Written by 本名荒井
ワープした先は、何の変哲もない小島だった。隣の島には噂の魔城が見えるものの、ここから直接渡ることはできない。さて、魔城に入るにはどうすれば...ところで所在不明になったという「悪魔の穴」は、まだ残っているんだろうか?
島から地下ダンジョンに侵入成功。どうやらここが「悪魔の穴」らしい。その名にふさわしく最強クラスの魔物が出現する。さらにここではセーブができず、サセンも使えない。渡ってくる前に必ずセーブしておこう。回復剤も買い込んでおくと安心だ。
穴の出口ではダース・ベイダーみたいな剣士「ダークナイト」が待っていた。この戦いでは衝撃的な事実が明らかになる。これまでのギャグ路線から一転、シリアスな展開を見せる物語...少年は悲しみを乗り越え、またひとつ成長する。
穴の先は魔城の前に通じていた。あたりには暗雲が立ちこめ、災いの源が近いことを感じさせる。ここまで来たら、もう行くしかない。父さんの遺志を継ぐためにも...
「ここに来てはダメ! 逃げて!!」 案の定、城にはフィル姫が囚われていた。しかし様子がおかしい。すると目の前で凶暴化して襲いかかってきたではないか!
姫は何者かに乗っ取られ操られていた。不意を突かれて絶体絶命、もはやこれまでと覚悟した瞬間、目の前が白くなり、キミは意識を失った...
キミを助けたのは意外な人物だった。そして重大な秘密を明かされる。フィル姫は海賊ファールの子孫だった。かつてファールは略奪で莫大な富を築き上げ、王侯貴族に成り上がった。姫にはファールの呪われた血が流れている。それゆえ報いをその身に引き受けることになってしまったと...バムネッ島の血塗られた過去と忌まわしき因縁。彼女は「妹」を助けてと懇願し、キミにファールの秘宝を託した。因果を断ち切り、姫と島を救えるのはキミだけだ!
再び魔城に乗り込む前に、闇の道具屋へ。十分にアレが集まっていれば、こんな具合にアイテムと交換してもらえる。交換できる秘密のアイテムとはおもちゃのカンヅメならぬ「いのちのカンヅメ」と、謎のアイテム「シをマネキのつめ」。カンヅメはよいとして、ツメはやっぱりかんづめのシャレなのかなぁ。
どうすればこの店に行けるかって? MSXにはキーボードがあるよネ?
準備も整えておこう。ワープしてしまえばもう後戻りはできない。どれだけ魔法が使えるかが生命線となるので、まりょくドリンクは十分に用意しておこう。「ゆうきのしるし」もあれば心強い。もちろんセーブもお忘れなく!
姫に取り憑いていたのは、ファール海賊団の悪霊だった。ファールは財宝を隠す際、秘密を守るためなのか、宝を独占するつもりだったのか、一味の者どもを皆殺しにしていた。ファールの非道ぶりに唖然としていると、秘宝に反応してついに悪霊がその正体を現した! 見境が付かなくなった悪霊は、積年の恨みを晴らすべく、キミに襲いかかる。人違いもいいところだが、こうなったら戦うしかない!
...そういやこの「シをマネキのつめ」の効果が気になるな。手に入れるのに手間がかかったものだから、それなりの効果は期待できるのだろうと割ってみると...!
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」 ツメの中からガイジン参上! ガイジンはキミにかわって海賊の悪霊と戦い始めた。その強さは圧倒的。悪霊の攻撃にびくともせずに、ガイジンの一撃を繰りだし続ける。そして激闘の末、見事勝利!! こりゃラクでいいや〜。
姫も目覚めた。これでついに平和が訪れる...と感慨にふけっていると、アレ、アレ、アレレ〜〜〜!!??
「あなたが私を救ってくれたのですね」 悪霊を倒したガイジンは島を救った英雄となった。ガイジンに礼を述べさっそくのろけるフィル姫。まんざらでもない様子のガイジン。いつの間にやらキミそっちのけでイイ雰囲気になっている二人。ガイジンにお株を奪われ、ガクゼンとするキミ...これまでずっと苦労してきたのはボクなのに...ボクなのに...こんな仕打ちが許されてなるものか〜!!!(号泣)
やはり世間は甘くなかった(泣)。「シをマネキのツメ」はガイジンを召喚するアイテム。ラスボス戦で使うとさっきのようなことになってしまうが、面倒な雑魚敵を片付けるにはかなり便利だったりする。使えるのは3回まで。悪魔の穴で使い切り、そこでガイジンとはおさらばするのが賢い使い方だろう。
まともな結末を迎えたかったら、やはり自分で戦うしかない。正面から挑むとなると悪霊はしぶとい相手だ。しかも毎ターン100程度のダメージを与えてくる。ナースを唱えつつげんきが続く限り攻撃し、まりょくが尽きそうになったらドリンクを飲むという、正攻法が一番確実だ。最強攻撃呪文サーブが使えると、有利に戦えるだろう。いざ、最終決戦!
「バカめ! もう一度死にたいか!」 運悪く力尽きたところで「いのちのカンヅメ」が発動! いのちのカンヅメは、げんきが尽きても一度だけ完全な状態で復活できるというスグレモノだ。悪霊戦はギリギリの戦いが続く。保険としてぜひ持っておきたい。
死闘の末、断末魔を上げて消える悪霊。消えた後には財宝が残っていた。手を出すと...バカな! 復活するなんて!!
財宝とは罠だった。ヤツはこうして人々をおびき寄せ、呑み込んでは強大化していたのだ。これが島に伝わる財宝伝説の真相だったのか...
倒した後の選択肢次第ではこんな具合に悪霊が蘇り、再戦することになる。復活した悪霊は無敵。戦っても勝ち目はない。そんなときはさっさと降りるに限る。
無事悪霊を退けるともうひとつ、ヤツは小さな箱を残して消える。拾うかうっちゃっておくかはどうぞご自由に(笑)
そして今度こそ真のエンディングへ。悪霊は砕け散り、永年島を覆っていた因縁は魔城とともに消え去った。苦しみから解放され、さめざめと泣くフィル姫。ファールの悪行がまだ裁かれていないような気もするが、今は何も言うまい。それをいちばんよく分かっているのは他でもない、彼女なのだから。
幸福感とともに、魔城の跡にたたずむキミと姫。姫は救われた。もう島に怪物が現れることはないだろう。キミは父の名に負けない新たな勇者となったのだ。
粗さは否めないけれど、ほぼBASICのみで組まれた手作りゲームとしては相当の力作だ。今やBam!ネットは忘れ去られたサービスだけど、ゲームとしてその足跡が残るのも、パソコン通信らしいのかもしれないね。そういうわけで「ハパザード」一巻の終わり。めでたしめでたし!