わざるを得なくなった場合、一回使用すればだいぶ違うが、多くのMAGICを消耗するため、連発はできない。このように有効な状況がごく限られて使いどころが難しい上、セーブ&ロードや2画面テクを多用して、なるべくこの魔法を使わずとも済むよう努める方がはるかに楽なので、それゆえ積極的に使う機会はごく少ない。
むしろリザードがこの魔法を頻繁に使ってくる。喰らうとAPが30減る。減ったらまさに「持ち直す」動作をすれば持ち直す。AC低下はもちろんのこと、唱えられるたびにゲームがいちいち一時停止するので、非常にうざったい。
消費MAGIC50。習得レベル12。F4。幻惑の術。画面内全ての怪物のACを下げる。
本作では魔法攻撃よりも直接攻撃の方が強力かつ効率的なので、防御力を下げる呪文は非常に重宝する。特にクラーケンやバラリスといった固くて遅い怪物に使えば、戦闘が格段に楽になる。地下帝国内で経験値稼ぎをするならば、必須の魔法となるだろう。
バラリスもこの術を使う。喰らうとACが50減るが、APと同じ手段で回復できる。
消費MAGIC50。習得レベル16。F5。沈黙の術。画面内全ての怪物のMAGICを下げる。
怪物も主人公同様、MAGICを消費して魔法を使っている。そこでこの呪文で怪物のMAGICを下げてやれば、手強い呪文を封じられるという寸法だ。しかし、怪物が画面外に出ればステータスは無効化する上、新しい怪物も画面外からどんどんやってくるため、いくらMAGICを下げたところで切りはなく、あまり有効な戦術ではなかったりする。ステータスを下げる魔法では一番最後に覚えるが、そういうわけで、使う理由は一番薄い(そもそも唱えた時点でMAGICが50減ることに違いはない!)。
怪物ではハーピーがこの術を使う。喰らうと非常に嫌な術だが、幸いにして、ステータス低下魔法を封じるアイテムが存在する。ハーピーはもちろん、リザードやバラリスも黙らせることができるので、ぜひとも手に入れておこう。
キャンプメニューで使える魔法は、身体を治す呪文や移動に関係する呪文など、リアルタイム性を要しないものである。攻撃・防御魔法のような派手さはないが、有用な呪文が揃う。
消費MAGIC8。習得レベル3。毒状態から回復する。
毒をもった怪物や罠等々、本作では随所に毒の危険が待ち受けている。毒を喰らうと生命力が減っていくので危険だが、この呪文を唱えれば、たちまち身体の毒が抜けていく。ANTIDOTEと同じ効果だが、こちらは荷物にならず、しかもわずかなMAGICで使えるので、そういう点でも重宝する。
逆に言えばこの呪文があれば、ANTIDOTEはなくても構わない。ゲーム序盤で解毒呪文がほぼ無尽蔵に使えるようになるというのは、ゲームバランス的にもうちょっと考えてもよかったような気はする。
消費MAGIC16。習得レベル5。生命力を若干回復する。回復量はレベルによって変化する。
RPGおなじみの回復呪文。本作は静止していれば生命力が回復するせいか、回復量はそれほど多くない。だが瀕死の状態で怪物と戦っていても、この呪文を2、3回連続で唱えれば、なんとかなることも多い。SALVEと同等の効果を備えるが、DETOCICATEと同じ理由で、魔法の方が便利である。
消費MAGIC32。習得レベル9。一階上に移動する。
この呪文を使うと、座標はそのままで一つ上の階に移動できる。ただし地下帝国専用で、塔の中では使えない。地下帝国は階段とワープのみで全ての場所に行けるため、使いどころは少ないが、TELEPORTを覚えていない状態で、地下帝国の深部からすみやかに地上に戻りたいときなどは、そこそこ使えるかもしれない。個人的には、JUMPを使わなければ行けない場所があってもよかったのではないかと思う。
消費MAGIC64。習得レベル17。森の街へ帰還する。
一部の局面を除き、どこからでも森の街へ戻れる。緊急脱出もさることながら、歩いて戻るのが面倒なときに使うことが多い。消費MAGICが全呪文中最大であるため、MAGICに余裕がないと使えない。