「ザナドゥ」には数々の裏技やテクニックがあることが当時からよく知られている。また、MSX版は最後発であるため様々な変更が加えられた。ここではMSX版で使えるテクニックや他機種との違いを簡単に紹介する。
MSX版だけのお手軽完全回復技。MSX版グラディウスの「HYPER」装備技にちなんだのだろう。
F1キーを押してコナミポーズをかけた後、SHIFTキーを押しながら[G][R][2]キーを順に押すと、HPが完全回復する。そのかわりFoodを少々消費する。入力してから回復するまで若干時間がかかるので注意。
連続写真で見る2段ジャンプ応用例。一見行けそうにない場所でもご覧のとおり。必ずモノにしよう。
通常のジャンプでは1マス分しかジャンプできないが、ジャンプしててっぺんに達したときに 再びジャンプするともう1マス分ジャンプできる。
2段ジャンプは様々な応用が利く。たとえば鋸歯状になった竪坑は2段ジャンプを繰り返せば上ることができる。1マス分の溝ならば、キーを斜め下に入れた直後に斜め上に入れればあっさり渡れる。クリアに必須の基本中の基本となるテクニックだ。
ザナドゥではセーブするのにレベルに応じたGoldが必要となる。一方でケーブや塔への出入り時には自動でセーブされる。また、フィールド上でBlack OnyxやFire CrystalなどのLevel移動アイテムを使っても自動でセーブされるが、直後にリセットして再開すると、使う前の状態から再開できる。これらシステムの仕様を利用すればお金を使わずセーブできる。
普段は上れないクイも、怪物を利用すれば登れてしまう。クイにハマった時に使えるテクニック。
フィールド上に存在するクイは上に登れないが、ここで怪物と遭遇し上に抜ければ登れてしまう。
この技の応用で、扉の上にいる怪物を利用してkeyなしで扉を抜けることもできたりする。
EXPが同じ状態で、それぞれLevel 5とLevel 1でレベルアップさせてみた。Max.HPにかなり差が出た。
低次LevelのTempleでレベルアップした方がMax.HPの上昇率が高い。なるべくHPを高くしたいなら、面倒でも歩いて低次Levelに戻ってレベルアップしよう。ちなみにLevel 1とトレーニンググラウンドでレベルアップした場合のMax.HP上昇率は同じ。
HPの下2桁が77のときにTempleに入ると、レベルアップに必要な経験値に達していなくてもMax.HPが上がる。一見おトクな技だが、収入が不十分な状態で上げすぎると、Foodの消費量が激しくなって詰むのでほどほどに。
MSX版は何度でもトレーニンググラウンドに戻れる。CSTをもらって再び特訓だ!
MSX版では再びトレーニンググラウンドに行ける。Level 1の竪坑の途中にあるケーブに入ると、トレーニンググラウンドに戻れる。そこで経験値が貯まった状態で王様に会うとレベルアップとともにCSTが得られるので、これを使って再び修行が可能となる。これはMSX版のみのフィーチャー。
グラフィック性能やスプライトの制約ゆえ、MSXでは他機種のグラフィックをそっくりそのまま再現できない。そのためMSX版ではその性能に合わせ、グラフィックが全面的に書き換えられている。画面解像度も違うため、画面レイアウトも変更された。装備品はアイコン表示されるようになった。スプライトこそ単色だが、このグラフィックがMSXの限界に迫る品質で、ユーザーの間で好評を博した。時に先行のMSX2版以上に美しいとさえ言われる。
MSX1のVDPの高速さゆえか、操作性も大幅に向上している。数ある「ザナドゥ」の中でも屈指の遊びやすさを誇るバージョンだろう。
他機種のBGMは基本3曲(「La Valse Pour Xanadu」・デカキャラ・エンディング)のみであるのに対し、MSX版では他にもいくつか場面に合わせたBGMが用意されることとなった。数が増えたのはもちろん、楽曲も刷新されている。作曲にはかの古代祐三さんも参加しており、ハイクオリティなPSGサウンドが楽しめる。一方で「La Valse Pour Xanadu」は使われておらず、これを残念がるファンも多いとか。
MSX版は2メガROMを採用し、セーブはROMカートリッジ内のSRAMに記録するようになった。ロードなしで快適に遊べるようになったが、ディスクのようにデータをかんたんにコピーできなくなったため、難易度は上がってしまっている。
インベントリー画面比較。左がMSX2版で右がMSX版。
名前と所持数・熟練度が併記されるようになったため、段違いにわかりやすくなった。
アイテムを確認するためのインベントリー画面だが、他機種版では一つの画面に全種類の所持数や熟練度の数値のみがまとめて表示されるだけだった。MSX版では種類別に名前・所持数・熟練度が表示されるよう、大幅に改良された。切り替えるページ数こそ増えたが、格段に詳細を把握しやすくなっている。
他機種ではFoodの同時購入数やINNの回復量は99単位でしか指定できない。そのため大量購入や回復が非常に面倒だった。MSX版ではここにも手が加えられ、どちらも9999単位で指定できるようになり、まとめ買いや大幅な回復をしやすくなった。小さな変更だがプレイヤーにとって嬉しい改良だ。
ちなみにMSX2版では、Foodは100単位でしか購入できなくなっている。
「ザナドゥ」の裏技の代表格とも言える隠しネーム。王城でのネームエントリー時、「Falcom」だの「@Yoshio.Kiya@」「DS][-MASTER 」等、特定の名前を入力すると、最初からアイテムを持っていたり画面が変になったりなどなど、名前に応じたさまざまな効果が現れるというものだ。ところがMSX版ではこの隠しネームはなくなってしまった様子だ。容量のせいと思われるが、なくなった理由は不明である。
マイコンBASICマガジンの読者投稿として、「Xanadu MSX」という隠しネームが存在するという情報があるが、荒井が試した限り、報告されているような効果は確認できなかった。ゆえにこの情報の真偽は不明である。
「汝の戦いは、神々の御言葉と共に記される今日〜」の名文で知られる「ザナドゥ」のエンディング。これも他機種と違っている。なんとMSX版ではこの文章が省略され、そのかわり昇る朝日を前に戦士がたたずむグラフィック付きのスタッフロールに変更されている。漢字を表示するのが難しいMSXに合わせた変更だったのかもしれない。
余談だがMSX2版のエンディングは、件の散文が、ひらがな・カタカナのみで表示されるというものだったりする。
全然感じが出ない衝撃のMSX2版ED。漢字が出ないだけに(おい)。
長い戦いであった。ゲームを始めたのが7月上旬で、解き終えたのが9月下旬。まるまる3ヶ月近くかかったことになる。1日の平均プレイ時間は1,2時間ほど。いちおう方法論やコツこそ知っていたが、それでも一からマップを書き、データを集めながらとなると、これほど時間がかかってしまった。
「ザナドゥ」の凄いところは、これら膨大なデータ全てに意味があり、極めて繊細に組み合わさりながら世界を構成しているところである。もちろん21世紀を10年以上経過した現在となっては、そのデータ量など取るに足りないものだが、それが生み出す世界の緻密さはいまだ他の追随を許さない。タイトでありながら様々なプレイスタイルを許容する懐の広いゲームバランス。填まり、もがき、苦しみ、40万人のプレイヤーは、たちまちデータが織りなす緻密で濃密な世界の虜になったのである。
キングドラゴン「ガルシス」。その正体はもともとザナドゥの神話時代に存在した暗黒神「ガルシウス」なのだという。本質は闇。かつて神々の怒りに触れこの世から放逐されていたが、Deathの呪文が生み出した次元の歪みに従い、竜の形を取って再び世界に現れた。Dragon Slayerはその次元の歪みを正すことができる剣。「ザナドゥ」とは、その剣を巡る永い物語の一頁なのだそうな。
ゆっくりと中央の扉が開き、光が差し込んでくる。倒れ伏すガルシスを背に我がFukenkoは玉座の間を後にする。そしてエンディングが始まった。